表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遠山金四郎外伝  作者: 喜多甚
第1章 長谷川平蔵
2/44

第2話 深川八幡宮門前町

 平蔵と金四郎の付き合いは十数年に及ぶ長いもので、平蔵が金四郎の兄から相談を受けたことがその切っ掛けである。


 その当時に遡ると、銕三郎(てつさぶろう)と称していた平蔵は長谷川の家を出て放蕩無頼の限りを尽くしており、酒色と喧嘩三昧の明け暮れから「本所の鬼銕」との二つ名で呼ばれるほどに荒れていた。


 そんな銕三郎が肩で風切るようにして歩いていると、後ろから呼び止められた。


「銕。おい銕。」


 粗雑(ぞんざい)な呼び掛けに喧嘩腰で振り返ると、そこには見知った顔があった。


「な、永井様じゃないですか。どうしました、こんなところで。」


 銕三郎を呼び止めたのは永井主計(かずえ)。剣を同じ師に学んだ同門の兄弟子である。


 銕三郎はこの兄弟子を苦手にしていた。


 まず、銕三郎の剛剣を柳のようなしなやかさで躱す永井主計の剣がどうにも合口悪く、勝ちきれない。

 更に、片や知行千石の永井家の嫡男に相応しく品行方正な永井主計、此方「本所の鬼銕」である。

 この兄弟子を前にすると、何ら咎められるわけでもないのに、叱られているような気持ちになってしまうのだ。


 その真面目が服を着て歩いているような兄弟子に呼び止められた「こんなところ」とは深川の永代寺門前仲町。俗に岡場所と呼ばれる悪所である。

 千石取りの旗本の跡取りがお供も連れずに歩いて良い場所ではなく、それが永井主計ときては、滅多なことでは動じない銕三郎も驚くほかない。

明和7年(1770年)

長谷川 平蔵 (25)

永井 主計 (31)

遠山 金四郎 (6)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