第7話 可憐
あれから四日。
俺の生活は農園を中心に回りはじめた。
畑は増え、それぞれレベルも上げていっている。
白骨狩りにもさすがに慣れてきたかな。
もちろん油断はダメ、絶対!
複数を相手にせず、確実に一匹ずつ狩っていったよ。
あとは農作業。
石を拾い、雑草を一本一本抜き、そのへんに落ちてた枝という超ブラックな農具で硬い地面をほぐして歩く日々。
地味で地道。
それでも不思議とイヤじゃないんだよなー。
ひいじいさんの思惑通りっつーのも癪だが、向いてるのかもしれない。
なにげに達成感あるし。
なにせ今は整った畑が五つも並んでいるから、だいぶ農園らしくなってきたしな。
さて。
そんな五枚目の畑の中央に、俺は今日、最後の種を植えたところだった。
最初に一粒食べた分を除けば、ひいじいさんが残した種は全部ここに植えたことになる。
「よっしゃ!……これで5つの種すべてを植えたぞ!」
そう伸びをしたときだった。
「咲いたにゃー!」
「へ!?」
聡子の叫び声が農園に響く。
慌てて駆け寄ると――
最初に植えた畑の中央に小さな花が一輪咲いていた。
一陣の風。
青い花弁が切なげに揺れ、あたりを淡い光が漂っている。
「にゃー! 綺麗にゃー♪」
確かにそれはそうだけれど、なんだかとても不思議な花だ。
ただ美しいというだけではない魅力を持ちながら、どこか恐ろしくもあり、狂気を孕みながらも可憐である。
まあ、いずれにせよ……
「マンドラゴラ系じゃなくて本当よかったな」
「にゃ?」
次の日も。
その次の日も。
そのまた次の日も。
花は次々と咲いていった。
「幻想的だな……」
「にゃー」
苦労して作った畑に続々と花盛ってゆくさまは、文字通り手塩にかけて育てた箱入り娘たちが正装して花舞台に立ったかのようだった。
しかし、花はいつか枯れるもの。
とりわけ彼女らの寿命は3日だった。
美人薄命、だな。
最初の一輪が枯れる。
……あっけない。
光の幕がふっとゆるむように閉じ、花びらが淡く崩れ落ちた。
「にゃ……」
聡子が切なげに涙ぐむ、ように見える。
でも、世の中別ればかりではない。
枯れた花の跡には小さな黒い種が一粒、かすかな光りを放っていた。
「おお……これがふしぎなタネの二世代目ってわけか。でも……」
「にゃ?」
残された種は一つだったのである。
そう。
これではは増えない。
一つの種が一つの種になっただけだもん。
「……まあ増える確率は10%だもんな」
だけど畑は五枚ある。
咲いた花の数だけ抽選を引けるみたいな話だからな。
そう期待して待つことにしたが、翌日枯れた花もやはり種は一つだった。
その次の日も一つ。
しかし、変化はそのまた次の日の朝であった。
「?? 二つ落ちてる……?」
次回更新、明日7時05分




