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第7セット さやか、シューズを買う。

かんっっっっぜんな日常回です。まったりとお楽しみに。

前回後書きで話したように、麗奈の紹介をします。実は、の部分も紹介したいと思います。


倉石麗奈(くらいしれな) 小田原南高校1年生 橋誉中出身 160センチ 38キロ セッター 12月6日生まれ 両利き(スポーツは右、鉛筆や箸は左) AB型 3サイズB70W52H71 好きな食べ物 グラタン 趣味 オセロ


ダブル主人公兼ダブルヒロインの1人。

常にポーカーフェイスがウリの選手。中学時代は全中優勝、JOC神奈川県代表で優勝、U-15日本代表の実績を持つ。どんなところからでも狙ったところに正確にトスを上げることができ、また、その他のプレーもかなり上手い。

バレー歴は小4から。中学時代の異名は「鉄仮面の軍師」(ポーカーフェイス・タクティシャン)

中2の時に母を癌で亡くしているので、父・和巳と双子の弟・太我との3人暮らし。

性格はというと、感情を表に出すことがない分考えていることが全くわからないとよく言われ、目立つことを嫌うが、実際はかなりの毒舌家でドSのショタコンである。(弟大好き人間)

また、研究熱心で、トスを合わせるためにメモは欠かさない。身体能力も高く、160センチながら最高到達点は281センチとなかなかのもの。セッターは「献身的になるべき」という持論を持っており、自分で全責任を背負うタイプで、決めればスパイカーの手柄、止められればセッターの責任という考え方をしているので、スパイカーからの信頼度はかなり高い。

時折ツッコミを受け流すボケもかますのでそこがウィークポイント。

挿絵(By みてみん) 


 自主練習が終わった後の部室にて。


麗奈と蓮が会話をしている。


「麗奈さー、今日合わせてみてどう思った? 素直に。」


「……どうだろうね。最初にしては割と合ってたとは思うけど……。計算がまだ私の中では整ってない部分はあるかな。……さやかも素人だし、他のみんなも能力は高いけどまだわからない部分が多いかな。単純に。松尾さんのレシーブは柔らかいけど、まだ多少ブレてるからいいとは言いにくい。」


「それはまあ、私が頑張りゃいいだけだからいいとして……。個人技の評価はどんな感じ?」


「まー……言いたいことはいっぱいあるけど、ざっくり言っちゃうとシチュエーションがちゃんと整ってない部分はまだあるからね。軽くだけ言うから。まず金田さん。ストレートとクロスを打つ時のフォームの違いがわかりやすいからそこだけは修正して欲しいのと、ブロックのある想定で考えた時にどうトスを調整するか、かな。浪川さんは、確かにジャンプ力は高いから滞空時間も長いしトスを挙げる側もあえて速くする必要性がないんだけど、力任せに打ってる印象があるのがちょっと気になった。所謂脳筋プレー。」


これを聞いた真理子の心にグサッと、「脳筋」というワードがぶっ刺さった。


「うっ………よく言われることをサラッと言っちゃうのか……麗奈は……。」


「まあ、持ってるものは天性の物だと思うから、あとはいかに頭を使えるかかな。状況に応じたコース打ちが出来るようになったらすごい選手になれると思うよ。」


「……麗奈愛してるーーーーーーーーー!!!! ありがとーーーーー!!」


そういって真理子は麗奈にガバッ!! という勢いの元飛びついた。


「ちょっと……浪川さん、急に抱きつかないでよ……。」


「ごめんごめん、すごい選手になれるって言葉初めて言われたからさ……。」


「……練習の中でやれるようになったら本番でも自然と出来るようになるからもっと伸びると思うよ。浪川さんは。」


と、ここで蓮が話を続けようとする。


「あー…ごめん、麗奈。水差すようで悪いんだけど………他の3人は? 一応今、彩花さんもいるし、言っちゃえば? この際さ。」


彩花はかなり興味津々な顔で聞く準備をしている。


「……まあ、さやかは打った後に開いて、っていうのをまだ教えてないからそこはまた今度教えるとして……。3日見てきたけど上達が早いな、って思う。元々のポテンシャルも高いんだろうけど、それ以上にさやか本人が貪欲というのもある。……志崎先輩はあんまり高くもないし、スピードもある方じゃないから私の中で一番使いづらいのは志崎先輩かな。ちゃんとやっててセンターとしてアレだから囮にもしにくいのはあるかな。まあ、何か有効な手段があればそれ主体で組み立ててみるとして……。加賀美先輩は…僭越ながら言わせてもらいますけど、レシーブは……結構上手いなと思うし、スピード自体も悪くはないんですけど、ちょっと()()()()()()()()()()かな、って気はしますね。練習見てても、今回合わせてみても。失敗を恐れすぎていて、それがプレーに影響している感じですね。」


