第66セット 麗奈、元カレ疑惑が出来る
麗奈の意外な一面を見せたいと思います。
今回の登場人物紹介は、秋山監督です。
秋山涼子 27歳 川崎立花高校女子バレー部監督・生物教師 バレー歴は小3から大学4年まで 元U-15、18、22日本代表 川崎立花高校→東光女子大 現役時代はアウトサイドヒッター 右利き 180センチ 69キロ 3サイズB89W59H87 好きな食べ物 甘いもの 趣味 タバコの銘柄集め
川崎立花高校女子バレー部監督で、自他共に認める厳しい性格。
夏岡とは真逆で下戸であり、ヘビースモーカー。(ただし、飲めないというわけではなく、異常に弱いだけ)
夏岡とは現役時代からのライバルで、犬猿の仲ではあるが、プライベートは仲が良く、オフには食事に誘うほど。
独善的な性格を気にしているフシはあるが、小学校時代からエリートだったが故、そういう厳しい指導しか知らないため、夏岡の選手ファースト指導を羨ましくも思っており、今勢いのあるチームと一目置いている。
人を見抜く目は一流で、さやかの才能や能力にはいち早くから気づいており、将来はすごい選手になると予見している。
一方で麗奈に対しては、いずれ壁にぶち当たると夏岡に進言、忠告をしている。
現エースの沖屋優佳里を神奈川No. 1エースに育て上げるなど、指導者としての力は本物。
ランニング組が帰還し、タイヤバーベル組はランニングを開始した。
校門を出たすぐ辺りに砂浜があるので、そこを走ると足の力が鍛えられ、踏み込む力も強くなる。
自分のペースを保って走っていく韋蕪樹、恵那、彩花、さやかだったが、麗奈は爆速で飛ばしていき、あっという間に姿が遠くなっていった。
なるほど、これが全国優勝の選手のスタミナか……と4人は思ったが、遠目で見ると、麗奈が何やら男子と話しているのが見えた。
普段小田原南では見せない麗奈の姿に、4人は目を丸くし、驚きを隠せなかった。
「ちょっ……さやか、麗奈ってあんな男子に積極的だったっけ……???」
「いやー……知らないです……知崎くんと太我くん以外で男の子と話してるの、見た事ないので……」
「麗奈ちゃんって……彼氏、いたんだ……」
「うん……思い過ごしかもしれないけど、見ちゃいけないもの見ちゃった気分だよ……」
4人は呆然としながら目的地の公園まで走っていったのだった。
一方、麗奈はというと。
川崎立花高校男子バレー部の一年生、鴻上亮介と話しながら並走していた。
しかも二人とも先頭に立っているので、相当なスピードで走っているのは明白だった。
プラスで息を切らしていないところからすると、2人ともスタミナが無尽蔵なのがわかる。
「亮介、インハイ行くんでしょ? どう? 調子は。」
「まー……ベンチには入ったからな。ただ大変だわ、カワタチは。」
やけに馴れ馴れしい2人。
実を言うと、亮介と麗奈は小学生の頃からの腐れ縁であり、橋褒中でも席が隣同士だというのだから、関係性は深い。
幼馴染といっても差し支えは無い。
「……橋褒とどっちが大変?」
「……どっちもどっちだな……最初は苦労したもんだぜ、5号球に。まあ慣れの問題だからアレだけどな。……ってか、麗奈はなんでワラナンなんかに行ったんだよ。推薦も全部断ってまで行くこたあ、なかっただろ?」
亮介の言うことも尤もであり、麗奈のようなエリート選手が、「エリート養成機関」とスポーツ界では言われているほどの中学だ、全国からスカウトが集まるほどで、麗奈も亮介も、勿論哀羅や咲良、春菜や安奈も例外では無い。
それなのに、80件もの推薦を断ってまで小田原南に麗奈が行く理由が、全くもって亮介には分からなかった。
腐れ縁だからこそ、聞いておきたいことだったのだろう。
