2話 《|時戻し《タイムリーパー》》
「おいおい、なんだこいつ何も分かってないんじゃねーか??」」
「くすくす、そうみたいね。みっともない。このダサい男の彼女さんは何をしてるのかしら」
急に剣で突き刺されそうになって、その後なんだか知らんが笑われる。
気分の悪い状況だった。
「おい、なんなんだよこれ。何で俺を切ろうとしてくんだよ、てか何であんたの右手が剣になってんだよ」
頭の中に浮かぶ疑問符をとりあえず言葉で口に出しまくる。
俺はバカだから言葉を発することで状況を確認するのが癖なのだ。
「はぁ? 俺の能力は右手を剣に変える能力ってご丁寧に教えてやっただろ??」
相手の男は剣を俺に突きつけ、その後ろでは彼女らしい女がクスクスと笑っている。
「だから『能力』だなんだ言われてもさっぱり分かんねーだよこっちはさ!!」
俺は全力で右手をふるい、突きつけられた剣の腹に思いっきり拳をうちつける。
「うぉっ!!」
拳で剣をはじいた俺はすかさず相手のふところにもぐりこみ、そのまま相手に腹パン3発。
どすん、どすん、どすん、と3発腹パンされた男はそのまま地面に倒れ伏した。
「あら、あなた強いのね」
後ろに控える彼女らしき女は驚いた顔でこちらを見ていた。
「おい、お前もこうなりたくなかったら説明してくれ。いきなり剣つきつけられてこっちは意味不明なんだよ」
「うーん。あなたの彼女さんは説明してくれなかったの?」
そう言いながら女は倒れている男の元へとかけよる。
「ほら、起きなさい。何のびてんのよ」
女がとん、とんと倒れた男を叩く。
すると男は起き上がった!
「わりぃ、わりぃ、俺としたことが油断したわ」
「全く......私がいないとほんと駄目なんだから」
起き上がった男は俺をにらみつける
「おい、今度は油断しねーぞ!! 次こそお前をぶった切ってやる!!」
「いや、待て待て、なんで普通に起き上がってんだよ、さっきまで気絶してただろ」
「あぁ? それは俺の彼女の能力だよ。俺の彼女の能力は《時戻し》。気絶する前の俺に時間を戻したって訳さ」
「いや、だからその『能力』ってやつが分かんねーんだよ!!」
俺はすかさず男のふところにもぐりこみ、今度は腹パン5発。
どすん、どすん、どすん、どすん、どすん。
男は再び地面に倒れ伏した。
「.....あなたほんと強いのね。でも私の彼氏は何度でも起き上がるわよ」
女が男に手を触れようとする。
「させるかよ!!」
俺はすかさず女のふろころにもぐりこみ、腹パン1発。
女は地面に倒れ伏した。
後に残ったのは地面に倒れ伏した男女のカップルだった。
「いや~、おみごとおみごと」
突然後ろから声が発せられた。
振り返ると一人の若い男がニヤニヤしながら立っていた。
「後は殺すだけだね、はいズドン」
ダン! ダン! と2発の銃声が鳴る。
足元に倒れ伏した男女のカップルの身体から血が噴水のように噴き出した。
「僕の手を見てそう驚かないでおくれよ。これが僕の能力。右手を銃に変える力だよ」
男はにやけながら俺に銃口を差し向けた。