第46セット 麗奈の師匠・井口姉妹
今回から大和碧南戦になります。
この回から15話を予定していますので、今までより熱く、激しく書きたいと思っております。
ユニフォームは小田原南がトリコロール、リベロが黒、大和碧南が白、リベロがオレンジとなっております。
久々の登場人物紹介ですね、今回は咲良です。
近元咲良 大和碧南高校一年 橋誉中出身 4月26日生まれ O型 リベロ バレー歴は小3から 右利き 149センチ 39キロ 3サイズB79W55H82 好きな食べ物 栗ご飯 趣味 スキー
麗奈の元チームメイトで、橋誉の元・守護神、現大和碧南の守護神。
黒髪短髪、左目の下の泣きボクロが特徴的な選手。
サバサバした性格で、麗奈からは同学年で一番話した選手とのこと。
リベロとしてのプレーはスピードで勝負するタイプで、反応が速い上、一歩目も速いというタイプ。
緩い球はどちらかといえば苦手。
中学時代は「鬼軍曹」と呼ばれるほど、バレーに熱く厳しい性格だった。
翌日。
インターハイ神奈川県予選最終日。
この日で全国への出場校2校が決まる準決勝の大一番。
第一試合は小田原南高校VS大和碧南高校、第二試合は川崎立花高校VS横浜信愛女学院高校となっている。
さやかの影響で、神奈川のローカルアイドル的存在となった、今勢いのある小田原南に注目が集まる中、6年連続でインターハイ出場を狙う大和碧南が立ちはだかっている。
どれだけやれるのかにも期待が集まっているし、あわよくば、ということもある。
会場の熱気は小田原南高校一本に集約されようとしていた。
一方その頃、体育館からすぐ出た廊下の辺りでは、麗奈と井口姉妹の妹の方、井口由希が何やら話し込んでいた。
まあ、挨拶程度なのだが。
「麗奈、久しぶりだね。小学校の時以来?」
「由希さん、ご無沙汰しております。……そうですね、その時以来ですね、こうやって話すのって。」
「アハハ、そうだね、でもホント相変わらず表情変えないから緊張してんのかなーって。」
「緊張はいい意味でありますよ。けど……ここまで来たんだから楽しむだけですよ、あとは。」
「そうだねー……咲良も、お姉ちゃんも、アンタとやるのを楽しみにしてたから。特に、あの二人は。」
「まあ、ワラナンも調子自体は悪くないんで……でも勝つのは私たちですよ。」
「フフッ、いいねえ麗奈……私も負けらんないから。」
チームのセッター同士、バチバチに燃えていたのだった。
そしてコート入りの時間。
先に男子の方が行われていた関係上、午後からのスタートになるが、全員気合が入っていて調子がいい。
しかもこの大歓声だ。
奮い立たないわけがない。
上がりすぎなのは多少懸念材料ではあったのだが、チームの上昇気流と考えればプラスの材料になる。
ある程度スパイクの打ち合いだったりしていく中、莉子奈が審判席に呼ばれる。
サーブ決めだ。
莉子奈は井口姉妹の姉で主将の夏帆と握手を交わす。
莉子奈が着目したのは、その腕の太さ。
丸太までとはいかなくとも、引き締まり、頑丈そうな腕だった。
その中でコイントスが行われ、大和碧南のサーブでゲームが始まることとなった。
準決勝3セット制、決勝5セット制で行われることとなっている。
小田原南のスタメンは以下の通りだ。
FL 河田春希【4】アウトサイドヒッター 170センチ 3年
FC 望月瀬里【2】ミドルブロッカー 171センチ 3年
FR 倉石麗奈【10】セッター 160センチ 1年
BR 神木莉子奈【1】アウトサイドヒッター 167センチ 3年主将
BC 丸山藍【5】ミドルブロッカー 175センチ 3年
BL 勝又韋蕪樹【6】オポジット 177センチ 2年
リベロ 澤田桃華【8】145センチ 2年
セカンドリベロ 松尾蓮【12】152センチ 1年
いつもと変わらないメンバーで勝負することにした小田原南高校女子バレー部。
夏岡は第二セットからさやかを投入することを決めたようだった。
一方、大和碧南のスタメンは、このようになっている。
FL 大串佳奈【2】アウトサイドヒッター 175センチ 3年
FC 益岡沙織【3】ミドルブロッカー 176センチ 3年
FR 井口由希【8】セッター 172センチ 2年
