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第38セット 肺気腫の後遺症

申し訳ない、投稿間隔が大幅に空いてしまいました。

でも非投稿期間にここまで評価が増えるとは思っていませんでした。

感謝しかないです。

禊応戦はあと6話なので、しっかりと頑張りたいと思います。

 異変を感じていたのは、藍だった。


17-10とリードをしている小田原南ではあるが、禊応もただで終わるほど甘くはなかった。


哀羅と宙を中心とした組み立てを朋美が取ったことで、藍は振り回されていたのだった。


ミドルブロッカーなのでリザーブでも体力自体は温存できるのではあるが、藍には一つ、身体的な問題があった。


()()()」の()()()だった。


藍は小学六年生の時にその病気に罹り、肺胞の半数が18の年にして死滅してしまっている。


つまり、激しい動きが制限されるのだ。


このことは中学時代を共に過ごしてきた桃華しか知らない。


酸欠が懸念されてきていたのだった。



 禊応が追い返し、気がついた時には22-18と追い縋っていた。


ここが頃合いと見た夏岡は、タイムアウトを要求した。


タイムアウトとなり、水分補給でスタミナを回復させるが、藍の身体には異変がもう、すでに感じ取られていた。


それも本人にだけ。


藍は現在前衛にいる。


と、ここで藍が麗奈に声を掛けた。


「……麗奈……私に挙げてくれる? こっから全部……」


額の汗が夥しくなっていた藍は珍しく自己主張をしたのを見て、莉子奈はともかく、春希も驚きを隠せなかった。


普段体力の温存からか、あまり目立ったプレーをしない藍がここにきて全部自分に来い、と言っているのに違和感を禁じ得ることは出来なかった。


「……分かりました。藍さんのクイック力は高いと思いますんで、信じますよ。」


麗奈は淡々と返した。


麗奈も違和感はなんとなく感じ取ってはいたが、確証が持てない。


何故なら、藍が険しい表情をしていたからだ。


しかし、無理をするなとはいっても、藍は案外頑固な性格なので止まりはしないだろうと判断し、作戦を練った。



 タイムアウト終了後の花蓮のサーブ。


現在の前衛のローテーションは、レフトに莉子奈、センターに藍、ライトに韋蕪樹という、攻守のバランスが取れた布陣となっていた。


花蓮のサーブが桃華のところに行き、少し移動しながら桃華はカットした。


麗奈は冷静に判断し、藍にBクイックを挙げた。


藍が打ったボールを朋美が高めに弾く。


桃華がボールを取り、再度麗奈の元へ挙げた。


麗奈は立て続けに藍にBクイックを挙げる。


藍もクロスに打つが、紗衣がフライングで拾い上げる。


しかし、スパイクの威力が強かったのか、小田原南のコートに返った。


春希が走り込んで拾うが、短い。


流石に二段トスになるだろうな、と思い、麗奈がライトの韋蕪樹へ挙げようとしたが……。


と、ここで藍が珍しく大声で「来い!!」と呼ぶ。


藍は麗奈の方を見ている。


麗奈は鼻で息を吐き、ノーモーションから縦のクイックを藍に挙げた。


宙のブロックが少し遅れた。


藍は見逃すことなくターンにクイックを思い切り打ち込み、花蓮のレシーブを弾き飛ばした。


哀羅も飛び込むが届かず、小田原南のポイントになった。


藍がガッツポーズを突き上げ、咆哮を挙げた。


しかし、藍の体力は限界寸前。


藍は最早気力だけだった。


口を窄めて細かく呼吸をして酸素を取り込むのが精一杯な状態だった。



 次の韋蕪樹のサーブを禊応は難なくカットし、哀羅のライトセミ時間差で哀羅はクロスに打ち抜く。


春希は触ることができず、23-19。


まだわからない。


禊応もこのセットを諦めてはいなかった。


そして宙のサーブ。


フワッと入ったサーブが莉子奈のところに来て莉子奈がアンダーハンドでカットした。


Aパスで入ってきたレシーブが、麗奈の上空に上がる。


藍がBクイックに入り、打ったが、椎奈に弾かれる。


莉子奈は逆を突かれたが、間一髪でフライングで挙げる。


藍はレフトのアンテナ付近まで移動した。


そして再びクイックを要求する。


麗奈はAクイックを挙げる。


藍は打ち込むが、花蓮がなんとか拾い、朋美がすかさずレフトの哀羅へとファーストテンポで挙げた。


ブロックが間に合わず、ほぼ0枚になる小田原南のブロック。


哀羅が見逃すはずもなく、ストレートに打ち抜いた。


韋蕪樹がなんとか後ろ体重に重心を乗せながらオーバーカットで哀羅のスパイクを拾った。


麗奈が走り込み、藍に目掛けて高速クイックを挙げようとした。


藍も歯を食いしばり、力強く踏み込んだ。


そして今までで一番であろうジャンプで藍は上空へ跳んだ。


麗奈は予想外の高さには一瞬面食らったが、それを修正できるのが麗奈だ。


冷静に合わせて、藍の最高到達点に正確にトスを挙げた。


藍はクロスに打ち抜いた。


流石の紗衣でも拾えず、小田原南がセットポイントを奪った。



 24-19。


ここで藍がサーブに下がり、さやかが前衛へと上がっていった。


更に盛り上がる会場。


しかしその裏で藍の気力がもう、尽きようとしていた。


顔色が悪い。


完全な酸欠の症状だった。


笛が鳴り、藍の力のないサーブがネットにかかった。


これで24-20。


桃華とポジションを変わった時、藍はもう、酸欠でフラフラだった。

肺気腫の後遺症はちゃんと調べさせていただきました。

藍は酸素ボンベを持ってこないといけない状態なんですよね、裏話をさせていただくと。

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