手段
一月の天の川のほとりで若い男女が抱き合っている。もちろん織姫と彦星。
彦星は客船に乗って天の川を渡ってきたのだった。
織姫と彦星が一年に一度、七夕の時にしか会えないというのは遥か昔の話であり、今はこうして月に一度は会っている。
彦星が織姫に言った。
「今度、天の川に立派な鉄骨の橋を架けようって計画があるんだ。それと同時進行で、飛行場建設の話も持ち上がっててね…。」
「素敵、そうしたら毎日会えるわね。」
人間は知恵という武器を持っている。その知恵を生かす事が出来れば、川を渡る事など造作もないのだ。