「人影⑦」
旧校舎の薄暗い廊下に、俺たちの足音だけが響く。
あの人影の正体を突き止めるため、俺たちは再びこの場所に戻ってきた。
「……静かだね。」
美咲が俺の袖を軽く引っ張る。
「そうだな。でも、誰かがここを使っていた痕跡はあるはずだ。」
俺たちは慎重に足を進め、昨日影を見かけた教室の前で立ち止まる。
——ガタッ。
微かな物音が、俺たちの耳を捉えた。
「悠真……今の……!」
「気のせいじゃない。確かに中に誰かいる。」
俺は美咲を後ろにかばいながら、そっと扉を開けた。
そこにいたのは——
「……涼太?」
俺のクラスメイト、**涼太**が驚いたように振り向いた。
「……悠真? なんでお前らがここに?」
「それはこっちのセリフだ。お前こそ、こんなところで何をしてる?」
涼太は言葉を詰まらせたが、やがて観念したように肩をすくめる。
「……別に、怪しいことをしてるわけじゃねぇよ。ただ、探し物をしてただけだ。」
「探し物?」
「これさ。」
そう言って涼太が見せたのは、一冊の**ボロボロのノート**だった。
古びた表紙、色褪せたページ。だが中身はほとんどが剥ぎ取られているように見える。
ほとんど表紙だけのノートだ。
「これ……何のノート?」
美咲が恐る恐る尋ねると、涼太は少し寂しそうな表情を浮かべた。
「……兄貴のノートだよ。」
「兄貴?」
「俺の兄貴は、数年前にこの学校を卒業したんだ。昔から旧校舎によく入り浸ってたらしい。卒業するときに『旧校舎に大事なものを置いてきた』って言ってたんだけど、結局それが何なのかは教えてくれなかった。」
「それで、このノートを探してたのか……。」
「そう。でも、どこを探しても見つからなくてさ。」
「じゃあ、今回の持ち物の紛失事件とは関係ない?」
「……いや、それがな。」
涼太は少し言いにくそうにしながら、ボロボロのノートを俺に差し出した。
「中を見てみろよ。」
俺はページをめくる。
俺たちは思わず顔を見合わせる。
「中身が破られていて殆ど残ってない」
俺がさらにページをめくろうとした、その時——
——バタンッ!!!
「っ!!?」
突然、教室から音がした。
「な、なに!?」
美咲が俺の腕にしがみつく。
「……誰かがいる。」
俺たちは一斉に振り向いた。
廊下の奥に、確かに**人影**があった。
「おい、待て!!」
俺は咄嗟に駆け出した。人影は旧校舎の奥へと逃げていく。
「悠真!」
美咲と涼太も慌てて後を追った。
だが——
第11話です
今後もよろしくお願いすます