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魔力ゼロの俺、能力UPの【ふしぎな種】を食わずに栽培してみたらMP無限増殖のチート農園で最強スローライフを満喫中な件  作者: 黒おーじ
一章 魔法農園の始め方

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第1話 魔力1


 異世界に来てみた。


 魔力はゼロ。


 才能も、特別なスキルもない。


 その上、会社も辞めちゃったし、もう後戻りはできないんだが……


 目の前には森の中にぽっかり空いた平地。


 ……ギャース!


 遠くの空でドラゴンが鳴いている。


「農園っつーか……荒地(あれち)に見えるよな?」


 俺は頭をポリポリかきながらつぶやいた。


 広さは学校の体育館くらい。


 石や岩が転がり雑草が生え散らかっている。


 そんな光景を見て、ひいじいさん(享年103)の遺言を思い出す。


――ワシの異世界農園をひ孫のヒロトへゆずる――


 そう言うもんだからはるばる日本からやってきたのだけれど……いや、話が違うじゃねーか。


 (すさ)んだ風景に、冷たい風。


 そんな中、小屋がぽつんとひとつ建っていた。


 ……ガタッ、ガタガタ、ガタン!


 ボロい木戸を開ける。


「お邪魔しまーす……」


 中へ入ると囲炉裏(いろり)がひとつ。


 南に(たたみ)スペースと縁側(えんがわ)があり、日当たりも良さそうだ。


 故人が生前使っていたのだろう、(たたみ)には上等そうな座椅子とちゃぶ台が置かれ、その上に『ヒロトへ』と書かれた一通の手紙があった。


 俺は手紙を開いて目を通す。


『ヒロトへ。この農園を見て、さぞひどい土地だと思ったことじゃろう。しかし、ここを異世界一の魔法農園に育てるための超アイテムは用意してある。はじめての農業でも大丈夫じゃよ』


 へー、すご。


 でも、そこまで用意できたんだったら自分でやればよかったんじゃねえの?


『そこまで用意できたんだったら自分でやればよかったんじゃねえの?……と、お前は思うだろう。しかし、残念ながらワシはそーゆう地道な作業は嫌いなのじゃ』


 嫌いなのじゃ……じゃねえよ!


 この手紙破り捨ててやろうか、と思ったが思いとどまった。


 さすがに超アイテムってのが気になるからな。


『最も重要なアイテムは、【ふしぎなタネ】じゃ。これは1つ食べると魔力が1UPする奇跡の(タネ)じゃからのう』


 魔力が1UP……って? 


「……ヤバぁ。さすが異世界だな」


 苦笑いしながらも、箪笥(たんす)の一番上の右を調べるとたしかにあった。


 黒い光沢のある小さな粒がいち、にい、さん……


「6つだ」


 俺はそう手のひらの上のタネを見つめる。


 魔力って、本当かな?


 6つあるんだから一個くらい試しに食べちゃっていいよね。


「とぉ!」


 俺はタネを口へ放りこんだ。


 ……味は無い。


 けれど、なにかトロみのある熱が喉を伝い、胸にかすかな抽象的エネルギーが宿るのがわかった。


 それは俺の意志で体中を移動させることができるが……


 でも、ひどくコントロールが難しいぞ。


「あッ!」


 ――バチン……!!


 その刹那(せつな)、指からささやかな閃光がほとばしる。


 ほんの一瞬、火花のように。


 魔力……


 どうやらマジらしい。


 ひとつ食べて魔力1。


 食べたら食べたぶん、この超常的な力を手にできるってことだ。


『ワシはふしぎなタネを求めて異世界中を冒険した。が、あまりにレアで6つしか集まらんかったのじゃ。しかし、あきらめることはない。逆に考えるのじゃ。「集まらなくってもいいさ」と考えるのじゃ』


 なるほど……それで農園かあ。


 能力UPのタネアイテムがレアすぎるなら、今あるタネを栽培して増やせばいい。


 考えたもんだな。


『その他のことは攻略本に書いておいた。参考にしてね』


 と言うので箪笥(たんす)を探すと、一番下の引き出しに大学ノートの束があった。


 その中で一冊だけ表紙に『攻略本』とマジックで書かれているものがある。


「小学生かよ!」


 ……とは思ったが、意外にもそこにはこの世界そのものの攻略情報がみっちり書かれていた。


 これは正直助かる。


 さしあたって『栽培の方法』ってところを読んでみよう。



次回更新、本日12時30分

※ブックマークして読んでいただけたら幸いです!

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