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人生相談系動画配信者  作者: pine
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背中を撃つな

親と縁を切っている人は確実に存在する。自分の周囲にいなくとも、必ずどこかにいるほど親と縁を切る・疎遠にする人はいるのである。そう珍しいものでもない。

理由はいろいろあるだろう。だが子どもの側から縁を切っている場合、大体親に問題があるので接触したくない。一度でも会えば必ずと言っていいほど子どもの幸せを妨害してくるので。

カケデラはその手の相談にたくさん乗っているし、実際に毒親持ちで絶縁した人も見ている。

子どもを愛さない親、愛し方を盛大に間違えているのにそれを指摘されても反省どころか逆ギレする親もいる。

子どもを愛さない親はいない?そんな言葉をカケデラは鼻で笑う。

苦しんで苦しんで苦しみぬいて、その結果親と縁を切った人にそのような言葉をかける人など人にあらず。

誰かの苦しみを理解しない人に、彼は容赦しない。



『20代女、結婚間近の恋人がいます。彼は親御さんと縁を切っているそうで、彼曰く毒親だというんです。今までずっと恋人との仲を邪魔されてばっかりだったので縁を切ったそうなんです。けれど私は、結婚は周囲の人に祝福されるものだと思っているので、彼のご両親もきっと誠実に話し合えば結婚を認めてくれると思うんです。なのでご両親に挨拶に行きたいと言っても彼が首を縦に振ってくれません。どうしてなんでしょうか。』


『あなた私の配信聞きに来て何でそんなこと平気で言えるんですか。ここには親に酷いことをされたと相談に来ている人がたくさんいるというのに。暴言を、暴力を、時には性的な暴力まで振るわれたという人もいます。モラハラやパワハラをされ、自己肯定感や意思決定力を奪われたという人もいる。まともな世話をされずネグレクトされたという人もいる。それだけ苦しんでいる人たちがいる中で、あなたの恋人もそんな中の一人だというのに、どうして背中を打つようなことをするんですか。自分の人生を妨害し続けた親と縁を切り、幸せになりたくて生きている人に、どうしてそんな仕打ちが出来るんですか。私には全く分かりませんね。』


カケデラの辛辣な答えに相談者は固まった。彼女は自分の意見が否定されるなんて思ってなかったのだ。どんだけ頭の中お花畑なんだ。


『良かったですねあなたは。親に暴力を振るわれたこともなく、暴言を言われたこともなく、世話をきちんとしてもらえ、存在を否定されず、人生の岐路をきちんと自分で決めさせてもらえて。あなたの恋人も、そしてここに来る相談者さんたちも、それを手に入れることは出来なかった。だから親の元から抜け出し、自分の力で生きていこうと頑張っているのに。なのにあなたは恋人を、こういう人たちを親のいる地獄へまた引きずり落とすんですか。親なら話し合えば大丈夫?そんなわけないでしょう。身も蓋もないことを言いますけどね、子どもさえ産めば親にはなれるんですよ。親と言う立場にはね。けれどそこから子どもを真に愛せる親になれるかは人によります。この世には、罪悪感などなく平気で子どもに虐待をする人間がいるんですよ。親だろうと関係ない。』


『虐待で子どもを死なせた親を対岸の火事にするんじゃない。他人事にするんじゃない。自分が恵まれてきたからと言って皆が皆そう育ってきたなど思うな。』



『子どもを愛さない親は、この世の中にいくらでもいる。断言します。』



言い返せなかった。

「それでも愛してるはず!」とチャットを打ちたかったが、その前に流れているチャットに自分が書き込めば確実に全員を敵に回すと分かってしまったから。

自分は暴力だった、私はモラハラとセクハラ、真綿で首絞めるような言い回しされた、きょうだい差別された、ネグレクトだったなどなどなど。流れてくるチャットは全て親に虐待やそういった行為をされた言葉だった。

実際、彼女は親との不仲や虐待のあれこれを対岸の火事にしていた。自分に関わる人にはそんなことはない、皆愛されているんだと訳の分からん無敵感でそう思っていたのだ。

けど実際はどうだ。

虐待を受けたり、間違った育児法の被害者になった人たちがこれだけいるのだ。この人たちに「親なら話し合えばわかってくれる」なんて言おうものならリンチに遭うだろう。さすがに手は出さなくても言葉でリンチには遭う。


だがこれだけ言われても、頭お花畑の無敵感で「自分は間違ってない!」と思おうとしていた。頭の片隅にある彼らの言葉を無理やり無視して。

けれどここで何かを言う度胸はなかった。それを言って一斉に槍玉に上げられるのが怖くて言い出せないのだ。

結局、彼女は追加のチャットをせず配信から逃げ出した。


本当は、自分の意見が間違っていると気付いている。間違ってないと思っていたら強固に主張しているはずだから。

それをせず逃げたり取り繕っている時点で、後ろめたいのだと証明してしまっている。



その後、相談者は相変わらず持論を言い続けたが、とうとう恋人に愛想を尽かれて別れることになってしまった。

そのことを知った親や友人から盛大に叱られ、大切なものを失って、彼女はようやく自分が間違っていたと認めざるを得ないことになったのだ。

まぁ、今更反省してももう遅いのだが。


































相談者

親と縁を切っている恋人を親に会わせようとしていた人。

まさに背中から打つような言動であり、カケデラに盛大に叱られるもそこでキチンと改心しなかった。結果、恋人に別れを告げられる。

その経緯を知った自分の親や友人からしこたま説教されてようやく目が覚めたが、失ったものは戻らない。

結婚が見えてきたことによりハイになり、脳内お花畑になっていた。



カケデラ

人生相談系動画配信者。

毒親持ちの人に「親なんだから話し合えば分かり合えるはず」とか言うのめちゃくちゃ許せない。

彼の元には親との関係に苦しむ人がたくさん来るので、そんな人たちをないがしろにしている発言には容赦しない。

相談者が配信から逃げたことで反省しなかったと気付いてる。まあそれで大事な人を失おうと自業自得なので励ましたりなんかしない。

子どもを愛さない親はいる。彼はそれを嫌と言うほど知っているから断言出来る。

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