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第178話 作ってみた☆

 

 カエデと和解した後。


 念のため彼女に直接、水天の広間の扉を再封印してもらい、俺たちは地上にもどった。


 遺跡に自動修復機能があるとはいえ、どの程度の時間で修復されるのかが分からない。

 余裕があればその辺の研究をしてみても面白いだろうが、残念ながら当分はそんな暇はなさそうだ。


 テナ村の村長の家で遅めの昼食を食べると、俺たちは速やかに領都ペントへと帰還したのだった。




 ☆




 和解したとはいえ、なかなか緊張を強いられた一日だった。

 それはカエデも同じだったようで、少々お疲れモードで屋敷の門をくぐった俺とカエデ。


 そんな二人を、エステル邸の車回しで出迎えてくれたのは……


「ボルマンさまっ!」


 可憐な俺の婚約者だった。


 どうやら屋敷の窓から、俺たちの姿を見て急いで出てきてくれたらしい。


「ただいま、エステル」


「お帰りなさいませ、ボルマンさま。お仕事お疲れさまでした。––––カエデも、ご苦労さまでした」


「ただいま戻りました、お嬢様」


 馬を下りた俺たちは、表に出てきた馬丁に馬を預けると、エステルのもとに歩いてゆく。


「二人とも、無事に戻ってきてよかったです。あんなことがあった場所ですし、ちょっとだけ心配してたんですよ?」


 困ったように微笑むエステル。

 可愛い。


「「(ほわぁ…………)」」


 全力で癒される俺とカエデ。

 なんか色々あったけど、今のでとりあえず結果オーライな……いや、むしろ最高の一日になったな。うん。


 そんなことを思っていると、エステルが両の指を合わせ、もじもじと言葉を続けた。


「ボルマンさま。よかったらお茶を飲んで休んでいかれませんか? 試してみて頂きたいものがあるんです」


「? 」


 どうやら、何かサプライズがあるらしい。

 どこか恥ずかしそうに、ちらちらと上目遣いでこちらを見るエステル。


 なにこのかわいい生きもの。


「––––わかった。せっかくだからご馳走になろうかな」


 そう言って頷くと、


「はいっ!」


 目の前で、可憐な笑顔の花が咲いた。




 ☆




 十分後。


 エステル邸のティールームで、俺はエリスと話をしながらエステルを待っていた。


「––––という訳で、銃身の方は再来週くらいにはめどをつけたいと思ってる。そっちはどんな感じだ?」


爆轟エクスプロージョンの封術陣をどう分割するか、っていう概念設計は大体できたわ。あとは各封術板の詳細設計ね」


「それはどれくらいかかる?」


「そうね……たぶん一週間もあればできると思う」


「いいね。じゃあそれで頼む。あと明日の午後、打合せの時間を作って欲しいんだが」


「別にいいけど。何の打合せ?」


 訝しげに俺を見るエリス。

 俺はにやりと笑って言った。


「今回の開発の打合せに決まってるだろ。実はこの件で人を呼んでるんだが––––」


 詳細を説明しようとした時だった。




「二人とも、おまたせしました」


 部屋のドアが開き、可愛い声が響く。

 その瞬間、部屋の空気が仕事モードからくつろぎモードにがらっと変わった。


(「まあ、とにかく時間を開けといてくれ」)


(「はいはい」)


 俺とエリスは話を打ちきると、部屋の入口に目をやった。


 いそいそと部屋に入ってくるエステルと、その後ろに続くカエデ。


 エステルは何やら数本の小さなガラス瓶を抱え、カエデはティーセットを乗せたワゴンを押していた。


「二人に試してみて頂きたいのは、これなんです」


 そう言ってテーブルの上に瓶を置いてゆくエステル。

 テーブルの上には、3本の小瓶が並べられた。


「これは……ひょっとしてジャム?」


 俺が顔を上げると、エステルは恥ずかしそうにはにかんで「はい」と頷いた。


「りんごを使ったジャムの試作品です。それぞれ少しずつ作り方を変えてみたので、よかったら試食して感想を頂きたくて……」


 もじもじとそんなことを言うエステル。

 天使か。


 ––––やっぱり今日は最高の一日だったな。うん。






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挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
[一言] ジャム完成ですか。 あまり食べないのでいちごジャム程度しか知らないのですが、どんな果物使ってるか楽しみです。 ドリアンとかラフレシアとか使ってないか、ワクワクしてますw
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