「人影⑤」
旧校舎での出来事から一夜明け、俺たちは引き続き調査を進めることにした。
「それで、玲奈。昨日の話の続きだけど……」
昼休み、俺と美咲、健太、玲奈の四人は教室の隅で小さく円を作るように座っていた。
玲奈は静かに頷くと、昨日の出来事について改めて話し始めた。
「……私が旧校舎にいたのは、ただの偶然。でも、あの時、確かに誰かがいたのは間違いないわ。」
「その『誰か』って、どんな感じだった?」美咲が前のめりになって尋ねる。
「はっきりとは見えなかったけれど……」玲奈は少し考え込むと、ぽつりと答えた。「暗闇の中で、何かを探しているように見えたの。」
「何かを探してる……?」俺は思わず眉をひそめた。
「じゃあ、幽霊とかじゃなくて、人間ってこと?」健太が少し安堵したように笑う。
「ええ。でも、その人は私に気づくと、すぐに姿を消したの。」
玲奈の言葉に、俺たちは思わず顔を見合わせる。
「旧校舎で何かを探していた……」俺は呟くように言いながら、考えを巡らせた。「それがもし、今回の『消えた持ち物』の件と繋がっているとしたら?」
「悠真、それどういうこと?」美咲が興味津々に聞いてくる。
「まだ仮説だけど、何者かが旧校舎で何かを探していて、その過程で俺たちの持ち物を盗んだ可能性もある。」
「でも、それなら何のために?」玲奈が冷静に尋ねる。
「……それがまだわからない。」俺は腕を組みながら考え込んだ。
その時——
「おーい!お前ら、何してんだ?」
突然の声に振り向くと、クラスメイトの一人が俺たちの集まりを不思議そうに見ていた。
「いや、ちょっとした相談ごと。」美咲が笑顔で誤魔化す。
「ふーん?ま、頑張れよ!」
そう言って、クラスメイトは去っていった。
「危なかった……」健太がホッと胸をなでおろす。
「旧校舎で何かが起きているのは確かよね。」玲奈が真剣な表情で言う。「もう少し、調べたほうがいいと思うわ。」
「そうだな。」俺は頷いた。「放課後、もう一度旧校舎に行ってみよう。」
俺たちは、それぞれ覚悟を決めた。
今度こそ、何か手がかりを掴めるかもしれない——。
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