これを聞いた彩花は泣きそうな顔になった。


「全部気にしてることなんだよね……。怒られるの怖くて余計に失敗しちゃうってパターンが……。」


「多分、加賀美先輩は、物事の基準を『できるかできないか』に設定しちゃってるんだと思いますよ。でもスポーツに於いては実際は違うと思うんです。……さやかにも言いましたけど、『やるかやらないか』です。……要は開き直れば加賀美先輩はポテンシャルを発揮できると思いますよ。……私が保証します。」


「で、、できる、かな? 私でも……。」


「とりあえずやってみてください。できるかどうかはやってみてから判断しますんで。」


この一言に彩花はコクコクと頷いた。



 制服に着替え終えた麗奈は部室を後にした。




 「ただいまー」


自宅に帰ってきた麗奈を太我がキッチンで迎え入れる。


「お帰りねーちゃん。もうちょい待ってて。メシもうすぐで出来るから。」


「ん。ありがと。」


倉石家の料理担当は太我だ。


母が亡くなってから、いや正確には母が入院してからだったのだが、仕事で帰りが遅い父に代わって太我が料理を作ることとなっている。


レパートリーもこの2年でだいぶ増えてきて、太我はアスリートの食事の本を何冊も買ってきてそれを実践するほどだった。


()()()()()()()()()()()()


聞こえはパワーワードなのだが、実際、家での太我の立場はそんな感じだ。


本人も、将来は管理栄養士の資格を取りたいと思っており、本人曰く勉強の一環だという。


一家の弁当を作成しているのも太我だというのだから、スペックはかなり高い。


今日の献立は、チキンソテーとサラダ、具沢山の味噌汁、白米のセットだった。



 太我は今日の練習について聞いてきた。


「今日どうだった?合わせてみてさ。」


麗奈は少し考えた上でこう答える。


「うーん……、まあ、最初にしてはいい方だとは思うけどさ。まだ合わせ足りてない部分は多いかな。皆欠点は多いけど、いかに長所を私が引き出せるか、って感じ。」


「まあ、俺も上から見てて噂より全然いいとは思ったけどさ。あと、あのデカイやつ。岡倉さん……だっけ? ねーちゃんが言ってた、同じクラスの。」


「一言で言っちゃえば……上達がホントに早い。……アンタの比じゃないくらいに。」


「なんで俺と比較なんだよオイ。」


「基準。」


「なんだよそれ……確かにバレーのセンスが全くなかったのは認めるけどさ……。ねーちゃんと比べられて苦労したしな、中学時代。」


「それは仕方ないよ。私の弟だもん。実際双子だし。」


「双子は関係ねーだろ。……まあ、中学の時のねーちゃんは()()()()()()()()()()しな。……それに比べたらぜんっぜん楽しそうに見えるぞ? 今の方が。」


「そう?」


「何年アンタの弟をやってきたと思ってんだよ。感情の機微くれーわかるわい。」


「……まあ、太我が言うならそうかもね。……さやかが楽しそうな雰囲気を見てると私も楽しくなるし。」


「だろ? だからねーちゃんは今の方が絶対合うって!」


何気ない会話を繰り広げながら、二人は夕食を楽しんで行ったのだった。




 そして、翌日の練習後。


この日は土曜日。


一度自宅に帰り、青いフード付きパーカーにジーパンという格好でスポーツ用品店へやってきた麗奈。


その目的とは。



 さやかのバレー用品を揃えるためだった。


 そのためにスポーツ用品店でさやかと二人で買い物に行く約束をしていたのだが……肝心の本人がなかなか来ない。


メールアプリを開き連絡を取ろうとする麗奈。


なかなか既読が付かない。


まさか迷っているんじゃなかろうか。


そう思っていたら、さやかが来た。


一際目立つ長身に、長い髪を後ろでポニーテールにして結い、チノパンツ、ボーダーの丈の長い服の上に黒いウィンドブレーカー、マスクに加え、黒い帽子を目深に被っていた。


お待たせー、といったさやかは麗奈の前に現れた。



「いやー、人目を気にしてたら時間かかっちゃってさ……。活動休止発表して小田原に戻ってきても()()()()()()()()()()()()()()()()からさ……。」


