第49セット 誰が相手だろうとなんだろうと
ワラナンは劣勢、でもただで終わらないのが小田原南。
さて、登場人物紹介、今回は詩穂の紹介です。
神谷詩穂 大和碧南高校女子バレー部3年 大和公明中出身 バレー歴は小3から 右利き アウトサイドヒッター 181センチ 72キロ 3サイズB89W63H89 好きな食べ物 軟骨の唐揚げ 趣味 少女漫画集め
大和碧南のエースで、強烈なスパイクとジャンプサーブが武器。
莉子奈でまともにAパスを出せないほど強烈なジャンプサーブを放つ。
元JOC神奈川県代表で、芽衣も憧れている存在。
性格はというと、寡黙な性格で、何を考えているかはよく分からないと評されるほどの変人でもある。
少女漫画集めを趣味としているほどの乙女チックな一面もある。
15-18という、劣勢な展開。
サーブは由希。
サーブが放たれる。
莉子奈がカットし、Aパスで麗奈に繋げた。
麗奈が選択したのは、瀬里をBクイックを跳ばせてからの春希のセンターセミ時間差攻撃。
ブロックは2枚。
春希は躊躇いなく打ち抜くが、2枚ブロックの壁は厚い。
弾かれて小田原南のコートに戻る。
桃華がリバウンドし、再度麗奈に繋げる。
麗奈はライトに回った韋蕪樹へトスを挙げた。
クロス寄りにブロックが構えられるが、韋蕪樹もそこまでヤワではない。
ターン気味のストレートにコースを変更し、佳奈の腕に当ててブロックアウトを奪った。
これで16-18。
詰めてはいるのだが、韋蕪樹が起点を利かせなければ離されていたかもしれない、と思うと今のはファインプレーに近い。
「韋蕪樹さん、ナイスです。」
「いやー、危ない危ない、さて、こっから流れ掴むよ。」
麗奈と韋蕪樹が声をかけ、お互い労い合う。
ここで夏岡が動いた。
2番の札を持っているのは真理子だった。
夏岡も、強烈なサーブで流れを掴みたいというハラだろう。
真理子は瀬里と変わり、サーブへ下がっていった。
笛が鳴り、真理子は一つ息を吐いた。
ボールを高々と挙げ、驚異的な跳躍を活かしたジャンプサーブを放った。
ボールは鋭い軌道を描き、咲良へ一直線に飛んでいった。
ギュオッ、という勢いと共に、咲良も一直線でボールに対応する。
小柄な体躯ながら踏み込むスピードが尋常ではない咲良。
ギリギリではあるが、逸らすことなくレセプションを決めたのだった。
真理子はこの時思っていた。
(チッ……マジか……それ取るかい!)
だが、レシーブは少し短くなった。
が、由希も迷うことなく詩穂へトスを挙げる。
強烈なバックアタックが襲いかかり、真理子の右へボールが飛んだ。
真理子がギリギリのところで拾う。
高く打ち上がったが、短くなる。
真理子はすぐ立ち上がり、トスを要求する。
麗奈もそれに応えるかのように、バックアタックをそのまま挙げた。
が、ブロックが3枚だった。
技術がある方ではない真理子にこの高い3枚は非常にキツい。
力任せに打ち抜くが、案の定、佳奈に止められた。
流れを掴むどころか、逆に離されてしまうという大失敗で、いよいよ追い詰められる。
だが、ここで小田原南が終わるわけではなかった。
次のターン、春希へのライト平行トスが決まり、追い縋っていく。
しかし、次のターンで夏帆に2連続でスパイクを決められてしまった。
17-21と、4点差まで広げられてしまった。
しかもこのタイミングで前衛には詩穂も上がっているローテーションだ。
絶望感が観客席から漂うが、まだ諦めていなかった。
佳奈のサーブを桃華がカットし、麗奈へ繋げる。
藍、韋蕪樹をダブルクイックに入らせ、それを囮に莉子奈へのライトへのトスを挙げた。
莉子奈も足が速いので、これに余裕で間に合う。
だが詩穂も牙城がある。
一枚とはいえ、気を抜けば瞬殺だ。
体が流れているため、コース取りは大体は読める。
だが、莉子奈にはお構いなし。
「舐めんじゃ……ねえよ!!」
サイドライン一杯目掛けてストレートを打ち抜く。
キレのいいスパイクが大和碧南に襲いかかる。
ボールが落ちたところはアウトかインか、ギリギリのライン。
ラインジャッジはインの判定を出し、これで流れを切ることに成功した。
18-21と、依然として大和碧南がリードしているが、諦めない姿勢が勝敗を左右しているかに思えた。
韋蕪樹がサーブを放ち、咲良がカット、由希はライトの夏帆へトスを挙げた。
夏帆は莉子奈のブロックを弾き飛ばし、ブロックアウトを奪い取った。
大和碧南も冷静な試合運びを展開し、小田原南をジワジワと追い詰めていった。
夏帆の次のサーブ、春希がカットする。
麗奈が選択したのは藍だった。
藍のBクイックが由希のブロックを弾き、得点となるが、まだ19-22だ。
ここで瀬里が前衛に上がる。
藍はサーブに下がった。
藍がサーブを放つ。
夏帆がカットし、由希に繋がる。
由希が選択したのは茜里のAクイックだった。
春希が滑り込んでこれを挙げた。
少し麗奈が走り込む格好になったが、麗奈は余裕そうにボールの下に入った。
どこに来るか、誰に挙げるか……麗奈の一挙手一投足に注目が集まる中、麗奈が選択したのは……
ツーアタックだった。
音もなく、そして柔らかく放たれたツーアタックに、この終盤で予想だにしなかったツーアタックに大和碧南は全く反応ができなかった。
ボールは茜里の真後ろに落ち、小田原南も20点の大台に乗せて行った。
麗奈は由希の方を見る。
「……誰が相手だろうとなんだろうと……私は、私達は負ける気は一切ないですよ。」
ポーカーフェイスながら、鋭い眼差しで由希を射抜いていた麗奈の目なのであった。
さて、次回、節目の50話目です。
1セット目が次回で終わりますんで、把握のほどよろしくお願いします。
次回の登場人物紹介は佳奈です。
お楽しみください。




