第85セット 瑠李の恋は李の如く
今回で番外編は終了。
瑠李の大幾への恋はどうなるのか、乞うご期待!wwww
瑠李から「付き合って」、と言われた大幾は困惑をしていた。
それもそうだ、大幾にとっては瑠李は先輩であり、その先輩からそう言われれば困惑も無理はない。
大幾は無論、瑠李の好意には気付いていない。
彼は超がつくほど鈍感なのだから。
「え………えっと………瑠李さん………?? か、買い物………ですか? それだったら………」
大幾は完全にしどろもどろとなっていた。
だがこれでヤキモキするのは瑠李である。
「違うの………!! そうじゃなくて………!!」
「え……?? ええ………??? ど、どういうことですか………??」
瑠李の心音が色々な意味で高まる。
「あーーーー、もう!! ホント鈍いんだから!!! 私の、その………!! 彼氏になって、ってこと!!!」
「え…………!!! ええええええーーーーーーー!!!!!??????」
瑠李がここまで声を張り上げることは、普段はそこまであるわけではないので、瑠李は本気なのだ、ということは伝わる。
大幾も思わず大声で叫んでしまった。
「………ずっとさ、アンタのことが気になってしょうがなかったの! だから………!! 私、大幾のことが………好きなの!!!!」
大幾は完全に紅潮し、固まっていた。
学内でも屈指の美少女として名高い瑠李からの告白、ともなればそうなるのも無理はない。
「………その………ダメ、かな………??」
数秒、沈黙が流れる。
待っても返事がない。
大幾は脳がショート寸前になり、もう喋れない雰囲気になっていった。
「ちょっ………!? だ、大幾!?!? ちょっと、返事してよ!!! ねえ!!!」
瑠李は大幾を揺すり、意識を瑠李の方に無理やり向けさせた。
「す、すみません!!! ちょ、ちょっと………刺激と衝撃が………強すぎて………」
大幾は我を取り戻し、瑠李にこう言った。
「あ、あの………恐縮なんですけど、僕なんかで………本当にいいんですか……?」
大幾には、俄かに信じ難い出来事だったので、確認のために瑠李に聞いた。
「あ、当たり前じゃん!! 好きじゃなかったらこんなこと言ってないよ………!!」
瑠李はもう、はち切れそうな想いをしていた。
早く返事をもらいたい、その一心だったのだから。
大幾は答えを出した。
「ぼ…………僕も…………瑠李さんが………気になってたので………だから、その………嬉しいです………」
「え………!! じゃ、じゃあ………!!」
「その………僕なんかでよかったら、よろしく………お願いします………」
大幾は照れに照れながら、瑠李の申し出を了承した。
瑠李はすぐさま大幾に抱きついた。
瑠李のEカップの胸が、ニュッ、と大幾の肌の感覚に伝わってくる。
「わ………!! ちょ、瑠李さん!?!? 急に来すぎですって………!!」
「良かった………!! 断られたらもう、耐えられなかったかもしれない………!! ありがと、ホントに………!!!」
「アハハ………僕も、同じですよ………これから改めてよろしくお願いします、瑠李さん。」
………というわけで、瑠李と大幾は、正式に清い交際をすることになるのであった。
そして家に帰った瑠李は、というと。
翌日の部活後にデートをする約束を取り付け、寝ようとしたのだが………不思議と眠れなかった。
自分に彼氏が出来たことがよほど嬉しかったのか、枕を抱えてゴロゴロとベッドを何回も往復をして転がっていた。
(あ〜〜〜〜〜!!!!! もうこれだけで嬉しいよぉ〜〜〜〜〜!!!!! デート出来るってだけでサイッコーーーーーーーーーー!!!!! 夢じゃないよね? 夢じゃないよね〜〜〜〜〜!!!!!)
