照れ隠しは言い訳にもならない
カケデラは常々「思ってもないことを言ってはいかん。思ってても言ってはいけないこともある。もし言ってしまったなら、すぐその場で謝りなさい」と言っている。口に出た言葉一つで人間関係がガラッと変わってしまうからだ。
特に思春期頃の子どもに対して言うことがある。というのも、この頃は思春期特有の不安定さや影響されやすさで、口をついて言ってしまうことがあるからだ。
しかし、受ける側だって人間。暴言吐かれて「子どもだから仕方ない」なんて言えるわけがない。人を傷付けるのに年齢は関係ないからだ。
そして、今日の相談はそんな一人から来たものだ。
『17歳男子高校生。僕には小学生の頃から好きな女の子がいます。ですが、小学生の時に友人たちに揶揄われた結果「あんなデブ好きじゃない」と言ってしまい、それを彼女に聞かれてしまいました。以降、彼女とは全く話せておらず、父親の仕事の関係で彼女は引っ越していってしまいました。最近になって、友人が通っている塾に彼女がいるのを知りました。彼女に思いを伝えたいのですが、どうすればいいでしょうか。』
『無理じゃないですか?』
いやそんなばっさり言わんでも…とチャットは出るが、カケデラは厳しいことを言う。
『そもそも、子どもだろうと彼女に対して暴言を吐いておいて、それを謝りもせず今さら好きでした?どの面下げて言ってるんですか。すぐに引っ越してしまったと言ってますが、場所も時間も選ばなければ謝るくらい出来たでしょうに。引っ越しなんてそんなすぐ出来るものじゃないんですよ、夜逃げじゃないんですから。』
『あなたのその照れ隠しのつもりで言った言葉は、照れ隠しでもなんでもありません。人を傷付けた酷い暴言でしかないんです。素直になれなかった小学生時代の甘酸っぱい思い出、とかでもありません。一人の人を傷付けたくせに、謝りもしない最低人間の過去でしかない。』
『あなたが彼女にすべきは、誠心誠意謝ること。土下座して頭地面にこすりつけて、必死に謝ることが最初にすべきことでしょうに。何が思いを伝えたいだ。私が彼女の父親ならそんなクソ野郎ぶちのめして二度と娘に会わせない。謝罪が最初に出てこない時点で、あなたは彼女に暴言を吐いたこと自体を悪いと思ってないんでしょうが。』
『人を傷付けたことを謝りも出来ない人間に、恋愛など必要ない。謝れないあなたの人生に彼女を巻き込まないでください。』
あまりのバッサリ具合に「でも小学生ならやっちゃうし…」「小学生でそこまで出来るか?」というチャットもあったが、「厳しくて当たり前だ!うちの娘にそんなことされたら一生許さない!」「子どもでも言って良いこと悪いことくらいわかるでしょうに」と色々である。
『照れ隠しで思ってもない言葉を吐く人は一定数います。ですが、それって本当に意味ありますか?言葉は伝わらないと意味がない。相手にちゃんと伝わらないなら、それは照れ隠しでもなんでもありません。ただの言葉の暴力です。暴力を振るってくる人を好きになる人はいないんですよ。』
カケデラは、取り上げなかった相談をふと見た。
相談者の高校生と同じ年齢の女の子から、昔言われた言葉がキッカケで、彼のことが怖い。でも最近接点を持とうとしてくる。助けて。
というものだった。
相手は相談者じゃないかもしれない。けれど、実際に苦しんでいる人がいる以上、肯定などしない。
人を傷付けた代償は、自分で払うべきなのだ。
相談者
小学生男士によくいる、照れ隠しで思ってもないことを言った人。だが謝れなかったし、再会時にまず謝るということが頭になかったため、カケデラにぶった切られた。まず謝る、だったらまだ救いはあった。
大いに反省して、友人に彼女への手紙を届けてもらうことにした。そこには、しっかりと謝罪の言葉が書いてあった。
カケデラ
人生相談系動画配信者。
子どもだろうと暴言は許される物じゃない。ていうか、照れ隠しって言えば暴言が許されるとでも?その考えがふざけてるとキレている。
この後、言葉一つで簡単に人の人生を狂わせてしまう、人間とはそういう生き物だ。だからこそ、気を付けなければならないと相談者を諭した。