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第86セット シードの重圧

今回から春高予選編です。

シード校ならではの感じですね。

 11月半ばになり、神奈川県でも春高予選が開幕した。


インターハイでベスト4までになった小田原南高校は、シード校として春高予選に臨むことになる。


そしてその山は、因縁の相手である「大和碧南高校」に決まった。


メンバーは、一回戦で当たるカードの試合を観戦することにしたのであった。




 白熱した試合が続く中、試合を制したのは「相模原宗陽(さがみはらそうよう)高校」だった。


全体的に纏まりがよく、ただ際立った選手もいないので、これなら行ける………という空気は漂っていたが、シード校の重圧も同時に伸し掛かった。


2回戦で負けるわけにはいかない、という重圧と、足元を掬われるわけにはいかないという闘志とで。


しかし、春希と瑠李の顔が少し重苦しくなった。


「……なんかやりにくいんだよな………ウチの中学と近かったからさ、案外顔見知りも多いんだよね………」


「うん………私は………特に、ね………」


それぞれで試合の、というか、宗陽の感想を述べる。


「………2人はさ、これだけは注意して、って選手いる?」


「「2番。」」


莉子奈が聞くと、2人は即答で答えた。


「………春希の裏エースだったからね………良さは私はよく知ってる。それに………」


瑠李は言葉を濁す。


「………あんまり言いたくはないけど………個人的に因縁がある。」


皆が疑問に思う中、瑠李は「トイレに行ってくる」と言い残し、その場を後にした。


「あー………思い出した。そうだそうだ、瑠李の中学の時の………主犯はアイツなんだよ。イジメの、ね………」


春希も言葉を濁し、瑠李のフォローをする。


と、麗奈が空気を読まないかのように(いい意味で)ペラっと開いた選手名鑑のページを指差した。


「………この人ですか? 『鷲尾史緒里(わしおしおり)』って人です。」


「そーそー、史緒里だよ、史緒里!! ………あー、思い出したくないな………ホントに嫉妬深いヤツでさー………ホントにアイツをフォローすんの、大変だったんだよ………他にも私がさ、県の決勝に立った時のメンバーもいるし………正直コテンパンにしてやりたいんだ、私もさ、瑠李のことを考えたら思うところもあるし。」


「………でも私たちのやることは変わらないと思います。いつも通りやって、勝つ。それだけですよ。」


「………そうだね、麗奈。いつも通りやれば大丈夫っぽいね。ありがと、麗奈。気が楽になった。」


負けられない、という具合をもって全員が一致団結したのであった。





 一方、瑠李は。


…………嫌なことを思い出したのか、便器に向かって吐いてしまっていた。


(………なんでよりによって………アイツが相手なの………!? もう顔も見たくもないのに………!! クソッ………!! 腑が煮え繰り返る………!!!)


吐息も荒い。


だが、瑠李は拳を握りしめて立ち上がった。


(………負けたくない………!! アイツにだけは、絶対に!!!)


瑠李は何かを決意したかのように、トイレを後にしたのであった。




 翌日の試合前。


瑠李は夏岡の下に行き、直談判をした。


「………先生、今日の試合………スタメンで出してくれますか?」


「? 珍しいね、瑠李から私に話しかけてくるなんて…………そうか………成る程ね。」


夏岡は瑠李の目を見て薄笑いを浮かべた。


「………正直大和碧南には………夏からやってきたことを今、()()()()()()()()()()()()()からね………ちょうど良かったよ。宗陽は守備は上手いけど高さはないチーム、だから高さ一辺倒でも勝てると踏んでオーダーを決めてる。今日は麗奈をちょうど、ピンチサーバーにしようと思っていた、だから瑠李からそう言ってくれると私としても変な準備を君に取らせなくて済む。乗るよ、君の申し出に。」


「………ありがとうございます。」


こうして公式練習が行われ、試合が始まった。


コートメンバーはこうなった。




小田原南



FL 春希:アウトサイドヒッター


FC さやか:ミドルブロッカー


FR 瑠李:セッター


BR 莉子奈:アウトサイドヒッター


BC 藍:ミドルブロッカー


BL 韋蕪樹:オポジット


リベロ 桃華



相模原宗陽



FL 鷲尾史緒里:アウトサイドヒッター 169センチ


FC 石川紗里(いしかわさり):ミドルブロッカー 173センチ


FR 久住楓菜(くずみふうな):オポジット 168センチ


BR 霧丘英美里(きりおかえみり):アウトサイドヒッター 171センチ


BC 安里美梨(あさとみり):ミドルブロッカー 171センチ


BL 川畑純菜(かわばたじゅんな):セッター 162センチ


リベロ 石崎理穂(いしざきりほ) 158センチ



サーブは宗陽からとなった。


霧丘がサーブを放つ。


桃華がしっかりとカットをし、瑠李に繋げる。


瑠李は史緒里をチラッと見た後、左手でボールをピッ、と押し出して、コートに叩き落とした。


ツーアタックで先制し、宗陽の出鼻を大きく挫くことに成功した。


「………史緒里、忘れたとは言わせない………!! 絶対にアンタのプライドをズタズタにしてあげるから、覚悟しときなよ?」


瑠李なりの宣戦布告をし、サーブへと下がっていったのであった。

次回は宗陽戦、本格化です。

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