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2.動機

 慎二の話を聞いた後、ゲームのことを頭の片隅に留めておいてはみたものの、僕はその提案に乗る気分にはなれなかった。だが、調べてみてから決める……と言った発言をした手前、それぐらいの誠意は見せた方が良いかな、とも思った。別に何か、慎二に借りがあるとか、そんな訳でもないのだけれども。

 ぼうっと本日の残り授業時間をやり過ごすと、いつの間にか放課後になっていた。


「おう、和也。soulStrain(ソウルストレイン)のこと、ちゃんと検討しといてくれよ? じゃあな」

「ああ、余り良い返事は期待しないで待っててくれ」

「おいおい、頼むぜ相棒」


 いや、別に相棒でも何でも無いんだけど。

 とは思ったものの、あえて口には出さずにおいた。


「さて、と」


 サッサと帰ってしまった慎二に遅れること2分、僕は宿題に必要な教科書や参考書をカバンにしまうと椅子から立ち上がる。教室には掃除に取り掛かろうかとしている当番や、数人で固まって談笑している生徒が残っていた。そんな中で、席に座ったまま、スマートフォンをいじっているクラスメイトの姿が目に入った。


 学級委員長の在原佳奈恵だった。教室を出るには、彼女の後ろを通らないといけない。僕はカバンを抱えると、佳奈恵の後ろを通り過ぎる。

 その時、唐突にため息が聞こえた。人に聞こえるかどうか、ぐらいの小さなため息だった。無意識に、ため息の聞こえた方に視線を移すと、それは佳奈恵の方から発せられたもののように思える。


 そして、これは本当に故意ではないのだけれど、佳奈恵のスマートフォンの画面が目に入った。見覚えのあるインターフェイスである。

 少し大きめの機種で、尚且つ輝度を高めにしているからかよく見えた。佳奈恵のスマートフォンが表示しているのは、今日慎二から紹介されたゲームのようだった。




 つづく

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