春色なハンカチ!!!
長い長いこの道…いつ着くのでしょうか?
歩いて行くと、また桜の木ロードが広がっていた。
「本当すごいなここの学園」
七條はまた桜に見とれながら歩いている。
「そうだね…きっと、大切に育てられたんだなあ」
七宮も桜に見とれながら歩いていた。
暖かい風に乗って、桜の花びらは人々を包みこむように舞っている。
そんな風景に、七條達以外に見とれている人が沢山いるのがわかる。
(体験入学の時は夏だったから丁度日陰になって涼しかったけど、春はすごく綺麗…)
七條は微笑んだ。
「あり?落し物だ」
突然、七宮がしゃがんで何かを拾った。
「ハンカチ…女っぽいな」
七宮の手は、桃色にバラの刺繍がしてある可愛らしいハンカチを掴んでいた。
「誰のだろ…?」
「わかんないし、そこの枝にかけといたらどうだ?またここに捜しにくるかもだし」
七條は近くの桜の木を指差した。
「そうだね〜!」
「あの、ここら辺でピンクのハンカチ見ませんでした?」
次の瞬間、2人の表情は凍った。
そして、七宮は持っていたハンカチを隠した。
2人は小声で話す。
「おい。なんで隠した」
「いやだって…ねえ…七條くん」
深刻そうに、七宮は続けた。
「さっきの、男の子じゃん?」
そう。2人の目の前にいる、尋ねてきた人物は、先程の長身の人…男?であった。
「心当たりありますか?」
不振に動く2人を見かねてか、長身の人は再度尋ねる。
冷や汗をかいている2人は、ひい!と小さく驚いた。
また小声で話す。
「おいバカ!男じゃないかもしれんぞっ」
「どう見たって…!そうじゃないかっ」
「う、うるせえ!いいからそのハンカチ返せ!こいつのだろ!」
「だって思わず反射で隠しちゃったもん!!」
「どうかしました?」
怪しい2人を疑問に思ってか、長身の人は再度尋ねる。
「あ…う…!知りませんんん!!!!!」
「うわっ!」
我慢できなかった七宮は、七條を無理矢理掴んで、もときた道を走った。逃げた。
桜の木ロードの始めらへんで2人は止まった。
「はあっ…はあ…おいどうすんだ!せっかく体育館着きそうだったのに!ハンカチも!」
息を整えながら七條は言った。
「だ、大丈夫だよきっと…はあ…このハンカチは…あげるよ七條くん!」
こちらも息を整えながら、笑顔で七宮は言った。ハンカチを差し出す。
「いらねえよ!もう…結構長いぞこの道…」
「よし、歩こう!ほら!ハンカチあげるから!」
「だからしつけーよ!どっかに置いとけ!」
そう言って、歩きだそうとした2人。
「ちょっと〜!そのハンカチ〜!!」
追ってきたであろう、長身の人が叫びながらこちらへ近づいてきた。
「やべえ…逃げろおおおおお!!」
「うわああああああ!!!」
2人はとっさに、またもときた道へ逃げた。
ふりだしに戻っていく…!!!