かつてブチギレた話
今でこそこうして配信で相談を受けているカケデラだが、配信を始める前は自分の周辺にいる人の相談やいざこざを解決してきた。
学生のころから相談人としての腕を持っていたカケデラは、中々に武勇伝がある。そんな中、大学時代の武勇伝として有名なのが「恋人持ちの人を虎視眈々と狙う異性の友達をぶちのめした」ことであった。
当時20歳、配信は細々とやっていたころである。
サークルの飲み会にカケデラは参加していた。ちなみにボランティア系のサークルである。
仲間だけの飲み会ということで和気藹々となるはずだったが、そこへ何故か呼んでもいないサークルメンバーの女友達、という人が勝手に参加していた。目当てはもちろんのことそのサークルメンバー(男)だろう。
「〇〇が参加するって聞いたからぁ、私も飲みに来たくなったんだ。○○とは友達だから楽しく飲めるしね☆」
と言ってた時点でカケデラは「無いわぁ…」と思った。そもそもお前部外者やろがなんで来るんじゃボケ、である。
この女友達、確実にサークルメンバー(以降は彼氏)を狙っているのだろう。同じサークルにそいつの彼女がいると分かってて来ているのだ。
「こいつこれから彼女さんに向かってマウントやら嫌がらせやらやってくるな」とすぐにカケデラは気付く。そこでカケデラはすぐさまその彼女の近くの席を取り、女友達の言動をつぶさに監視することを決めた。
「ねー、最近メッセージ返すの遅くなーい?それくらい返しなよぉ(ボディタッチ)」
「私があげた服着てくれてる?ていうか今日着てくればいいのにぃ。あ、○○が彼女いない時にあげたやつだよ?勘違いさせちゃってたらごめんねぇ?」
「この前の友飲みマジでお酒残って大変だったぁ。次の飲み会も飲まされそうで怖いなぁ。あ、彼女さん来週末○○のことお借りしますねぇ?」
次から次へと出てくるマウントに嫌がらせ。段々カケデラの額に青筋が浮かんでくる。
ふと近くにいる彼女さんの顔を見たが、それはものすごく悲しそうな今すぐにでも泣きそうな、絶望にも近い顔をしていた。
彼氏のことは信じているが、もしや万が一があるんじゃないか。そんな万が一を想像して青褪めている。まともに飲めもせず固まっているではないか。
そんな姿を見て黙っていられるカケデラではない。まずカケデラは彼氏の方ににっこりとした笑ってない笑顔を向ける。
『ねぇ○○。一応聞くけど、君は彼女の恋人なんだよねぇ?』
「は?そうだよ別にいちいち確認することじゃないだろ。」
『いや確認しないといけないでしょ。こんなに恋人を苦しめる存在がいるのに無視してるんだもの。君は彼女のことで別に好きでも何でもないんでしょ?』
「はぁ!?どうしてそんなことになるんだよ!」
『だって君の女友達が彼女に嫌がらせしてるのに無視して酒飲んでいるんだもの。彼女の事どうでも良いってことでしょ?』
「は?え、嫌がらせ?」
「え?女友達って私の事ですかぁ?別に嫌がらせなんて…」
『はっ、今更取り繕っても全て分かってるけど?恋人のいる相手に軽々しくボディタッチをし、渡したプレゼントを身に付けろと言い、彼女が入れない話題で勝手に盛り上がろうとし、彼氏を借りる宣言。これのどこが嫌がらせでないと?どう見ても彼女にマウント取って○○を略奪しようとしているじゃないか。』
「なっ!?私そんなことしてないし!」
『へぇ。じゃあ君は自分に彼氏が出来たとして、彼氏の女友達が君と同じことを彼氏にしてても何も感じないと?自分の目の前でベタベタと触り、身に着ける系のプレゼントを渡し、自分が入れない話題を出され、挙句の果てには彼氏借りると言われても平気だと?』
「そ…それは…」