………とまあ、こんな感じにテンションが上がりまくりな瑠李なのであった………。
翌日。
部活が夕方に終了し、瑠李と大幾は小田原城にてデートをすることになった。
そして時は、その20分前に遡る。
小田原南高校は案外その小田原城とは近い立地なので、高校生でも案外行けてしまうものだ。
瑠李が鼻歌を歌いながら更衣室を出て、帰路に着いた直後である。
「………瑠李さん、鼻歌を歌ってましたけど………なにかあったんですか?」
更衣室でストレッチをして、クールダウンをしていた麗奈が莉子奈にそう聞いたことから事は始まった。
「あー………これ言っていいのかな? 瑠李さ、その………みんなには言ってなかったんだけど、大幾と付き合うことになってさ、それで今日デートに行くー、って約束してたらしくって。」
莉子奈が告げた事実に、春希が即座に反応した。
「え、ちょっと待って!?!? 瑠李、いつの間に大幾と付き合ってたの!?!?」
春希もこの事実を瑠李から知らされていなかったようで、まさに寝耳に水。
他のメンバーも驚きを隠せていない様子だった。
「…………なるほど………」
麗奈は唯一、と言っていいのか、相変わらずと言っていいのか、落ち着き払った態度で事態を受け入れたようであった。
「でさー………瑠李さ、デート自体が初めてだー、って言うしさ、相手が大幾だよ? ぎこちなく終わりそうで心配なんだよね、瑠李の背中を後押しした手前さ?」
莉子奈はどうも心配でならなかったようで、ため息を吐いていた。
だがここで、麗奈が莉子奈が提案しようとしたことを逆提案した。
「………だったら尾行しますか?」
「あー………うん、そうだね。そのつもりだけど………流石に大人数で行ったらさ、バレるし………」
「それだったら私の方から提案が。尾行するのは私と麻衣とさやかの3人だけです。さやかを囮にして、麻衣と私で瑠李さんと知崎くんを尾行します。さやかは否が応でも人が集まりますからね、それを逆に利用して………決定的瞬間を捉えるつもりですよ。」
「そー………だね、分かった。じゃ、3人に頼むわ、それなら。瑠李にバレないようにね!? 雰囲気壊したくないし!!」
「そのつもりですよ。人の幸せを壊すような邪推な真似だけはしないつもりです。」
というわけで、さやかと麻衣は巻き込まれた形になったのだが、麗奈たちは瑠李と大幾のデートを尾行することとなるのであった。
そして瑠李と大幾は。
入り口で合流し、城の堀を周ることになった。
のだが、莉子奈の懸念通り、互いに初デートということもあり、距離感が近いながらも、もどかしい距離が続いた。
無口な上に、手すらも繋がない。
このままではいけない………と思ったのか、瑠李がなんとか主導権を握ろうとする。
「あ、あのさ、大幾! 次そっち行かない?」
「あ………ああ、はい、そう、ですね……行きましょうか………」
まだぎこちない大幾、それを見兼ねたのか、瑠李は強引に大幾の手を引っ張った。
「………ど、どうせならさ、手、繋いでいこ? もう………付き合ってるんだしさ!!」
「そ、そう………ですよね、瑠李さん………」
「だから呼び捨てでいいってば………遠慮しなくていいのにさ、ホントそこら辺も大幾らしいっていうか、なんていうか………」
「いえ、あの………周りからはカップルでも、僕にとっては先輩でもありますし………昨日の今日で呼び捨て、だなんて………僕には到底できない、です………」
「うーん、まあ………悪い気はしないけどさ?? でも………立場は出来るだけ、対等な方がいいかなー……って。」
「………僕は瑠李さんと居れば……それで幸せなんで………」
「………私も。ごめんね、こんなこと、急に言っちゃって………全然、分かんないのもあるから………」
「い、いいですって!! とにかく! ゆっくり周りましょう!!」
2人はまだウブなカップルを想起させるかのように、小田原城を回っていったのであった。
3人の存在は居ず知らずに、である。
ある程度見終わった後、2人は石垣の近くまで来ていた。
小田原城のこの時期は、紅葉が映えるため、コアではあるにしろ、客足は多い。
大幾曰く、知る人ぞ知る紅葉狩りスポットなのだといい、人目もそこまで多いというわけでもなかった。
ここならゆっくり時間を過ごせる、そう判断して訪れたようであった。
と、しばらく紅葉を見ていた瑠李が、大幾にこう言い出した。
「………あのさ、大幾………」
「………どうしました? 急に………」
「………私さ、あんまりこういうところ………行ったことも連れて行ってもらった記憶がないんだよね………うちの親が碌でなし………でさ、お兄ちゃんもちょっとでも、って思って小さい頃はショッピングモールとか、そんなのばっかだった………だからさ、アンタがここを選んでくれて………すごい嬉しかったしさ、でも私が来ていいのかな……って思っちゃって………至らないところの方が多かったな、って………思ったんだけど、どうだった? 今日。」
大幾は少し考えた後、瑠李の問いに返す。
「………全然分かんなかったです………僕も、デートなんて夢のまた夢なんじゃないか、って、今でもそう思いますし……だから少しでも瑠李さんを喜ぶ顔が見たかったな、ってだけで………」
大幾も満更ではなかった様子でそう答えた。
「やっぱそうだったんだ………私も似たようなものかな、今日は。私さ、中身こんなんだから……嫌われやすいんだよね、ホントは………だからすっごい緊張したかな…………今は不思議と落ち着いてるよ。なんでかは分かんないけどね?」
2人は笑い合う。
仲睦まじく。
「………ねえ、大幾………」
「………ハイ。」
「………し、してくれる………? き、キス………」
大幾は無言で頷き、ゆっくり唇を重ねた。
5秒ほど重ね合わせたあと、またゆっくりと引き離す。
大幾は、その後で出口へ向かって瑠李をエスコートしようとしたのだが………。
瑠李に後ろから抱きつかれた。
「………る、瑠李さん………?」
「………誰かといないと寂しい、なんて気持ち………今までなかった………あのさ、大幾………」
「……?? ハイ……」
「……アンタの家、行っていい? 今日………」
「………い、いいですけど………。」
瑠李はホールドを解き、大幾の自宅へと向かって行ったのであった。
そして麗奈、麻衣、さやかのトリオは、バッチリと証拠写真を瑠李たちが気付かぬ間に納めていたのである。
次回から春高予選編に突入します。
お楽しみくださいませ。