「……正直橋褒のバレーは楽しくなかった。雰囲気が嫌いだったんだよね、アソコは。……全日本で韓国代表と交流試合をやった時……それが浮き彫りになった。それでバレーを辞めようって思って……ワラナンに行ったんだ。」
「そうだったのか……そう考えたら今の方が楽しそうだしな、麗奈。」
「……まあね。……私の中に……目標が出てきたから。」
「目標?」
「……さやかを『全日本代表』にすること。今の私の目標がこれだから。」
そう言って前を見た麗奈、亮介はその言葉に熱を感じた。
無表情で寡黙な麗奈だからこそ、長い付き合いだからこそ亮介はその熱を感じ取れた。
「目標、か……ハハ、お前らしいな。……てゆーかさ、アイツ元モデルの『さやや』だろ?? アイツもアイツでなんで来たんだよ、ワラナンに。」
「地元が小田原なんだってさ。モデル辞めて、小田原でバレーやろうと思ったんだって、私の試合見て。」
「……一時期辞めようとしてたやつの試合見てやろうなんて……とんだ皮肉じゃねえかよ……」
「……だね。でもその偶然と必然が重なって今があるから……毎日が楽しいよ。」
ならいいんだけど、と亮介は言い、2人は公園へ向けて飛ばして走っていったのだった。
森のある公園で、日陰が多い場所だったが、着いた公園は炎天下も良いところだった。
数十段もある階段を、片足ジャンプで登っていくだけでも汗が噴き出していった。
しかも行って戻って、のトレーニングもある。
慣れていないと相当キツイ。
こういったトレーニングには慣れていないさやかには、相当足にくる。
階段を降りた後に天を見上げるさやかに、麗奈は背中をポン、と叩く。
「ホラ、弱音吐かない。まだあるから。」
「……うん……!!」
両足が終わった後、校舎に戻るために来た道をランニングで帰っていくのだが、麗奈は相変わらずの無尽蔵のスタミナを披露し、あっという間に姿が見えなくなったのだった。
アスファルトに座ってストレッチする麗奈に、さやかは恐る恐る声を掛けた。
亮介との関係についてだった。
「あ、あの……さ、麗奈ちゃん……」
「うん、どうしたの?」
「麗奈ちゃんって……彼氏っていた?」
「は???」
「え???」
麗奈のあっけらかんとした答えに、さやかもポカンとした顔になった。
「……もしかして……亮介を狙ってたの? さやか。」
「そんなわけないじゃん!! たださ、走ってる時に亮介くん……だっけ? すっごい仲良さそうに話してたから……!!!」
確かに顔自体は童顔だが亮介は整っている。
167センチとそこまで大柄でもなく、ショタコンである麗奈にはドストライクの筈だ。
さやかは、麗奈が亮介と交際していたのかどうか、それだけを聞きたかった。
「……誤解してるようだけど、亮介とはただの幼馴染だよ。今更恋心なんてあるわけないじゃん。そもそも橋褒のあの環境でカップルとか頭おかしいって言われるだけだよ。」
「そっか……なんか期待しちゃったなー……」
さやかはホッとした表情を浮かべた。
麗奈が交際していないと知った時、よかった、純潔はあったのだな、と安堵していたのだった。
「……亮介の顔が好みなのは否定はしないよ?」
「あ、それは認めるんだ……」
こうして韋蕪樹組のランニングが終了し、ゴム跳びに移っていったのだが、ここは何故かすんなりと終わったのだった。
意外と麗奈は誰とでも打ち解けられるタイプなんですけど、自分からは決して動かないタイプですね、交友関係に関しては。
次回の登場人物紹介は春菜を紹介します。
次回はハードなトレーニングを紹介して1日目を終了とさせていただき、後半は麗奈、さやかの追加トレーニングを書きたいと思いますwww
次回もまた、お楽しみください。




