誰もいない校舎は自由!!!
やっと…!やっと…!北館に…ついた…!
2人は無事、北館の玄関に到着した。
玄関とは言っても、来客用玄関のようで、生徒用靴箱がない。
「これ、どこに靴置けばいいんだ?」
「うーん…土足?」
2人は困っていた。
「よし!先生を呼んでみよう!」
七宮が思い切って提案。
「え、でもどうやって…」
「誰かいませんかあああああ!!!!!」
七宮の大声が響いた。
「ちょ!お前そんなんで来る訳ないだろ!」
(って言った瞬間来たりしないよな…?)
七條はなぜか疑っていた。
すると、後方から話し声がした。
「七條くん!誰か来た!隠れなきゃっ!」
「うわあっ!?」
いきなり七宮が七條を引っ張り、土足のまま、玄関と廊下の角に隠れた。
「おい。なんで隠れた!しかも土足じゃんか!!」
小声で言う七條。動揺している。
「お前が呼んだやつだったらどうすんだよ!」
「いや〜、なんとなく?」
てへっと舌をだす七宮。ちょっとした好奇心。
「入学式まで来るなよ、母さん」
さっきの話し声の人物が近づいてきた。制服を着た男の子である。ウザそうにしている。
「な〜に言ってんの!高校生になる時くらい、いいじゃないの」
さっきの男の子の母であろうか。顔がよく似ている。たれ目である。
「もしかして、同級生の子かな?」
小声で七宮は尋ねる。
「それっぽいな。ん?あっちに向かったぞ!?」
小声で七條は答える。
さっきの男の子と母は、玄関への道を左に曲がった。
「そっか!今、8時半!もうそろそろみんな来てる頃だ!!」
七宮はタッチパネル式携帯を見た。
「じゃあ、俺らも行こう!」
「うん!」
2人が立ち上がった瞬間、
「ちょいと君たち、何をしている?」
後方から、あきらかに怒声の入った低い男の声がした。
そこで2人は思い出す。
((土足で入ったんだった…!!))
入学式までが楽しみだよね。春休みだし。