【11】
「お嬢様、おはようござ、...まぁ!エル様まで」
朝から元気なメリーの声で夢から現実へと戻される。
(何故メリーはこんな朝早くから元気なの?羨ましい...)
「...ん、メリーおはよう...」
まだちゃんと開かない目を擦りながらメリーへ朝の挨拶をする。
「お嬢様、何故こちらにエル様が?」
「...あぁ、そうだったわ。昨日の夜中、エルが怖い夢を見たそうで私の部屋へ来たの。まだここへ来たばかりだし、寂しいと思ったから一緒に寝たのよ。」
「そうですか。お嬢様はお優しいですね。」
「そうかしら?当たり前の事をしただけよ。...エル?さぁ起きて、朝よ」
エルは私の声でゆっくりと目を開けて起き上がった。
「あの後は怖い夢見なかった?」
コクン
「そう、それならよかったわ。...支度するからエルもお部屋に戻って着替えて来なさい。今日から私と一緒に授業を受けましょう」
支度する為にエルは自分の部屋へと戻って行った。
(さて、今日はいつもの授業が終わったら家の図書室へ行って獣人について学ばないとね。てっきり動物がプレゼントされると思ったから動物の勉強しかしてなかったのよね。...獣人なんて勉強してないから全然分からないよ。)
午前中は一通りいつもの授業をエルと一緒に終え、今はアレンも誘い図書室へと来ている。
「獣人についての本はここかしら?」
「...そうですね。コレとコレが読みやすいのでは?」
「ありがとう、アレン。助かるわ」
アレンに取ってもらった本を机に広げる。
「...隣国ってこの国とは違い獣人が多くいるのね。」
「そうですね。隣国は獣人が国を仕切っているようですよ。」
「そうなの?国王が獣人なのね。獣人の国なんて、とっても素敵ね。なら将来は隣国へ嫁ぎたいわ。...出来るならだけど、」
(国外追放なら隣国に行けるよね。だったらラッキーなんだけどなぁ。でも、処刑かもしれないんだし、その時まで獣人の国へ留学して楽しむのも有りよね。とりあえずその時まで楽しまなきゃやってられない!)
「...そうですね。ロゼ様は公爵家ですから嫁ぐなら王家かもしれませんし、もしくは隣国の公爵家、それこそ隣国の王家も有り得なくは無いのでは?...ロゼ様が見ず知らずの誰かに嫁ぐなどとっても嫌ですが...」
最後の方は小さくて聞こえなかったが、アレンは当たり前だがゲームでのローゼリアの最後を知らない為、良い所へ嫁ぐのだと思っている。と言っても、ローゼリア自身もほぼゲームの内容は無知に等しいので何とも言えないのだが。
「嫁げるかしらねぇ」
遠い目をしながら呟くと、エルが私の服の裾を引っ張り首を横にふる。
「ん?どうしたの、エル。...もしかして、嫁いで欲しくないと思ってくれてるの?」
コクンコクン
「ふふ、可愛いわねエルは。そうね、エルがそう言うなら嫁がずに一生エルの傍にいようかしら。...なんてね、いつかエルは可愛いお嫁さんを貰うから私はお邪魔よねぇ」
(エルに似合う可愛いお嫁さんが来るまでは死にたくないな~でも、エルより私の方が1つ上だから無理よね。卒業式の日に断罪されるんだもんな。え、悲しすぎる!!)
「ずっと、アレンやエルと一緒にいたいわねぇ」
「僕はずっとロゼ様のお傍におります。...もしも、嫁いだとしても!」
「まぁ!本当に?ありがとう」
一緒にいたいと言う意味は死にたくないと言うことだけどアレンは知らないのだから仕方無い。でも、もしも国外追放になったらアレンは着いてきてくれるのだろうか?とふと思ったのである。
エルもアレンの言葉に反応するようにコクコクと首を縦にふって「自分も一緒にいる!」というように頷く。
「あら、エルもそうなの?ふふ、嬉しいわ。2人共ありがとう」
2人の優しい気持ちを受けていつか来る断罪の日までこの2人と素敵な思い出を作っていこうと決心した。