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魔力ゼロの俺、能力UPの【ふしぎな種】を食わずに栽培してみたらMP無限増殖のチート農園で最強スローライフを満喫中な件  作者: 黒おーじ
一章 魔法農園の始め方

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第4話 飲み水でもイケるだろ


 小屋に戻ると、部屋の中もすでに暗かった。


 俺はもとの世界から持ってきた大カバンを探り、LEDライトを取り出す。


 スイッチオン。


 ほのかな白い光が、(たたみ)とちゃぶ台を照らした。


 ちなみに、LEDライトは手回し充電のタイプだから繰り返し使える。


 それから座椅子へ座ると、攻略本(ノート)を開いた。


 さっき一瞬『当座の暮らしについて』っていうページが目に入ったんだけど、戦闘中だったから後回しにしてたんだ。


 スゲー気になっていたので、さっそく目を通す。


 まず、食料はこの小屋に半年分の備蓄があるらしい。


 この小さな家のどこにそんなスペースがあるかと(いぶか)しんだが、土間の端に床戸があり、そこから地下スペースに降りることができるのであった。


 地下スペースと言っても6畳ほどのもんだけど、どういう仕掛けか温度がとても低く、まるで冷蔵庫だ。


 ライトで照らすと、米や味噌、塩、漬物といったラインナップがかいま見える。


「異世界じゃレアだろうに……どうやって手に入れたんだろう?」


 そう疑問に思ってまた攻略本(ノート)を見る。


 なにやら、この森には時おり旅の商人が訪れ、彼が売ってくれるらしい。


 商人の名前はゴードン。


 いつか会えるだろうから覚えておこう。


 さて、ペラペラとノートをめくっていくと、やがてLEDライトが弱くなり始める。


 文字が読みづらくなってきた。


 今のうちに布団を敷いておくか。


 布団類は押入れの左にしまってあり、清潔に保管されて、ふっくらしている。


「そういえば……」


 暗くなった部屋で、ふと思い出す。


 ――魔力1。


「……あれ、まだ俺の中にあるのかな?」


 俺は「むむむ……」と身体に意識を集中してみた。


 ……おっ? あった!


 胸の中にじんわりとエネルギーの存在を感じる。


 確かコレ、身体の中を動かせたはずだよな。


 そーっと胸から少しずつ肩へ……


「よし、いいぞ!」


 そう思った瞬間、またコントロールが効かなくなる。


 エネルギーは逃げ回るネズミのように駆けめぐり、しまいにはスルッと指先へ逃げていった。


「ちょ、待っ……あっ!」


 右手の指先がピリッと光る。


 暗い部屋に、小さな火花のような閃光が散った。


「あー……」


 残念。


 また胸の奥に意識を沈めるが、エネルギーは見つけられなかった。


 そりゃ放出しちゃったんだからな。


 でも昼間に一度使い切ったはずなのに、さっきは確かに戻っていた。


 時間が経てば回復するタイプの魔力らしい。


「さて、もう寝るかな……」


 この日から俺は魔力コントロールの練習を日課にしたのだった。 



 ◇



 翌朝、やたら早く目が覚めた。


 昨日の戦闘の余韻がかすかに残っている。


「よし……あと4匹、だよな」


 土レベルを10にすれば、ふしぎなタネを植えることができる。


 そのために白骨を狩りに行くんだ。


 まあ、怖くないと言えば嘘なんだけど……魔力への好奇心の方がどうしようもなく強いんだよね。


 俺は軍刀をベルトに帯び、森へと探索へ出かけた。


 木々に覆われた暗がりはひどく不気味だ。


 LEDライトで足元を照らしながらいこう。


 隆起した大木の根。


 見たこともない昆虫。


 ビビりながらも行き行くと、どこからか水音が聞こえてくる。


 なんだ?……


「……泉だ!」


 しんしんと湧き出る水。


「へえ、綺麗なもんだな」


 空のペットボトルに水を汲む。


 水はひんやりと冷たくて透徹(とうてつ)、頬を濡らすかすかな飛沫(しぶき)が心地よい。


「この様子なら飲み水でもイケるだろ」


 小屋にはバケツと(かめ)があったからな。


 ここの水を汲んで溜めておけばいい。


 農園のことを考えても水に不自由しないってのはありがたいな。


 などと考えながら顔を上げた時だ。


 ――コキ、コキキ……


 泉の向こう側の葉陰に、白骨の姿が見える。


 ヤツもこちらに気付くと緩慢な動きでこちらに歩み寄ってきた。


 あいかわらず敵意だけははっきりしている。


「……上等だ」


 二回目だけにビビって震えるほどじゃない。


 俺は軍刀を抜いた。


 ……が、すぐに難しいってことに気付く。


 昨日は背後から位置が止まっている対象を切りつけたのでなんとかうまくいったが、正面から距離を詰めながら動く敵に刀を振って当てる自信が持てない。


 あたりの草木も邪魔をしそうだ。


 そうだ……突き、か?


 真っ直ぐに突き刺すだけなら素人でもブレが少ないんじゃなかろうか。


「とうッ!」


 思惑はズバリ、刀の突きが敵にヒットした。


 アンデッドは肋骨が欠け、フラフラしている。


 ダメージがあるんだ……イケるぞ!


 俺は思い切って軍刀を振る。


 あまりスピードのある攻撃とはならぬものの、(やいば)は敵を袈裟懸(けさが)けに()ぎ、それがトドメとなった。


「……ふー、ひとまず一匹」


 勝てた。


 でもホッとしてる余裕はない。


 森に何が潜んでいるかわかったもんじゃねーからな。


 その後も慎重に歩きながら白骨を探し、一匹、また一匹と倒していく。


 あらためて思ったけど、白骨はそんなに強くない。


 正面からでも余裕をもって倒せる感触だ。


 刀の重さにも慣れ、ちょっぴり自信がでてくる。


 ――いや、自信……というより、それは油断だったのかもしれない。


「よーし、あと一匹かなぁ」


 そんな時、4匹めのアンデッドに遭遇した。


 こいつを倒したら農園へ帰ろう。


 これで土レベル10にして(タネ)を植えることができる。


「とおお!」


 まず突きで弱らせるんだ……


 俺はそのことだけに集中し、軍刀を敵へ突き立てた。


 よし、イケたぞ!


 ……そう思った瞬間である。


 突然、肩口に丸太のような衝撃が叩きつけられたのは。


「ッ……!?……???」


 鼻先に土が香る。


 気づくと俺は地面に転がっていた。



次回更新、本日19時10分

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