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エリック視点

誤字報告ありがとうございます。

更新遅れてすみません!


今回はローゼリアが攫われた辺りのウィリアムとエリックの会話です。

「兄上、失礼します。」


 兄であるウィリアムに部屋に来るように呼び出された。

 俺を呼び出した兄上は深刻そうな顔をして俺ではなく机の上にある書類に目を向けていた。





「...エリック、ロゼが行方不明らしい。」




「...え!?」


 最初兄上が何を言っているのか理解するまで少し間が出来てしまった。

 だって、兄上が意味不明な言葉を発したからだ。


「ロゼが侍女と買い物へ出たきりウィンズリー公爵家に帰宅していないそうだ。というか、迎えを呼んでいた馬車にさえ戻らなかったと報告が来ている。」


「...そ、それで捜索はしているのですか!?」


「まぁ当たり前だが公爵達も総出で探している。俺も父に報告して騎士達を向かわせた。後、ルドルフも」


 兄上はいつも可愛がっているローゼリアが行方不明だというのに妙に落ち着いている。いつもと違うのは眉間に皺があるのと此方を見ないぐらいだろうか。


「ルドルフは元々兄上の側近ですので構いません。...兄上...」


『何だ?』という風にやっと机から目線を話して俺を見た。


「何故兄上はそうも冷静でいられるのですか?」


 いつも兄上は優しく王族としても優秀であり、国民にも好かれている。そんな兄上が自慢であり羨ましくもあった。

 兄上は、婚約者のソフィア嬢とは違う女の子をよく城に招くようになったのは俺がその子に酷い事を言ってしまった後だ。美しく何処か達観したように大人びていたツリ目の女の子、それがローゼリアだった。


 ローゼリアを兄上は妹のようにとても可愛がっていてソフィア嬢と共に楽しそうにしていた。今まで兄上が素を出せていたのは家族とソフィア嬢だけだったのが途中からローゼリアが加わった。


 それくらい大事にしていたローゼリアが行方不明なのだ。何故取り乱さないのか不思議だった。


「...俺が...冷静、だと?」


 今まで聞いた事も無い地を這う様な低い声。

 それを今、目の前の兄上から発せられたなど、とても思えなくて俺は動揺を隠せなかった。


「あ、兄上...?」


「エリック、俺が今...冷静でいると?そう思うのか」


「え、い、いや...」


 そんな事無かった。本当は自ら率先して探しに行きたいのだ。だけど自分の立場を理解しているからこそ冷静になろうとしているだけだった。


 俺は馬鹿だ...。


 冷静でいられるはずが無いではないか。

 あんなに可愛がっていたローゼリアが行方不明なのだ。兄上は素を出せる者には愛情深くとても大切にする。

 だからこそ、あんな事を言ってはいけなかったのに...。弟である俺は理解しているはずだったのに、間違った事を言ってしまった。


「あ、兄上、ごめん。」


「...いや、俺も取り乱した。すまない。...見つけ次第、お前にも報告する。後、今日呼び出したのは他にもあるんだ。」


 この後に兄上から聞いたのは衝撃的な事だった。



 俺に良くくっ付いているエリーナ嬢が兄上は怪しいと思っているのだと。今回のローゼリアが行方不明であるのはエリーナ嬢が関係しているのでは無いかと。


 俺には信じられなかった。俺から見たエリーナ嬢は可憐で虫も殺せなさそうな見た目をしているからなのだが、兄上はローゼリアがエリーナ嬢によって数々の嫌がらせを受けている事も話してくれた。


「...まさか」


「まだ証拠もないから決め付けるのは良くないと分かっているが、少しでも彼女が怪しい行動をしたら俺に知らせて欲しい。」


「...わかりました。」


 信じられないが兄上に逆らう気は無いので、もし何か会った時は兄上にすぐ伝えようと思うのだった。





ここまで読んで下さりありがとうございます。

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