「……それで変装、ってわけ?? 逆に目立つと思うけど。連絡しても全然既読付かないし、てっきり迷ってるのかと思ったよ?こっちは。」


「いやー、ごめんごめんー。」


「はあ……。せっかく買い物に付き合うんだからしっかりしてよね。肌寒いから入るよ。」


こうして、二人はスポーツ用品店の中へと入っていった。




 まずはウェアを見ていく。


男子と比べてもかなり背が高い部類、かつバストもある部類のさやかのサイズはどうしても大きいサイズになってしまう。


今回着ている私服もモデル時代に撮影で着た後に貰ったもの。


それくらいサイズが日本には殆どないのだ。


「私は全然Mでも着れるけど、さやかは背が高いから……。」


「うーん……やっぱり大きめになっちゃうよね…。」


「まあ、しょうがない。それは。……『XO』と『XXO』がサイズ的には合うかな。さやかには。」


そういって商品棚からかなり大きいサイズのワンポイントの白い服を二つ持ってきた。麗奈の体格と比べると、確実にブカブカになるほど大きい。


さやかはそれを試着室まで持っていって着てみた。


「どうかな?似合う?」


まず「XO」の方から着てみる。


「まー、、似合うかどうかは置いといて……。サイズ的にはどう?合ってる?」


「袖は合うけど……やっぱりバストがキツいかな、ちょっと。」


「じゃあもう片方も着てみて。今後ユニフォームのサイズとか、チームジャージのサイズとか、そこら辺注文するときに必要になってくるから。」


「はーい」


そういって、試着室のカーテンを閉めた。そして今度は「XXO」のサイズを着用した。


「……サイズ的にはどう?」


「これならゆったり動けるかなー。学校のジャージより可動域的にも広いしやっぱりこっちの方がいいかな。私的に。」


「じゃあ、これで行こうか。ただ、一枚だけじゃ心許ないから何着か買って行こう。」


「りょーかい!」


その後、練習用ウェアを6着ほど、パンプスを5着購入し、二人はシューズ売り場へ行った。


「……さやか。普段のサイズはどれくらい?」


「? 29だけど……。」


「これで30もあったら確実にオーダーメイド行きだからねー……。ギリギリあってよかったよ、29センチが。まあ、まだ初心者だから重いやつよりこっちの方がいいかもね。」


そういって、スニーカーより少し厚みの薄いシューズを差し出した。


「? これは?」


「私もよく使うんだけど、『アリックス』の『ローテ・ジャポニズム』ってやつ。軽いし、着地した時のゴムの吸収もいいから使いやすいよ。」


「ほへー。そんな軽いの?」


「靴擦れもしにくいから使いやすいね。結構。あとは……。」


そういって、靴棚からあるものを取り出した。


「『ミズホ』製の軽量級シューズの最新型、『マキシマム・B・X』。今年出たやつなんだけどさ。」


といって、自らが履いて効力を確かめる。


「これはジャンプ力のサポートに特化しているやつ。母指球の辺りに丁度当たるように丸いの付いてるでしょ? これがグリップになっててさ。ジャンプする時のバウンドを助ける役目をしている。」


「すっごいなー……シューズといっても色々あるんだねー……。」


「まあ、どっちがいいかはさやかが決めればいいよ。……私はサポーターとか見てくるから。」


「オッケー。ゆっくり見てってね。」



 麗奈と一度別れてあと、さやかは『ローテ』と『マキシマム』をそれぞれ履いてみる。


「うわー……迷うなー……。どっちもいいんだよなー……。見た目もいいし……。」


元モデルの感性上で迷っている。


性能は両方に差はあるが、見た目はどっちも似ていて、違うのは側面のロゴが違うくらいだ。


「うーん……こっちにしよ!」


どうやら決めたようだ。




 こうして必要なものを一通り買い終えた二人はというと。


「……そういやあさ。」


麗奈が聞いてきた。


「うん、なに? 麗奈ちゃん。」


さやかも反応する。


「結局どっち買ったの?」


「ああ、それ?? ……実は……。」


と、さやかはニヤニヤしている。


「こっち!!」


そういって箱を見せてきた。


ラベルにはというと……。


「……そっちを買ったの?」


「そー!! 『マキシマム』の方!!!」


「……しかも黒?? ……結構レアだよ、黒は。」


「え!? ホントに!?」


「黒は結構人気だからどこもなかなか売ってないんだよね。……私が出したのも青だったしさ。よく見つけたよね。……感心するよ。」


「いやー、、他の色探してたら偶然見つけただけだよ〜。」


「……さやかが選んだのならさ、私はそれでいいと思うよ。見た目でとやかくは言うつもりないから。」


そういった麗奈の表情は相変わらず無表情だったが、さやかの目には少しだけ、笑みを浮かべているような気がしたのだった。

今回バレーは一切書いてませんけど、初心者に必要なセットは一通り紹介しました。

なろうのサイトは広告費で収入を得ている、ということなので、会社名や、製品名は多少変えました。まあ、バレーをやったことのある方ならどこのメーカーかは察しがついてるかと思いますがww


次回はさやかの紹介となります。乞うご期待ください。

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