第71セット あの苦さは味わいたくない
いやー、色々忙しくて2週間ぶりくらいの投稿になりますけど、感覚を忘れないように頑張っていこうと思いますww
今回は僕が合宿をやってて一番地獄だったやつをやりますw
あと、神奈川No. 1のセッターも登場させます。
前日のトレーニングが終了したところで、午後の部に入った。
そのやる種目は、というと。
半分が壁倒立、その他は永遠に縄跳び二重跳び……というものだった。
これを1分間耐久する。
聞いてるだけなら倒立の方が楽そうなのではあるが……なにしろ1分間だ。
物理的に頭に血圧が一気に溜まるので、一気に疲労感が押し寄せる。
しかもこれを10セットもやるので、心肺機能だけでなく、下半身にも疲労が来る。
あまり手を使えない麗奈はラッキーもいいところである。
昨日よりは慣れたのか、小田原南のメンバーもなんとかはこなしてはいけるのだが、川崎立花のメンバーには遠く及ばないのであった。
トレーニング後、ここでレベルアップを図りたい人物が一名。
さやかだった。
麗奈の口利きもあったのだが、川崎立花の正セッターに御教授願えるとのことだったので、夏岡と秋山の許可を得てマンツーマンで特訓するとのことだった。
「……君が……岡倉さやか? 話は麗奈から聞いてるよ。私で良かったら特訓させたげる。」
「お願いします!」
彼女の名は「卜部宇月」。
麗奈の2個上の代の橋誉中のセッターで、麗奈クラスのトスの正確性を誇る、正真正銘、神奈川No. 1のセッターだ。
「まー……そうだね。話を聞く限りだと……碧南の時のあのシャットが……どうしても気になってるんだね?」
「そー……ですね……今の私がやれる完璧なクイックだったので……それを決め切れなかったのが悔しくって……」
「なーるほどね、そういうことか……それだったら簡単だよ。選択肢は2つ。……さやか、君が……違う種類のタイミングのクイックを覚えるか……今のまま、分かっていても止められない高さのクイックで捩じ伏せるか。その2択。」
「違う……種類?」
「麗奈から送ってもらった動画……見させてもらったけどね? はっきり言うとクイックのタイミングが遅い。……確かに高さだけだったら日本でも、さやかは随一だ。けれどクイックは速ければ速いほど効力が増す。タイミングさえかち合えば、由希にですらシャットされちゃうものなんだよ。」
「うぅ……」
と言って、宇月はスマホを取り出して、送られた動画を再生する。
「これを比較して貰えば分かるんだけど……藍の場合はしゃがみ込まないで最小限のパワーだけで跳んでいる。これでスピードを生み出せているんだ。……だけどさやかの場合は違う。自分の身体能力を活かそうとしすぎて助走の入りの段階で膝が深くなっているんだ。……これでは跳ぶタイミングもバレるし、コースも読まれやすい。麗奈のトス力でそれをカバー出来ているだけにすぎないんだ。」
「なるほど……」
さやかも頷きながら動画を観ていた。
「麗奈から聞くとさ、昨日砂浜ダッシュ、めちゃくちゃやったんだってね?」
「……ハイ……」
「何が課題か……それは『一瞬の瞬発力』を身体に覚え込ませるためだ。一瞬で入ることが……成長のカギ。まあすぐには出来ないよ。やっていくうちに段々と分かるようになる。今のさやかに大事なのは反復だね。君はまだ……経験が浅すぎる。」
さやかは真摯に受け止めて、頷いた。
「……分かってるんです、経験が浅いというのは……なにしろまだ始めたばかりだし……でも……ベスト4まで行って……最後止められて負けた時思ったんです。もう、あの苦い想いはしたくないって。先輩たちを春高に連れて行きたいって!!」
さやかの熱い想いを宇月は受け取り、ボールを渡す。
「オーケイ……じゃ、私でデモンストレーションだね。麗奈ももうそろそろで戦列には戻ってくるだろうから……とりあえずやってみようか。」
「お願いします!!」
そうして宇月のトスを、さやかがテンポの早いクイックで打ち込んでいく。
1時間後、特訓が終わる頃にはさやかはこれまでの疲れもあったのか、フラフラの状態になったのであった。
次回は閑話休題の回。
テーマはぶっちゃけトーク。




