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「人影⑨」

放課後の旧校舎。夕日が赤く差し込み、長く伸びた影が廊下に揺れる。


昨日は結局謎の人影に逃げられてしまった。


あの身体能力からして、その人物は男なのだろうか


「でも、あれは本当に……人間だったのかな。」


玲奈の言葉に、美咲が少し肩をすくめる。


「やめてよ、怖くなるじゃん……。」


「ほんとに幽霊だったらどうするんだよ」


俺が少しが茶化すように言うと美咲はブルッと震えてこちらを少し睨む。


「そんなわけないでしょ! ただの不審者か何かよ。」


「まあ、確かに。」


俺も頷きつつ、旧校舎の奥へと進んだ。



---



廊下の先にある一室。昨日と同じように扉はわずかに開いていた。


「ここだよな……。」


俺は息を呑みながら、慎重に扉を押す。ギィ……という軋む音が静寂の中に響き、心臓が一瞬跳ね上がる。


中は昨日と変わらず、机と椅子が乱雑に並んでいるだけだった。


「誰もいない?」


美咲がそっと俺の袖を引く。その仕草に一瞬ドキッとするが、すぐに気を引き締めた。


「念のため、もう少し調べよう。」


俺たちは部屋の隅々を確認する。机の引き出しを開け、床を覗き込み、棚の奥まで探る。


そして——


「これ……!」


玲奈が小さな紙切れを拾い上げた。


「なに、それ?」


美咲が興味津々で覗き込む。


「メモみたい……。『探し物は屋上』って書いてある。」


「屋上?」


俺たちは顔を見合わせる。


「この旧校舎の屋上って開いてるの?」


美咲が玲奈に尋ねる。


「普通は施錠されてるはず。でも、誰かがここにこのメモを残したなら、開けられる可能性もある……。」


「行ってみよう。」


俺たちは一斉に頷き、教室を後にした。



---



旧校舎の屋上へと続く階段は、埃っぽく、長い間誰も使っていないように見えた。


しかし——


「鍵、開いてる……?」


俺は驚きつつ、静かに扉を押し開けた。


そこには、夕焼けに染まる屋上と——


「誰か、いる……?」


遠くに、小さな影が見えた。


俺たちは慎重に歩み寄る。


その人物が、ゆっくりと振り返った。


「——え?」


その顔を見た瞬間、俺たちは思わず息を呑んだ。


「お前……!」


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