第一話・俺たちの日常
イライラする。
半端なくイライラする。
そろそろイライラのゲージがマックスに到達する。
俺の目の前には、俺の片想いの相手、希代 小夜と小夜の親友の明津 由宇とクラスメイトの椎名 遼がいる。
俺をイライラさせているのは、この男、椎名 遼だ。
遼は今、小夜に抱きついている。
遼はかなりイケメンで、女には不自由しないと聞いた。
中身は悪いやつではないのだが、激しい女好きだ。
最近はよりによって小夜を気に入っている。
どうせなら、由宇を気に入ればいいのに・・・。
由宇は、遼の容姿にも十分釣り合うほどの可愛い女の子だ。
テンションの高い遼や小夜と一緒にいるのに、由宇はかなり物静かな子だ。
大人しくて、気品のある立ち振る舞いをする。
小夜はそれなりに可愛いが由宇ほどではない。
でも、明るくて皆に好かれている。
彼女の眩しい笑顔を俺は好きになった。
結構、容姿の高いこいつらと付き合っている俺は、かなり平凡。
こいつら三人は容姿がいいだけじゃなく、頭も良い。
遼に至ってはスポーツ万能でモテない要素がない。
俺、直井 耀は、顔も普通なら頭脳も人並み、スポーツもそれなりにできはするが、そんなに得意というわけではない。
それなのに、由宇は俺に好意を持ってくれているらしい。
それは凄く嬉しい。
でも、俺が好きなのは小夜で、由宇の好意に応えるわけにはいかなかった。
「つか、いい加減に離れろよ。遼」
「なに?ヤキモチ?じゃ、お前もやればいいだろーが」
「ばっ、俺はそんなこと言ってんじゃなくて・・・」
「じゃあ、どういうことだよ?」
「それは・・・」
うっと言葉に詰まってしまう。
遼の口はかなり達者だ。
将来は、詐欺師という職業にも就けるのではないだろうか。
いいよな、お前は。いくらでも就職先があって。
「どうした?あ?泣くか?」
「泣くかっ!馬鹿!」
「けっ、泣けば面白かったのに」
「もぉ、いい加減に喧嘩やめなよ。耀、遼」
「まぁ、小夜がそういうんなら耀をからかうのはやめようかね」
そう言って、遼は小夜から離れた。
「ったく、最初からそうしてろよな」
「よく言うぜ。小夜に助け舟だしてもらったクセによ」
「ふんっ!」
「も〜!」
呆れる小夜と静かに微笑む由宇。
今はこの四人でふざけあっているのが、日常である。
でも、小夜を俺と遼が好きで、由宇が俺を好きで、でも俺は小夜が好きだから、その気持ちに応えることはできなくて・・・。
もちろん、こんな関係はいつまでも続くはずがなくて・・・。
初めての連載です。
いろいろとおかしい部分もあると思いますが、
そういうのを指摘していただけたら嬉しいです。
感想・評価をお待ちしています。