ウィリアム視点
誤字報告ありがとうございます。
今回はウィリアム視点になります。
「あぁ来たか」
昨日は妹のように気にかけているロゼがエリーナ嬢に階段から突き落とされた。現場を見ていた俺はすぐに捕らえて城の牢屋へと入れた。普段ならそんな事はしないが今回は他にも色々とエリーナ嬢が問題をおこしている為、強行した。
今日は昨日の事と更にロゼにしていた嫌がらせの数々について詳しく聞くつもりで城の一室に拘束させたままのエリーナ嬢をルドルフに連れてきてもらった。
他にも被害を被っていたロゼ、ロゼをダミエル伯爵から助け出したラウス殿下、ロゼの専属執事であるアレンとその侍女もいる。
この他にも公爵やソフィアも来たがったが多くても困るのでとりあえずこのメンバーになった。
「さて、エリーナ嬢何故君は拘束されてここにいるのか理解しているかな?」
「...」
今までの加護欲をそそるようなか弱い女性といった振る舞いはもうしていなかった。
「昨日の件だけならば普通は自宅謹慎で済んでいたけど君は他にも数々の罪を重ねているからね。」
「...だったら何だって言うの?ていうか、昨日から言ってるけど証拠はあるの!?昨日のだってただぶつかっただけだし。...ただの被害妄想でしょ」
エリーナ嬢は俺を睨んでその後に隣に座っていたロゼを嘲笑った。
「証拠、だったらあるわ。」
今まで口を閉ざしていたロゼがゆっくりと口を開いた。
「だったら見せなさいよ。」
「アレン」
呼ばれたアレンは分厚い書類をテーブルへと置いた。あれは俺がロゼに渡した買い手リストだ。
「此方は私に送られた手紙と呪いの人形を買った人達のリストになりますわ。2つを合わせていったら貴女のお名前が書いてありましたの。」
「は!?知らないしそんなの!」
「...まぁこれだけでは信じられませんよね。でも、貴女はとても可愛らしいお顔をしているのだもの、きっと店員さんも覚えていらっしゃるわ。」
「...」
「私も良いかな?ロゼに送った血の手紙だけど、この血は君が男爵に言って一緒に狩りをして捕まえた兎の血だね。君が兎を捕まえた後、自室へ篭った後に厨房へと兎を調理してくれと頼んだみたいだね。それにこの呪いの人形の刺繍の仕方、授業で君がしていた刺繍と似ているんだよ。まぁ刺繍と呼べるような物では無いけどね。」
『そのおかげでロゼは無事だったんだけど』と俺は付け加えてエリーナ嬢へと微笑んでみせた。
そんな俺を見て目を見開き俯いてしまった。
「数々の嫌がらせも調べていると数人の生徒が見ていた事が分かってね。簡単に教えてくれたよ、残念だね。その生徒達は前まで君に心酔していた子達だったのに。最初は躊躇していたんだよ、だけど君は蝶のようだと詳しく話すとすぐに教えてくれたんだ。」
エリーナ嬢は色々な男性と夜を共にしていた事も調べていく内に分かっていた。まぁここに弟の名前が無かったのがせめてもの救いかな。
“蝶のよう”という事は可憐だという意味も確かにあるがその裏で言葉は悪いが“股の軽い女”という悪い意味もあったりする。
淑女としてこの行いはどうかと思うよね。まぁ惚れて無かったのだろうが弟も見る目がない。見る目を鍛え直さなきゃいけないな。
ここまで読んで下さりありがとうございます。