「人影⑥」
放課後、俺たちは再び旧校舎へと足を運んだ。
健太はサッカー部の練習があるからと、今回は同行を拒否した。
あいつもなかなか忙しいみたいだな。
昼間の喧騒とは違い、夕焼けに染まった廊下は静寂に包まれている。足を踏み入れるだけで、空気がひんやりと冷たく感じた。
「うぅ……何回来ても、ここはやっぱり不気味だね。」
美咲が俺の袖を軽くつまみながら、小声で呟く。
もうこの距離には慣れてきたぞ...!
「怖いなら無理しなくていい。」
「べ、別に怖くないし!」
そう言いながらも、美咲の手は俺の袖を離そうとしない。俺は苦笑しながらも、警戒を怠らずに進んだ。
玲奈が慎重に周囲を見回しながら言う。
「昨日、人影があったのはこのあたりだったはずよ。」
俺たちは足音を忍ばせながら、旧校舎の奥へと向かった。
「ねぇ、昨日、足音が聞こえたのってこの辺りだよね?」
美咲が震えた声で尋ねる。
「確かにそうね……でも、何か違和感がある。」
玲奈が微かに眉をひそめた。
「違和感?」
「ええ。昨日と比べて、少し物の配置が変わっている気がするの。」
俺も周囲を見渡してみた。確かに、昨日はもっと乱雑だったはずの机や椅子が、今日は妙に整えられている。
「誰かがこの場所を使っている……?」
俺が呟いたその時——。
カタンッ!
突然、奥の部屋から小さな物音が響いた。
「今の……!」
美咲がビクッと肩を震わせる。
俺はすぐに彼女の前に立ち、慎重に音のした教室へと近づいた。扉の前で一度深呼吸し、ゆっくりと手を伸ばす。
**ギィ……**
軋む音とともに扉が開く。
そして——。
「……っ!」
俺たちはそこで、 思いもよらぬ人物 を目にした。
「お前……!」
そこにいたのは、あるクラスメイトだった。
俺たちは驚きとともに、その場に立ち尽くした。
第10話です!
よろしくお願いすます!