第34セット 「機能停止」
本当にマジでマズイ展開。
登場人物紹介は真矢です。
あんまり登場することはないですが。
岸谷真矢 禊応大義塾高校女子バレー部三年 川崎逍遥中出身 10月10日生まれ B型 バレー歴は小4から アウトサイドヒッター 右利き 174センチ56キロ 3サイズB87W59H84 好きな食べ物 チーズケーキ 趣味 カラオケ
哀羅が入ってくるまでレギュラーだった三年生。
レシーブがあまり上手くないため、現在はリザーブに甘んじているが、技巧派なので出た時はかなり厄介な存在。
直向きな性格なのだが、内心腐りかけの状態になっている。
ブロックポイントを2連続で取られたことで3-4と逆転をされた小田原南。
流れが明らかに悪い。
なにしろエースの春希が止められているのだ、雰囲気も心なしか悪い。
苦境に立たされているのが序盤で分かった。
韋蕪樹も前衛にいるとはいえ、春希が決めなければ流れにも乗っていけない。
ここは春希で決めるしかない、それはチームの共通事項だった。
紗衣がサーブを放つ。
莉子奈が一歩引いてレセプションをし、麗奈に繋げた。
麗奈はマイナステンポのトスを選択した。
春希に、だ。
宙のブロックが遅れ、花蓮の一枚になる。
躊躇うことなく春希はクロスに打ち込んだ。
紗衣のコースにちょうど飛び、絶妙なコースに決まったかと思われたが、透子が飛び込んでスパイクを上げた。
完全に流れが向こうに行ってしまっている、それは既成事実になりつつあった。
朋美がすかさずトスを哀羅に挙げた。
藍と韋蕪樹が止めにかかる。
しかし哀羅は抜いたスパイクを韋蕪樹に放ち、ブロックアウトを韋蕪樹の小指の先に当てて奪った。
これで3-5、しかも春希のマイナステンポを上げられての失点だ、非常に痛い。
リザーブゾーンで瀬里が呟いた。
「……まさか春希の機能を止められるなんて……でも春希が決めてくれないと……クイックも機能しない……」
早く流れを切ってくれ、という想いが瀬里の表情から浮かび上がっていた。
それはコートに立っている全員が同じことを思っていた。
春希が徹底マークをされている、と。
そして紗衣のサーブが莉子奈のところへ再び来た。
速く伸びるサーブをオーバーでカットし、麗奈に繋げた。
麗奈は一度藍にクイックに挙げるが、宙がワンタッチで小田原南のコートに返る。
桃華がオーバーで処理し、もう一度と言わんばかりのクイックの雰囲気を醸し出しつつ再びレフトへの速いトスを挙げる。
しかし、2枚来てしまっていた。
読まれたと麗奈が思った時には春希がもう、スパイクを打とうとしていた。
クロスに打ち抜こうと試みるが、宙に左腕を伸ばされ、止められたボールがコートに落ちた。
本日3度目のブロックポイントで3-6。
完全に主導権を握られた小田原南は、夏岡が手をTの字に添えてタイムアウトを取った。
一様に悔しそうな表情を浮かべる小田原南の選手たち。
それもそうだろう、ほぼ止められっぱなしなのだから。
更に打てば打つほど抜ける気がしなくなっている。
八方塞がりの状態になっている。
夏岡もこういう状況は経験済みなのだが、春希の技術ではパワーでゴリ押すくらいしか策を授けられなかったのもまた事実。
「……麗奈、韋蕪樹を中心に組み立ててみるかい?」
苦し紛れに出した答えが一度春希を休ませるという選択肢だった。
確かに韋蕪樹のクロスを打ち抜く力が有ればブロックを抜くのも容易いが、禊応も折り込み済みだろう。
麗奈はこう、判断していた。
「……それは出来ないですね。向こうも折り込み済みでしょうし……ただ、秘策はあります。」
そして麗奈は続ける。
「その場凌ぎかもしれないですけど……トスの緩急で翻弄するやり方です。わざと私がトスのスピードを落とすんで、春希さん、思いっきり全弾打ってください。」
あくまで春希に託す、ということを念頭に置いた発言だった。
これで奮い立たない春希ではない。
「……オッケー、麗奈……絶対決めるから……」
これを聞いた夏岡は、
「わかった。セオリーじゃないけど、春希を想うならそうしたほうが賢明かもしれない。けど……その代わり全員で春希が止められてもボールを拾いにいって、いいね!?」
そしてタイムアウトが終了し、コートへ戻っていった。
禊応戦、長くなる覚悟ではいますけど、キネノベまでには終わるといいかな……
次回の登場人物紹介は春希の母、真澄さんです。
次回、膠着状態になります。




