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第20話:もしかしたらの未来の話

「アリスちゃん。レインのこと、どう思う?」


「えっと……? 才能のある子だと、思います。きっと将来は大魔法使いになるんじゃないかってくらい」


「そう。あなたほどの魔法使いからも、そう見えてしまうのね。自分の子供のことだから、嬉しいような、誇らしいような、寂しいような……不思議な気分。わがままよね?」


「そんなことは……」


 ……何となく、いつか自分が結婚して子供を産んだ後のことを考えてしまう。自分の子供がレインみたいな才能を持つ子だったら、私はどう思うんだろう。嬉しくて、誇らしくて、だけど、それだけじゃきっとなくて……。


「レインはきっと、すぐに私やカインの手の届かない場所に行ってしまう。そんな気がしているの。その時にあの子の隣に居られるのは、ミナリーちゃんやアリスちゃん……きっと、あなたたちのような女の子だと思う。だから、せめてあなたに私の料理を憶えてほしい。レインがいつでも食べられるように」


「あの、私は冬が明ければ北に旅立つつもりで……」


「ええ、もちろん理解しているわ。だけど、帰ってこないわけではないでしょう? いつか旅を終えて帰って来た時、レインがあなたと一緒に居ることを選ぶかもしれない。……ううん、きっと選ぶ。あの子、きっとあなたのことが好きだもの」


「えぇっ!?」


 レインが私の事を好き……? 全然そんな風には感じないけど……。


「私が言うのも変だけど、レインは将来カインに似てカッコよくなるわ。今の内から手懐けておくとお得よ?」


「いやいやいやいや! それは確かにそうかもですけど! レインはまだ9歳ですよ!?」


「もう少しすれば10歳よ。それに、貴族社会ではそれくらいの年齢の子供同士で結婚することもあると聞くわ」


「そ、それもそうなんですが……」


 実際、私にも何回かそういう結婚話が出たこともある。


 ただ、それはお父様が全て断ったし、私も私で研究に没頭するあまり異端審問にかけられそうになるとか好き放題していたから、自然とそういう話はなくなっていった。


 そう言えばお父様が私の結婚に頭を悩ませていたのを思い出す。嫁に出すにしても婿を取るにしても、良い相手が見つからないとかって。


 レインは平民だけど突出した才能を持つ魔法使いだ。魔法使いの名門であるグリモワール家は普通の貴族と違って、魔法の才能がある平民の血を何度か取り入れてきた歴史がある。


 そもそもの話。


 魔王を封印し暗黒の時代を終わらせた勇者パーティの魔法使いは平民で、その人物こそがグリモワール家の祖である事を考えれば、レインをグリモワール家に迎え入れるのはそう難しい事じゃない。


 悪くないかも…………って!


「ダメ! ダメです、そんなのっ! レインはまだ子供です! 年の差がありすぎます!」


「レインとアリスちゃんって5つしか違わないでしょう? 私とカインも同じ年の差だし、差があるって程じゃないと思うけれど……?」


「と、とにかくダメなものはダメなんです! 少なくともレインが成人してから! それまで私はレインの師匠です!」


「じゃあレインが成人したら結婚するのね」


「はいっ! ……あっ、いや、そういうことじゃなくて!」


「ふふっ。まあ、どうするにせよレシピを覚えて損はないはずよ。覚えてくれるかしら?」


「そ、それは、まあ……」


「ありがとう、アリスちゃん。それじゃ、花嫁修業を始めましょうか?」


「花嫁修業って……。レティーナさんのいじわる」


 レティーナさんはくすりと笑って、私に料理を教えてくれた。


 将来のことは、どうなるかわからない。私は魔王を封印する旅で命を落とすだろうってそう思っていたけれど、もし生きて帰って来られたら……。


 その頃レインはもう成人していて、背もすっごく高くなって、今よりずっとずっとかっこよくて、とってもすごい大魔法使いになっていて。


 それでいて……もし、私のことをまだ好きで居てくれたなら。


 その時は…………うん。


 その時また考えよう……かな?


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