「な、なあ寺崎…こいつのやってることって嫌がらせなのか?」
『は?そんなことにも気付かないで放置してたの?馬鹿なのアホなの死ぬの?恋人でもない相手と二人だけで盛り上がってる時点でないね。絶対にない。そもそも例え女友達であろうと、いや、異性の友達だからこそ、その線引きは同性の友達より厳しくしなければいけない。君だって彼女の男友達があれこれしてるの見たらいい気分しないだろうに。』
「いや…彼女男友達いないし…」
『そういう想像力ない発言はいらない。まあ別に男友達じゃなくても、彼女が好きでアタックしてる男がいたらと仮定した方が想像しやすいか?』
「なっ!?そんなの嫌に決まって…」
『同じことしてる君の女友達は放置してたくせに。』
「うぐっ…」
『彼女さん、もうこんなやつ捨てて良いんじゃないかな。恋人を大切に出来ない彼氏なんて必要?いちいちマウント取ってくる女友達がいる彼氏なんてめんどくさくない?俺の友達に気の良い奴いっぱいるし、俺がめちゃくちゃ言い聞かせてるから少なくともこんなことする女友達はそいつらの周りにはいないし、いても排除するから。』
「え!?…わ、私は…」
「待ってくれ!俺は彼女が好きなんだ!彼女以外眼中にない!将来結婚だってしたいんだよ!」
「え!?///」
『えぇ~?だって結婚したらその女友達ついてくるんだろ?既婚者にベタベタしてプレゼント渡し、配偶者放置の話題で盛り上がっておまけに旦那さん借りまーすとか抜かす女友達だけど?嫌でしょそんな旦那。』
「もう二度とこいつに余計なことさせない!似たようなことがあったらすぐに拒否する!頼む!俺お前に捨てられたら生きていけない!」
『…だってさ。どうする?』
「………ホントに今後は気を付けてくれる?」
「する!絶対に悲しませない!」
「私、ホントに悲しくて辛かったんだよ。もう二度とそんなことする友達放置なんてしないで。」
「しない!絶対に対処する!」
『さて、晴れてカップルは幸せになりましたとさ。で?君いつまでここにいるの?』
「え!?」
『君はこのサークル所属じゃないし、非常識な関わり方してたから彼はもう君のこと見向きもしないよ。』
「………」
『まっとうにアプローチしてればワンチャンあったのに、この一件で君の彼からの好感度はだだ下がり。他人を攻撃したところで良いことなんてないってやっと気付いた?』
「…あんたのせいで!」
『言いふらす?根も葉もないこと。でも残念。俺のネットワークにはすでに根回し済みだし、ここに証人いっぱいいるからどっちが正しいのか分かり切ってるね。』
「!!!」
『仲睦まじいカップルを邪魔するような言動はすべきじゃない。略奪したかったんだろうけど、そういうのって癖になるからやめときな。不倫に手を出して慰謝料地獄とかになるから。』
「(青褪め)」
盛大な公開説教を受け、女友達はとぼとぼと帰っていった。
もちろん根回しはされているのでどう訴えようと「お前が悪い」にしかならない。
しこたま周囲に叱られたのもあって、女友達はだいぶ矯正出来たようである。
その後度々同じような出来事が起きたので、カケデラは大学内で「カップルの守護神」と言われるように。
ちなみに上記の彼氏のように反省出来なかった奴はことごとくフラれ、そのパートナーはカケデラの友人たちへ紹介され良縁となっていった。
カケデラ(大学生の姿)
駆け出し人生相談系動画配信者。
仲睦まじいカップルを邪魔するものには容赦しないので、恋人へマウントしかける友達を見かけるたびに駆逐していった。結果として大学内で「カップルの守護神」というあだ名がつく。
この説教を受けて反省出来た人は恋人と末永く幸せになり、反省しなかった奴は恋人に捨てられている。