BR 神谷詩穂【5】アウトサイドヒッター 181センチ 3年
BC 井上茜里【4】ミドルブロッカー 180センチ 3年
BL 井口夏帆【1】オポジット 177センチ 3年主将
リベロ 近元咲良【12】149センチ 1年
セカンドリベロ 羽垣かおり【10】163センチ 2年
核になるのは井口姉妹や咲良もそうなのだが、全員が高校トップクラスの実力を持っており、苦戦は必至だった。
平均で見ても170後半という高さがあるので、レシーブがいかに正確に挙げられるかがカギだった。
笛が鳴り、試合が始まった。
全国の切符を掴む試合とだけあり、会場は一段と盛り上がりを見せている。
整列後、メンバーは夏岡の元へ集まった。
「正直にいうと……私が多分、一番緊張してるよ。だけど……この2ヶ月、麗奈がスタメンに入って2ヶ月! やるだけのことはやったんだ、あとは……勝ってそれを証明するだけだ、オッケー!?」
「「「「「「「「「「「「「「「ハイ!!!」」」」」」」」」」」」」」」
そうして莉子奈を中心に、円陣を組み、手を前に突き出した。
「フーーーーッ…………行くぞ!」
「「「「「「「「「「「「「「オーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」
小田原南は気合十分だった。
最高のモチベーションのまま、試合がスタートしたのだった。
審判団の背番号確認を終え、リザーブメンバーは円陣を組む。
瑠李が音頭を取る。
「やっとここまで来たんだからさ……みんな、何かあっても準備しといてよ!? いい!?」
これに全員頷く。
「さて……行きますか! ワラナン、ファイ!!!」
「「「「「「オーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」
意気揚々と試合開始の笛が鳴ろうとしていたのだった。
サーブは大和碧南から。
詩穂からのサーブだ。
最初のサーブとはいえ、いきなり豪快に行くか、慎重に行くかで今後のゲーム展開が左右されてくる。
詩穂は高々とトスを挙げ、ジャンプサーブを放った。
莉子奈がなんとか横っ飛びで強烈なサーブをカットした。
しかし、莉子奈でAパスにはならなかった。
少し麗奈から見て遠目に逸れたのだ。
麗奈は一発目を瀬里が使えないと判断し、春希へ軽くトスを挙げた。
春希がストレートに放った重いスパイクは、由希のブロックを弾き飛ばした。
咲良が走り込んでカバーした。
そして由希はそれを二段トスでレフトの佳奈へと挙げた。
佳奈はゆったりとした助走からスパイクを放った。
脚の長いスパイクになった。
桃華がディグでこれを処理した。
麗奈は初っ端から大札を切った。
韋蕪樹へのバックアタックのトスだった。
韋蕪樹は大きく踏み込み、遠い間合いから強烈なバックアタックを放った。
そのスパイクは夏帆に襲いかかった。
夏帆が処理した強烈なバックアタックを妹の由希が、姉の夏帆へ挙げる。
またもやバックアタックだった。
がっしりとした腕から放たれたサウスポーのスパイク。
春希のブロックの上を通り、莉子奈に襲いかかった。
しかし、莉子奈のレシーブ力を持ってしても威力を殺しきれず、コートサイドへ弾き飛んだ。
大和碧南に先制点が渡った。
麗奈という「弟子」に、井口姉妹という「師匠」が立ちはだかるという構図になっていたのだった。
しかし、夏帆は妥協しなかった。
「由希、もうちょっと高くていいわ。」
「オッケー、姉ちゃん。もっといけるでしょ?」
「なんのその。……次一本止めるよ、ここ。」
姉妹の阿吽の呼吸で碧南陣営は呼応することとなる。
一方、小田原南は。
瀬里が麗奈に声を掛けた。
「麗奈、次トス頂戴。どんな形でもいいから。」
「わかりました。」
こっちのセンター線も問題はなかったようだった。
そして再び詩穂のジャンプサーブのターン。
大和碧南がパワーでごり押すのか、それとも勢いの小田原南が勝るのか、勝負はここから始まったばかりだった。
初っ端のラリーは濃密に書きました。
次回も白熱した展開になりますんで、濃密に、時にカットしたりをやっていこうと思ってますので、今後とも宜しくお願いします。
次回の登場人物紹介は井口姉妹の姉の方、夏帆です。




