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最強守護神ふくシリーズ

最強守護神の黒猫ふく、「整えただけ……」と言い残して帰る

作者: モカ
掲載日:2026/05/12

 ユキトが王都新聞に載った三日後。


 ユキトは、王都の掲示板の前で固まっていた。


「……なんだこれ」


 紙が貼られている。


 題名。


『守護神ふく様に関する苦情・ご意見まとめ』


「誰だ作ったの」


 恐る恐る読む。


 -----------------


 ・城壁を修復してくださったのは感謝していますが、途中で昼寝しないでください。


 ・魔王軍を追い返した後、「整えただけ……」と言って帰るのは何なんですか。


 ・国宝級の結界を張った直後に、ちゅーるを要求しないでください。


 ・守護神様が会議中ずっと香箱座りしていて話が入ってきません。


 ・威厳があるのかないのかわかりません。


 ------------------


「最後ひどくない?」


『事実だから仕方ない』


 足元から声がした。


 ふくである。


 いつものようにやる気のない顔で座っていた。


「いや、お前、“整えただけ……”って何だよ」


『別に』


「絶対ちょっとカッコつけたろ」


『……』


「目ぇ逸らした!?」


 ふくはふいっと顔を背ける。


『あの場の空気がそうだった』


「空気で喋るな」


 その時だった。


 ドガァァァァン!!


 王都の外から爆音が響く。


 兵士が叫びながら走ってくる。


「大変です!! 古代魔獣が!!」


「今度は何!?」


『騒がしい』


 ふくは欠伸をした。


『行くか』


「軽っ」


 ◇


 王都の外。


 山のような巨大魔獣が暴れていた。


「終わりだ……」


「勝てるわけが……」


 兵士たちが震える。


 そこへ。


 てちてちてち。


 黒猫が歩いてきた。


「……猫?」


『下がっておれ』


 次の瞬間。


 空気が変わる。


 黒い神威が夜空を覆い、

 巨大魔獣が硬直した。


『……ふむ』


 ふくが猫パンチした。


 それだけ。


 それだけで。


 山ほどあった魔獣が、

 音もなく消滅した。


 静寂。


 誰も動けない。


 風だけが吹く。


 そして、ふくは一言。


『整えただけ……』


「言ったぁぁぁ!!」


 ユキトのツッコミが山に響いた。


『決まったと思ったのだが』


「なんで急に厨二病みたいになるんだよ!」


『……難しい』


 ふくは少しだけしょんぼりした。


 その姿を見て。


 兵士の一人が、ぼそっと呟く。


「……かわいい」


『うむ』


「褒められ待ちだったの!?」


 世界最強の守護神は、

 ちょっとだけ得意そうに尻尾を揺らした。

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