第56セット 超攻撃型のスタイル
この回から第3セット開幕となります。
オープニングの形がどうなるか、ご注目を。
僕の中学の先輩が東京オリンピック全日本代表入りを果たしたので、僕もこの作品と共に頑張りたいと思いますwww
最終第3セット、サーブは小田原南からスタートとなった。
夏岡が一つ息を吐いた。
「麗奈は状況を見て出すけど、後半からじゃないと今の状態だったら保たないと思う。その時にさやかと同時に投入する、ってことだけは覚えといて! で、このセットは一個回す! 全力で行って、全国に行こう! オッケー!?」
この夏岡の檄に、選手は大きな返事で反応した。
瑠李からサーブが始まる=超攻撃的スタイルにするという事と等しい。
ハッキリ言って賭けではあったが、今の勢いであれば勝てると夏岡は踏んだのだろう。
(正直さやかは長い時間は使えない……あのセンスとはいえ……大和碧南も試合巧者だ、対応される時間は遠くない……何せ麗奈のあのトスでレシーブが追いつくくらいだ。あのまま使っててもさやかの体力も持続しない、だったらあの子の未来を優先することを……私は選ぶ……!)
夏岡は拳を握りしめて、ベンチから立った。
一方、リザーブでは。
「麗奈ちゃん……あれで良かったの? 無理矢理にでも出たい、って……」
体力の温存を名目にリザーブに下がったさやかが麗奈に今の心境を聞いた。
「大丈夫。私のことは……私が一番分かってる。それに……」
そう言って、麗奈は目線をコートに移した。
「私がすぐにでも出たい、って言える空気じゃないし……小田原南の『本来のスタイル』も見ておきたいしね、この目で。」
表情自体はいつものポーカーフェイスではあるのだが、感情がどこか笑っているのがさやかの目にそう映っていた。
第3セットが始まった。
が、大和碧南も手を打ってきていた。
なんとこちらはローテーションを一個戻していたのだ。
大和碧南も超攻撃型で勝負を賭けようとしていた。
「……まずいね、これ……」
麗奈が呟く。
「うん……一個ローテを戻してる……あのジャンプサーブは……私並みのレシーブだったら触るのがやっとだと思う……」
芽衣もこれに同調していた。
今までで一番危険だ、と。
何せ詩穂が前衛ライトのポジション、そしてサーブは小田原南。
一点でもサイドアウトを奪えば、詩穂にサーブが回る。
小田原南としては少しでも引き離しておきたい盤面だった。
当の瑠李もこの状況は理解している。
(何処を狙ったら崩れるか……それは理解してるよ……その答えは……)
笛が鳴る。
瑠李は両手でボールを持ち、ステップする。
(ここだ!!)
ジャンプフローターサーブを咲良と夏帆の間に放った。
左に揺れる。
咲良はオーバーハンドでカットし、由希に繋げた。
由希は横に助走する詩穂に向かってレフトへ挙げた。
瀬里と韋蕪樹がブロックに飛んでいる。
詩穂の体勢が若干崩れている。
止められる、と思って手に力を込める2人。
「……止まると思ってた? 体勢が崩れたくらいで。」
詩穂は空中でそう呟き、インナークロスに変態的体勢から打ち抜いた。
春希がボールを弾き、先制点を大和碧南に奪われてしまった。
「くぅっ……流石国体候補……あそこから抜く……?」
「しょーじき、私も予想できなかった……だけどここが本番だよ……!」
瀬里と莉子奈がそれぞれ声を掛け、詩穂のサーブに備えた。
(正直ワラナンがここまで粘るってことは想像してなかった……だけど……もう止めれないよ、追い詰められた人間の底力を知らないんだから!!)
笛が鳴ると同時に、詩穂は右手で高々とボールを挙げた。
グワァッ!!! バコォンッッッッ!!!!
そのサーブの体感速度は約150キロ。
実際は100キロ近くの時速で打たれているサーブなのだが、バレーボールだと100キロが150、160キロに感じるものだ。
真理子はおろか、春希ですらその領域には至ってはいない。
後衛にいた莉子奈と桃華の間にその豪速球のサーブは打ち抜かれていたのだった。
「「なっ…………」」
会場がどよめき、凍りつく。
それくらい強烈なサーブだった。
会場及び小田原南サイドが静まり返る中、大盛り上がりの大和碧南サイド。
その後詩穂は、そこから3連続でサービスエースを決めたことで、夏岡はたまらずタイムアウトを取った。
詩穂、本気モードでしたね。
次回、敵方も全力で来ます。
どうなるかはお楽しみに。




