暴言は愛ではない
近年になって、外見に対してあれやこれや言うのがタブーとなってきた。そのことについて色々言いたい人はいるだろうが、カケデラ的には良い傾向だと言う。
そもそも人の外見をあげつらって暴言を吐くなんて愚の骨頂である。言った方はただの揶揄い程度かもしれないが、言われた側には酷い暴言であり心に深い傷を負う。
健康に害があるような体型なら改善の必要はあるが、それでも伝えるなら言葉を探すべきである。頭で何も考えてない発言はいらないのだ。
で、今回来たのはそんな頭で考えてない奴からでして…
『35歳男、会社員。結婚5年目で2人の子ども、うち一人は乳児がいます。仕事で忙しいなりに家事と育児はしていますし、愛情表現もしていますが、妻がどうにも不機嫌です。どう機嫌を取るといいのか分からず、カケデラさんに相談した次第です。』
『なるほど、産後の奥さんの機嫌が悪いと。そもそも産後はホルモンバランスが著しく乱れるので、機嫌どころか情緒が不安定になりますが…。本当にそういう理由ですかね。相談者さん、あなたの言う家事育児の内容と愛情表現を書いてください。自分がやっていることを詳しく書けないなら、あなたが確実に悪いとみなしますよ。』
と、カケデラにおど…ゲフンゲフン、諭された相談者は、さらに追記を送った。
『帰ってからの風呂掃除、皿洗い。買い出しにゴミ出し、ゴミを集めるところから。子どもの入浴と休みの日の遊び相手。まあ仕事しながらならまだ良い方でしょう。で?愛情表現が…妻に対して軽口を言う。…ふーん、軽口、ねぇ。』
今、画面の向こうですら温度が5度下がった気がした。
『軽口の内容をさらに書いて送ってください。ていうか送れ。』
既に何かに気付いているカケデラだが、相談者をボッコボコにするにはまだ材料が足りない。今度は命令形にして追記を送らせた。
『妊娠出産で体重の戻らない妻に対して、太ったなー、ブタちゃん、おデブちゃんなど…』
配信部屋に居たスタッフが気付いた。その額に、ビキビキと青筋が出ているのを。視聴者は気付いた。あ、この相談者クズだと。
『黙れこのクソクズ無能野郎が。』
まあそうなるよねー、という暴言が返ってきた。
カケデラは基本暴言良くない派だが、相手が人を傷付ける暴言を吐くならそら容赦しない。クズにはクズとはっきり言わないといけないのだ。
『何が太っただ、デブだ、ブタだ。誰の子どもを出産して太ったというんですか。あなたの子でしょう。あなたの子どもをそれこそ死ぬ気で産んで育てている人に対して、よくもまあそんなことを平気で言えますね。しかもあろうことかそれが愛情表現?寝言は寝て言ったらどうですか。』
『妊娠でなぜ太るか分かりますか?守るためですよ。脂肪で子どもを包むために、妊娠中は太りやすくなる。その後も母乳などのためにエネルギーを蓄える役目もある。妊娠で太るのは、全て子どものため。命のために付いた脂肪がそう簡単に落ちるとでも思ってるんですか。ずいぶんおめでたい頭ですねぇ。』
『乳児の世話で寝る暇もない。寝たと思ったら自分の心身を休める時間に使うでしょうに。どうせ家事育児をやっていると言っても、奥さんがダイエットする時間を作れるだけはやってないんでしょう。まぁやってたとしても、その暴言で全て意味のないものになりますけどね。』
『人の外見をあげつらって揶揄うやつに、碌な人はいません。悪意で言ってるならまだしも、それを愛情だとか抜かすやつに救いはありません。慰謝料養育費今後の生活費全て出して離婚して差し上げるべきですね。というかね…』
『デブだのブタだのは、揶揄いでも軽口でもない。立派な暴言です。名誉棄損罪。どうぞ立件されて前科ついてください。』
さらに追記で「離婚は嫌だぁぁぁ!!俺は妻を愛してるんだぁぁ!!」とか泣き言チャットが来たが、それを「愛してるなら暴言は吐きません。では次の相談に…」と一刀両断けんもほろろ。
ようやく危機感を覚えた相談者だったが、時すでに遅し。今までの暴言を録音されており、それを妻の両親自分の両親に暴露され、両親たちブチギレ。特に妻側がやばい程に怒り狂っている。
土下座し続けなんとか離婚は回避したが、妻からの愛情は目に見えて無くなった。挽回の可能性はあるにはあるが、難しいだろう。
ま、妻の本心は「子どもが小さいから離婚しないだけで、ある程度手を離れたら離婚しよう。配偶者に暴言を吐くような人、きっと子どもにも言うはず」である。はい、終わった。
相談者
暴言を愛情とか抜かすバカ。未来の離婚は回避不可能レベルになっており、妻からの愛情ももうない。
妻がやると面倒なことになるからと、相談者側の親族から「クズ」「最低野郎」と暴言吐かれている。抵抗しても「お前が奥さんにやったことだろう」と逃げ場がない。
そこまで来てようやく暴言は愛ではないと気付くが、もう全てが遅い。
カケデラ
人生相談系動画配信者。
暴言を愛と抜かす輩に容赦などしない。そういう奴ほど自分が言われると傷付いたりキレたりするのも知っている。
例えどんなに相手を愛していても、暴言を吐いた時点で救いはない。
この後恋人や配偶者から愛と称した暴言を吐かれていた人たちが目覚め、別れ離婚が相次いだ。いいぞもっとやれ。