第37セット 「私だって羨ましい」
麗奈のさやかに対する現在評価の回です。
でもその中で試合は進行していきます。
ここで、麗奈の相関図を書き記します。
麗奈→さやか……親友以上の関係になりつつある。
莉子奈……ちょっと頼りない部分あり
瀬里……真面目な人
瑠李……自分のバックアップ要因ではあるが、ちゃんと実力を認めている。
春希……生き方が男前
藍……無口であまり話すことはないが、気は合う。
韋蕪樹……トスを挙げていて楽しい人
恵那……空気読めなくて苦手
桃華……嫌いではないが変な人
彩花……意外性の塊。ただ、もうちょっとしっかりして欲しい。
蓮……勉強が出来るやつ
真理子……センスはあるんだけど、基本バカなやつだから扱いやすい
芽衣……なんか苦手。自分でもよく分からないけれども。
大幾……顔は好み。麗奈におっぱいの大きさがあれば多分付き合ってたかもしれない。
(巨乳好きは太我から聞いているため) ただムッツリだからどうかなー……って感じ。
夏岡……理解力が高いので、今時の教師の中では珍しいタイプだと思っている。
麗奈は、さやかが下がって、リザーブのメンバーに迎え入れられた時にこう考えていた。
羨ましい、と。
底抜けに明るく、誰からも愛される、そんな姿を。
そんな中でも試合は進んでいく。
椎奈のサーブを莉子奈がカットする。
カットされたボールはAパスになって麗奈に飛ぶ。
麗奈が選択したのは藍のAクイック。
藍のクイックは綺麗に宙の横を通り、コートに落ちた。
藍が珍しく大声をあげた。
どうやら藍もさやかに感化されているようだった。
麗奈にはない、別のスター性をさやかが持っているのは明白だ。
味方をリズムに乗せるのもスター性だが、さやかのスター性はまた違う。
味方の気持ちの昂りを作用させるというスター性だ。
麗奈のスター性は前者なのだが、さやかは後者だ。
だからこそ麗奈には余計羨ましく映っていた。
春希がジャンプサーブに下がる。
高々と回転を掛けて挙げ、跳び上がってジャンプサーブを放った。
哀羅の左腕に当たってネットを大きく超えた。
無論アウトになり、サービスエースを奪った。
更に小田原南のボルテージが上がっていく。
そして今リザーブにいるさやかは誰よりも喜んでいる。
これで7-2。
先程とは打って変わって大差のリードを奪ったのだった。
麗奈は考える。
プレーをしながら。
(哀羅は私に嫉妬してるって言ってる感じだったけど……私も哀羅と同じだ……さやかのことは嫌いじゃない、でも……単純にさやかは私に無いものを全部持ってる。だからこそ妬んでいたりもするし羨ましかったりする……でもさやかは私に対しても……バレー以外で人望がない私に対しても……悪口なんか一個も言わずに付いてきてくれてる……誰からも愛されて、でも誰よりも貪欲で……哀羅、私だってさやかのあの愛され方だったり……哀羅のリーダーシップには本当に嫉妬しているし羨ましかったりする。だけど……私は哀羅じゃなくてさやかと出会って選んだ。それは……あの明るさに、あの体格に全て集約されていた……私が……欲しかったものを。私はさやかに夢を与えた、でも今は……私はさやかに夢を与えられているんだと思う。どうせだったら……さやかと一緒に日本代表、やってみたいな。……だからこんなところで負けるわけにはいかない!)
気づけば11-4となっていた。
もう第二セットは小田原南の流れに傾いており、会場の熱気も完全に小田原南のホームのような空気だった。
なにしろ禊応が得点するたびにため息混じりの歓声が漏れているのだから。
だが、このままで終わる禊応ではなかった。
哀羅が奮戦し、朋美もトスでブロックを振り回す。
歓声が木霊する中、17-10まで慶応も盛り返す。
やはりそう簡単にはいかない。
小田原南も藍やさやかを起点にした攻撃を絡めていっているのではあるが、悪役のようになった禊応も粘るのでなかなか決まらない。
ヒリヒリとした展開がコート内を覆い尽くす。
だが、異変には誰も気づいていなかった。
この時はまだ。
ただ一人、その本人を除いて。
麗奈はさやかには確かに嫉妬はしています、でもそれを気にしないマイペースさもまた麗奈なんですよね。
無表情でも感情がないわけではないです。




