与えないなら与えられない
行事やイベントごとがあると、それに伴った相談などが良く増える。受験シーズンなら受験への心得やらしんどい思いを聞いて欲しい。春になると学校や会社で無事にやっていけるかの不安。そういうものもカケデラは良く聞いている。
で、年末近くなるとクリスマス系の相談が増える。クリスマス直前に別れた、クリスマスまでに告白すべきかなど。
だがカケデラ的に一番気分が悪いクリスマスの話は、親が子どもにあげるクリスマスプレゼントであった
『30代女、既婚、子ども一人。私は子どもへのクリスマスプレゼントは実用性のあるものが良いと思っています。なのでゲームではなく図鑑とかをあげたいと思っているんですが、周囲がそれじゃダメだと止めてきます。カケデラさん、子どもには小さいころからの教育って大切ですよね?ゲームより図鑑の方が絶対良いはずです。どうしたら周りを説得出来ますか。』
『子どもの希望通りのクリスマスプレゼントすら用意出来ない親が、子どもの教育を語らないで欲しいですね。』
すんごい冷めた、いや冷たい声で返すカケデラ。それに相談者はピキリと固まった。
そらそうだ。自分が正しいと思っていて、周りに自分が正しいとどう表現すればいいのか、的な相談なのだから、カケデラがキレるのも当たり前だ。
『クリスマスプレゼントは子どもの夢と希望が詰まったものです。金銭面や物が人気過ぎて手に入らないなど、そういった理由以外で希望じゃないものを渡すのは言語道断。というかクリスマスプレゼントはサンタさんがくれるものですよ。なら子どもの希望に沿ったものであるべきでしょう。子どもの教育にいいものを!というのはあなた、つまり親の希望でしょう。親の希望通りのプレゼントなどクリスマスにはいらない。そんなにあげたいならサンタさんからではなく親からとして別個にあげるべきでしょう。』
『こういう親いるんですよね。子どもの希望を一切聞かず、自分の思う通りの物しか与えない、自分の思う通りの意見しか言わせない。そうやってると子どもはどうなるか分かります?諦めるんですよ。親は自分の意見を一切聞いてくれない、受け入れてくれない。何にも与えてくれないってね。親の敷かれたレールの上しか動けなくなって自主性が無くなり、社会に出てから詰んだり苦労する。もしくは…』
『親が何かを求めていても、絶対にそれを与えないようになる。』
『帰省して欲しいと言われても帰らない。老後を見て欲しいと言われても放置。そうやって全てが子育てが終了したときに帰ってくるんです。当たり前ですよね。子どもに与えなかった親は子どもから何にも与えてもらえません。欲しいものも、時間も、不安の解消も何もしてくれない。それがあなたのしている育児の結果です。』
そうカケデラに叱られた相談者だったが、未だ反省せず「子なしの分際で育児を語るな!お前より私の方が親なんだから分かる!」という感じの返事が来た。
それに対してカケデラは冷静に
『私は確かに子どもがいません。結婚もしてませんしね。ですけど子どもだった時がある。クリスマスプレゼントを貰った時の記憶もある。欲しいと言ったゲームが朝枕元にあった時の嬉しさを覚えている。あなたはどうなんですか。欲しいと言ったプレゼントが貰えなかったのなら、その悲しさを子どもにさせてはいけない。もらえて嬉しかったのなら、何故その喜びを子どもに与えてあげないのか。』
『それに私はあなたのような親からそんな教育をされて苦しみ悲しんできた人たちから沢山話を聞きましたよ。恨む人も、もう諦めて何も感じない人も、疎遠や縁を切った人もいます。そしてその人たちからの悲痛な「どうして…」という言葉が私は忘れられない。』
『どうして話を聞いてくれなかったの。どうして欲しいと言った物じゃなくて親の望むものしかくれなかったの。どうして自分を受け入れてくれなかったの。』
『どうして、愛してくれなかったの。』
被害者たちの言葉を代弁するカケデラのその声に、相談者はもう何も言えなくなった。
違う、自分の子はそんな風にならない。自分の子育ては間違ってない。周りが間違ってるんだ自分が正しい。そう思いたかった。
けれど、自分と同じような教育を施してきた親の子が皆間違っていたと突き付けてくる。
『この手の親が愛しているのは、自分の思い通りになる子どもであって、個性があり自我がある自分ではない。成長していく過程で、皆さんそれに気付くんです。そして突き付けられる。親は、ありのままの自分を愛してなどいないんだと。』
違う!とキーボードを叩きつけ立ち上がる相談者。しかしチャットに溢れるリスナーの言葉でそれが事実なのだと分からせられる。
そこには、多かれ少なかれ親にそんな仕打ちを受けた人の苦しみの言葉がずらりと並ぶ。
違う、皆優秀な私の育児に嫉妬してるだけだ。そうに違いないと言い聞かせていた。逃げるように配信から抜け、相談者は子どもにあげる図鑑を買いに行こうと翌日本屋へ行こうとした。
しかし、家を出るとそこにいたのは夫に自分や夫の両親達。買い物を阻止され、家に連れ戻され、全員から説教を受けることになった。
果たして彼女は改心するのか。それは当事者たちにしか分からない。
相談者
子どもにあげるクリスマスプレゼントを自分の思い通りにしたがった母親。
自分の教育は間違ってないとカケデラに聞いたが、真っ向から間違っていると返される。逆ギレするもどんどん事実を突きつけられ、最後は配信から逃げ出す。
結局反省せず、図鑑を買いに行こうとしたところを夫と親族に捕まり盛大に説教される。その後改心したかは分からないが、おそらく改心しなければ離婚の可能性がある。
カケデラ
人生相談系動画配信者。
クリスマスプレゼントを希望通りにしない親のあれこれが入ってくるので、クリスマス近くはよく怒ってるし説教することも多い。
クリスマスプレゼントに限らずこの手の親は後を絶たないので、こういう親の犠牲になった人から沢山話を聞き、お前の育児の結果はこう思われるんだと突き付けている。
子どもに与えなかった親が子どもに与えられることはない。そう配信を締めくくっている。




