第94セット 動き出す理央の策略
お久しぶりです。
早くメインディッシュを書きたいので、1セット目は端折りますwww
理央の言った通りに試合は進んでいき、第1セット目は25-19で禊応が先取して終えた。
コートチェンジをし、ベンチで作戦会議をする。
「和歌芭さん、さっき言った作戦なんだけどよ………」
「? あー、言ってたね、そんな事。それで何なの? アンタの『作戦』って。」
「簡単な話だ、いつもの上体反らしが紗衣さんにはねえ。って事はだ、何処か異常をきたしていると考えるのが自然、腰をケガしてんのは見え見えだ。」
「そういえば………そうね、確かに今日の紗衣にはそれがないかも。」
「気付いたか? ………つまり、だ。紗衣さんが前衛にいる時は前に落とすサーブを、後衛にいる時は絶妙に動かさせる範囲で紗衣さんに取らせるんだよ、レセプションを、な。」
「………あのさ、そんな簡単に壊れるような腰じゃないでしょ? ましてやアドレナリンも出てるのに………」
「心配すんな、上下左右に動かすだけじゃねえ、当然ブロックやスパイクで跳んだりするからな、幾らアドレナリンで誤魔化してたとしても限界は必ず来る。禊応は紗衣さんが根幹のチームだ、そこが止まれば他もマークしやすくなる。だから無理に紗衣さんだけをマークする必要性がゼロ、ってわけだ。」
「うーん………それで勝てるならやってみるけどさ、いい? 理央、私たちの3年間も掛かってるんだよ? 試合中の発言には責任持ってよ?」
「わーってるっての。このセットはぜってー取れるからそう言った。アタシは出来ねえ事は言わねえ主義だからな、大船に乗ったつもりで着いてこいよ。」
発言の一つひとつに自信が漲っており、和歌芭は「流石に全国を知っているのは違う」と感じ取っていたようだった。
ただ生意気すぎて苦手なのは事実としてはあるのだけど。
第2セットが開始し、親愛のサーブから始まる。
サーバーは和歌芭だ。
(理央の言ってる事は手段を選んでない、と言われたらそれまでだけど………結局腰でしょ? 痛くても跳べるくらいは出来るでしょうよ!!)
作戦通り、紗衣のちょうど正面に落ちるようにサーブを打った。
紗衣は右膝を床に付け、スッと落下点に入りレシーブをした。
取ったボールは朋美にAパスで通り、クイックも使える体勢だ。
(ホント、嫌な体勢で取らせて来るね………腰来るんだよ、低い姿勢って………!)
やはり動く時に腰が痛むようで、少し表情を引き攣らせた。
朋美は迷う事なくレフトに挙げ、紗衣は力みの少ない体勢でクロスにスパイクを放った。
蘭が横倒れになりながら取り、和歌芭は理央にトスを挙げる。
ライトセミに挙げられたトスを理央は花蓮と朋美の間に打ち抜き、先制点を奪取した。
その後も理央の思惑通りに試合が進んでいった。
まるで理央1人が掌の上で全てを操っているかのように。
しつこいくらいに打たれる紗衣へのサーブ、コントロールの代わりにパワーを代償として失ったスパイク、それを拾いレシーブ陣、リズムに乗った横浜親愛を止めるのは禊応も粘るものの、かなり難しくなっていったのもまた事実としてあった。
しかも紗衣が後衛に行けば得点源の哀羅が徹底マークされてしまう苦しい状況を打開できぬまま、15-9と横浜親愛が離す展開に転がり込んだ。
そして試合会場まで様子を見に来た小田原南の面々が到着し、彼女たちは目を疑っていた。
その光景の先には、夏に死闘を繰り広げた禊応の姿が見る形を失っていたのだから。
更に禊応に重くのし掛かったのは、紗衣の腰のケガが試合が長引くにつれて少しずつ蝕んでいっていたこと、これが負の連鎖になるように、試合中尾を引く事になっていくのである。
次回は2セット目終わりまで、ワラナン陣営の視点も交えて書きます。




