第51セット ただ、高いだけ
第2セットは波乱含みの展開にしようと思ってますので、宜しくお願いします。
今回はさやかが出てどうなったかを書きますので。
登場人物紹介は沙織です。
益岡沙織 大和碧南高校女子バレー部3年 藤沢第二西中出身 バレー歴は小3から ミドルブロッカー 176センチ 61キロ 3サイズB86W60H87 好きな食べ物 フルーツサンド 趣味 ダーツ
大和碧南のミドルブロッカーで、ブロックの要。
長い腕を生かしたブロックを武器にし、プレースタイルは禊応の宙に近い。
クイックもそこそこ打てる。
チームのムードメーカーでもあり、明るい性格である。
第2セットが始まった。
さやかが投入されたことにより、高さに厚みが増している小田原南。
莉子奈のサーブから第2セットが始まった。
莉子奈はジャンプフローターサーブを放つ。
詩穂が正面に入ってレシーブをする。
由希はチラッと夏帆の方を見た。
ジャンプトスの体勢に入り、初手から沙織のBクイックを挙げた。
いくらさやかが高いとはいえど、技巧派の多い大和碧南とは相性はそこまで良くなかった。
沙織はさやかのクロス方向に打ち抜いて幸先良く先制した。
しかし、麗奈は焦ることはなかった。
次の由希のサーブを桃華が軽々とカットし、麗奈に繋げた。
麗奈は負けじとさやかにBクイックを挙げた。
大和碧南のブロックは夏帆と沙織の2枚。
やはり警戒されているという現れだろう。
しかし、そうは言っても、さやかは190近い長身だ、そう簡単には止まらない。
お構いなしにストレートへと打ち抜いて夏帆が吸い込んだ。
なんとか自分で処理し、妹の由希へ繋げた。
由希はレフトへのオープントスを挙げる。
佳奈に挙げた。
ゆったりと踏み込んで助走する佳奈。
が、小田原南も3枚ブロックで対抗する。
大和碧南の全員の共通していた考えは、「麗奈が前衛の時は徹底して麗奈の方向にスパイクを放つこと」。
セオリーだ、麗奈が一番高さがないのだから。
いくら麗奈の身体能力が高いとはいえど、10数センチもの身長差は簡単には越えられない。
佳奈はストレートに打ち抜こうとし、スパイクを放った。
が、ここで信じられない光景を佳奈は目にした。
さやかがブロックの手を伸ばしたのだ、麗奈の方向に。
さやかの咄嗟の判断ではあったのだが、段違いブロック、しかも高さが圧倒的にあれば止めるのは容易かった。
予想外の事態に大和碧南の選手は動けず、コートに落ちた。
これで同点に追いついた。
「良く行ったね。さやか、あそこ。」
麗奈は感心しきりだった。
ポーカーフェイスでは相変わらずあったのだが。
「いやー……来るって思ったから、麗奈ちゃんに……。ともかく追いつけてよかったよ。」
「……んじゃ、その調子でよろしく、さやか。」
麗奈とさやかはハイタッチを交わし、麗奈はサーブに下がっていった。
麗奈はボールを両手で床に突いて集中力を高めていた。
一つ息を吐き、左手でボールの下を持ち、右手で軽くパンパン、と叩いた。
(さやかを入れたからにはここを落とすわけにはいかない……私が点を奪う気でいかないと持っていかれる……絶対ここはサービスエースを取る……!)
麗奈は流麗なステップを踏み、銃声のようなミートと共に、ジャンプフローターサーブを放った。
高速でネットスレスレに飛んだサーブ。
しかも無回転だ。
そしてそれは、高速でブレる。
咲良は揺れに対応できない。
咄嗟に右に手を出したが、横に大きく弾く。
由希が走り込んで二段トスで詩穂のバックアタックに繋げた。
が、流石に詩穂も軽くでしか返せない。
ソフトスパイクを放ち、莉子奈はそれをアンダーハンドで処理した。
(ちょっと奇襲、仕掛けるか……一人時間差で。)
チャンスボールが来る際にさやかに出したサインを、さやかはサイン通りAクイックに入ってくる。
沙織はトスが上がった瞬間にジャンプし、ブロックの体勢に入ったが、さやかは跳んでいなかった。
気づいた時にはもう遅い、「さやかの一人時間差攻撃」。
タイミングを外すことに成功したさやかはそのまま垂直跳びでジャンプし、沙織の落ちゆくブロックの上からボールを打ち抜いた。
さやかに笑顔が弾ける。
そして円陣に入り、喜びを分かち合った。
「マジか……一人時間差か、ここで……」
沙織はしてやられた、という顔をしていた。
詩穂もそれを見てこう思って喋る。
「あの11番、ただ高いだけかな、って思ってたら頭も良い……10番の意図をしっかりとあそこまで汲み取れるのって相当難しいだろうに、それがちゃんと分かるっていうのがすごい……こりゃ将来有望かもね。」
詩穂は淡々としていたが、逆にそれで闘志が湧き上がったようで、指を鳴らした。
その後は麗奈がサーブで崩してから得点を決めるシーンが多くなり、麗奈はラリーからさやか中心で組み立て、さやかは強烈な「囮」となった。
しかも「一人時間差」という種を蒔いたことでブロックをも混乱させていた。
麗奈のサーブのターンを切る頃には、7-2と、小田原南が圧倒していたのだった。
あの5点の内訳は、さやかのBクイック→韋蕪樹のライトセミ時間差→さやかのAクイック→春希への平行トス→春希へのBクイックセンターセミ時間差攻撃。
さやかを効果的に使ったことで春希、韋蕪樹の左右のダブルエースが楽に打たせる展開となっており、序盤の流れを掴み取ったのだった。
高くて考える能力があるのはそれだけでプラス要素が多いです。
実際さやかみたいな攻撃をされたら非常に厄介ですよ、経験者側からしたら。
次回は中盤に入ります。
大和碧南も負けてませんよ。
登場人物紹介は茜里です。
次回も乞うご期待くださいませ。




