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試練と明らかな異変

亮介は、ゆっくりと森の中を進んでいく。


森の空気は湿気を含み、薄暗い林の中を進むのは一層困難だった。森の中には奇妙な音が響き渡り、時折枝が揺れるたびに物音が響く。亮介は慎重に、地図に示された地点に向かって進んでいった。

途中、村人から渡された簡素な剣を鞘から引き抜き、使用感を確かめた。


「一応ちゃんと斬れる…とはいえ、剣なんてまともに振ったこともないんだ。素人が過信するのは良くないな…」


幾度となく道に迷いながらも、数時間後、ついに亮介は目的地にたどり着いた。

目の前に現れたのは、大きな石の構造物。近づくと、それが古びた石碑であることがわかった。石碑には、深い彫刻と謎めいた模様が施されており、その周囲には奇妙な符号が刻まれていた。


亮介は石碑をじっと見つめ、その模様を注意深く観察した。石碑の周囲には妙な気配を感じるが、何も起こらない。しばらくすると、石碑の前に設置された小さな石像が目に入った。石像には、神秘的な光を放つ石が嵌め込まれている。亮介は試しにその石を触ってみることに決めた。


その瞬間、石碑が微かに震え、周囲の空気が急激に変わった。亮介は不安を覚えつつも、石像の周囲にある模様に合わせて石を回す。


「ダイヤル式の錠みたいなものかな、ただ模様に合わせるだけじゃダメか… ッと!?──」


音を立てながら石碑の表面に輝く模様が現れた。

だが、その直後、森の中から突然、巨大な獣が現れた。


「こんなデカい生き物が、一体どこに隠れてたんだ!?」


突如現れた背中に鋭い棘が突き出た大型の獣は、深い咆哮を上げながら亮介に襲いかかってきた。


咄嗟に剣を構えるが、獣の獰猛な突進を避けきれず、左腕に小さな傷を負った。

相手の突進に乗じて切りつけてみたが、獣の皮膚は異常に硬く、亮介の剣は弾かれてしまっていた。


「くっ、どうすれば……」


亮介は追い詰められ、焦りが募る。何せ相手は現実のクマよりも大きな獣だ。常識で考えれば、刃物を持っていたとしても人間に倒せる相手ではない。

だが、すぐに亮介は冷静さを取り戻し、じりじりと後退して距離を取りながら、相手を観察することにした。


姿かたちはヒグマに似ているが、その大きさや棘のある背中、光る紅い眼は、現実離れしている。どう考えても地球上の生物ではない。異世界らしく言うならば、魔物と呼ぶべきだろう。


心の中で覚悟を決め、亮介は全力で森の中に逃げ込むことにした。魔物はすぐに追ってきたが、その巨体ゆえに木々の間を縫うように走るのは得意ではないようだ。亮介は自分の速度が相手の機動力を上回っていることを感じ、森の地形を利用して策を練る。


「どうにかして、この巨体を転ばせるんだ……!」


亮介は、足元に転がる大きな石を見つけると、それを魔物の進路に転がす。そして、魔物が勢いよく突進してきた瞬間、足元をすくうようにその石に引っかかり、巨体がバランスを崩した。


「今だ!」


亮介は即座に反応し、倒れ込んだ魔物の耳に向かって全力で剣を突き刺した。鋭い刃が魔物の皮膚を貫き、肉に食い込む感触が伝わってきた。しかし、魔物は即死することなく、苦痛に咆哮を上げるだけだった。致命傷には至っていない。


「やっぱり、これじゃダメか……!」


魔物は怒りに燃え、その巨体を揺らして立ち上がろうとする。亮介は剣を引き抜き、再び距離を取ることを考えるが、相手の動きが速く、すでに反撃の態勢を整えていた。裂けた耳から血が流れ出し、その目はさらに狂気を帯びている。


「くそっ、しぶとい奴だ!」


亮介は息を整え、冷静に次の攻撃のチャンスを探る。魔物は傷ついた耳を庇いながらも、再び突進してくる。亮介はその動きを予測し、ギリギリでかわす。土埃が舞い上がり、視界が一瞬遮られるが、その間にも魔物の咆哮が耳をつんざく。


考える時間はない。亮介は巨獣の動きを読みながら、もう一度、今度は決定的な一撃を狙うことを決意した。魔物は再び突進してくる。その速度は予想以上で、亮介はわずかに足を滑らせたが、すぐに体勢を立て直した。


「このままじゃ、埒があかない……!」


亮介は、魔物の巨体に振り回されるだけでは勝ち目がないと悟った。そして、ある考えが頭に浮かんだ。森の中には、いくつかの急な斜面がある。もし、そこをうまく利用できれば、魔物を倒すチャンスがあるかもしれない。


亮介は魔物を挑発するようにわざと接近し、すぐさま背を向けて走り出す。そして、先ほど見つけた斜面へと誘導する。魔物は亮介を追いかけるが、その巨体では急な坂道にうまく対応できない。まさにその瞬間、亮介は一気に方向を変え、魔物の横腹に回り込んだ。


「ここだ……!」


亮介は全力で剣を振りかぶり、魔物の脇腹に深く切り込んだ。巨獣が痛みにのたうち回り、その巨体がバランスを崩して斜面を転がり落ちていく。激しい音とともに地面に叩きつけられ、土砂が舞い上がる。亮介は息を切らしながら、その光景を見つめた。


魔物が動かない。そのまましばらくの静寂が続いたが、亮介は警戒を緩めずにゆっくりと近づく。魔物は、すでに息絶えていた。


「……終わったか?」


亮介は大きく息をつき、剣を握りしめた手を見つめた。戦いが終わったという実感が湧くと同時に、疲労が一気に押し寄せてくる。しかし、その瞬間、倒れた魔物の亡骸から淡い光が漏れ出し始めた。


「何だ……?」


光はゆっくりと空中に浮かび上がり、まるで意志を持ったかのように亮介の方へと流れてくる。その光は、彼の体に触れるとすぐに内部へと吸い込まれていった。


「……なんだ、この感じ……?」


光が体内に吸収されると、体中に不思議な感覚が走った。筋肉が張り詰め、皮膚が引き締まり、さらに内面からも力が溢れ出してくる感覚があった。体全体が新たな力を得たかのように感じ、以前よりも強靭で引き締まった身体に変わりつつあった。

呼吸が深くなり、視界が鮮明になっていく。


「まさか…やっぱりこの世界は……!!」


亮介は、その異常な感覚に戸惑いながらも、自分の力が確実に強くなっていることを悟った。これまで感じていた疲労や痛みが消え去り、代わりに強靭なエネルギーが全身に満ちている。


「これが……この世界のルールってことか……!」


亮介はしばらくその変化を味わいながら、確信した。

自分はこの世界に適応し、元の世界とはまったく別の人類に進化している。

もう少し重厚感のある小説を書きたいと思っていたのですが、自分には無理そうなのでライトな感じで書いていくことにします。。

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