かっこいいタイミングはどこだ!!!
3人は体育館に入れるのか!?
「タイミングってもんはなあ…人生において大事なものでもあるんだぞお前ら…」
「でも、人生において大事なものは、お金だと思います先生!」
「それも大事だがタイミングはなあ、逃すと取り返しがつかねえんだ」
「漫画みたいに上手くバンっ!って、体育館の扉を開くタイミングですもんね…」
「何の話してんだよお前らは!!!」
やっと七條の怒涛のツッコミ。
「んー?だから、体育館に入るタイミングの話だ」
「いかに漫画のようにかっこよく決めるかのタイミングだよ!」
「知らねーよ!普通にこっそり入れよ面倒くせえ!!!」
3人はまだ2階の体育館の外にいた。
七宮と青山先生は扉の前で座り込んでいる。
「つーか、あの人の名前、知らねえし…どう渡せばいいんだ…」
すると、七宮がいきなり自信満々に立った。
「七條くん!それの演出はもう考えてある!」
「はあ?」
(絶対こいつくだらない事言い出す…!間違いない!)
と、七條は予想を立てた。
そして七宮は語りだした。
「まず、青春漫画のようにかっこよくこの扉を開く。そしてハンカチを上にあげる。最後に一言。「君のハンカチは、俺達が花びらだらけになって、探したどーー!!!」」
(ほらやっぱりー!なんかクサいよー!)
どうやら七條の予想は当たりであった。
「それは俺の事だろ!?だから最後の一言は「君のハンカチに決めたっ!」でいいだろ」
今度は青山先生が提案。
(なんだソレ!!!完全にパクリだし意味不じゃねえか!)
「ええ〜!だったら、「君のハンカチ、死す!」の方がかっこいいですよ!」
「死んでねえ!なら「君のハンカチ、生きてますか?」はどうだ?」
「そんなんいやです!「それゆけ!君のハンカチ!」がいいです」
「それはやだ!「君のハンカチは、ただの屍のようだ」のがいい!」
「おい!もういいよ!!もういいから!!!収集つかねえからその演出なしな!!!」
やっと七條はツッコんだ。ツッコミ力が低下したのだろうか、遅い。
「だいたい!なんで先生まで乗ってんだ!!」
「ん?だって、俺の登場シーンだし」
「そうだよ!3人でかっこよく入らなきゃ他の先生に怒られるよ」
「どっちにしろ怒られるから俺ら!!つーか、こっそり入ればいいだろ!?はあ!もう!」
なぜか息切れた七條。ぜーはーしている。
そんな七條に七宮は言った。
「ツッコミ役がそんなんじゃボケに負けるよ?そんなんじゃ、振り回されるよ?」
「はあ!?」
青山先生も言った。
「そうだぞ七條。七コンビのツッコミはお前なんだから、全うしなくちゃいけない」
「はい?」
「じゃ、頑張ってね!七條くん!期待してる!」
「ほら、行くぞ!」
「え!?ちょっ…」
七宮と青山先生は、バンっ!と勢い良く、扉を開けた。
教師の話を聞いていた生徒達は、一気に視線をこちらに向けた。教師達も。
この空間全ての視線を集めた。
そして、七宮がハンカチを上に上げる。
最後に、一言。
「君が落としたハンカチは…脱走をした!!」
と、七宮。
「このピンク色でバラの刺繍がその証拠だ!!」
と、青山先生。
「どこの名探偵だよこいつらはああ!!!!」
と、七條。
しばし体育館を襲う沈黙。
「俺たちはこのハンカチの自首のために、ここに来るのが遅れた!」
青山先生。
「だから一言、このハンカチの持ち主に告げる!」
七宮。
「ハンカチの自首に伴い、お前も自首しろおお!!!!!」
七條。
そして、沈黙を3人が包んだ。
全てアドリブとは言い難い、堂々とした遅刻であった。
どう足掻いても遅刻…!