第33セット 紗衣と春希の打ち合い
エース同士の打ち合いです。
登場人物紹介は花蓮です。
ただし、彼女は終始薄いですwww
衛藤花蓮 禊応大義塾高校女子バレー部三年 横須賀大郷中出身 11月28日生まれ B型 バレー歴は小1から 左利き オポジット 172センチ 54キロ 3サイズB86W59H82 好きな食べ物 焼きそばパン 趣味 百均の道具を買うこと
紗衣の影に隠れがちだが、スパイカーとしての能力は高い。
地味ながらいぶし銀の活躍をする。
ぶっきらぼうな性格だが、仲間想いな性格でもある。
レシーブ能力は高い方ではないが、朋美がカバーしているのでなんとかなっている節はある。
韋蕪樹がバックアタックを決め、小田原南が2-1とリードする展開になったが、まだまだ分からない。
その韋蕪樹が前衛に上がってきて、麗奈がサーブを打つことになる。
攻撃枚数はお互い3枚。
しかもお互いともに、頼れるエースが前にいるローテーションだ。
打ち合い必至のローテーションだ。
そんな中で笛が鳴る。
麗奈は哀羅へ向かってサーブを打つ。
かなり際どいところにサーブが来た。
サイドラインギリギリ。
非常に素晴らしいコースだ。
哀羅は前のめりになりながらサーブを取った。
(チッ……挑発かよ、麗奈……!!)
苛立ちを隠せない哀羅を他所に朋美がトスを紗衣に挙げた。
紗衣は大きく体を反る。
ブロックは韋蕪樹、瀬里の2枚だ。
紗衣は高いブロックをものともせず、唸り声を挙げて打ち込んだ。
バコーーーーーンという音がコート全体に響き渡り、瀬里のブロックを弾き飛ばした。
瀬里もブロックは神奈川県でも上手い部類なのは間違いないのだが、紗衣のスパイクの火力がそれを上回っていて、いくら瀬里でも止めきれなかった。
ワンタッチでサイドラインを割った。
莉子奈の方にボールが飛んだが、遠すぎて取りきれなかった。
また追いつかれる。
そして禊応はローテーションをする。
宙が上がってきて、椎奈がサーブを打った。
割と普通のサーブだ。
前に来たサーブを春希が落ち着いてカットする。
瀬里がAクイックに入った。
しかし、それは麗奈には眼中にはなかった。
選択は勿論、エースの春希。
春希も応えるように跳び上がり体を引く。
力で真っ向勝負、それが春希のスタイルだ。
腹筋に力を込めてスパイクを放ち、宙のブロックをぶち飛ばした。
ボールはコートのちょうど真ん中に落ちた。
無論、誰も取れない。
3-2と、再び小田原南が一歩抜け出す形になった。
「……春希さん。ここからどんどん上げてきますけど……いいですか?」
麗奈が春希に聞く。
「うん、全然バッチこいだよ。紗衣と打ち合える機会なんてそうそう無いしね。」
春希の目に闘志が宿っていた。
哀羅の時に見たのとはまた違う、熱い目だった。
そして、瀬里がサーブに下がった。
瀬里がサーブを放ち、また哀羅のところへ飛んだ。
哀羅はオーバーカットでサーブをカットした。
オーバーで取った分、ボールも少し弾速が低くなる。
朋美がアンダーハンドでトスを紗衣に挙げる。
紗衣のスパイクは藍のブロックを弾いたが、紗衣は二段トスが得意な方では無いので、威力は若干落ちる。
莉子奈が落ち着いて処理し、麗奈はスピードのあるトスをレフトに挙げた。
ファーストテンポで春希が跳び、打ち抜こうとしたが、二度も同じ手を食うまいかと宙も手に力をこめる。
それがガッチリと、歯車のように悪い意味で噛み合ったことでシャットアウトされてしまい、また追いつかれた小田原南だった。
しかもブロックポイントで同点という、嫌な流れでの失点。
このタイミングで紗衣がまだ下がったのが救いだが、紗衣はパワーサーバーでは無いにしろ、崩すのが上手いサーバーだ。
かなり厄介なのは間違いない。
ここで哀羅も上がってきており、打ち合いも熾烈なものになるのは目に見えてくる。
笛が鳴り、紗衣がサーブを放つ。
ポーズハンド型のジャンプフローターサーブだ。
それは桃華のところに飛んだ。
桃華がなんとか上げるが、思いの外伸びたのか短くなった。
しかし麗奈はものともせず落下点に低い姿勢で入る。
春希にロックオンを掛け、ライトへ弾き出すように二段トスを挙げた。
弾くようなトスはやろうと思ってもやれない高等技術だ。
麗奈のようにトスの動きを理解していなければこのような低姿勢からの浮き上がるトスをあげることはできない。
まさに神業だ。
春希も軽いステップで助走し、宙のブロックに当て、リバウンドの形を取った。
これを桃華が処理し、麗奈がトスを挙げた。
挙げた先はAクイックからの短めのレフトへの時間差攻撃。
だが麗奈が誤算だったのが3枚きていたということ。
ターンクロスに春希が切ろうとしたが、花蓮にシャットアウトされてしまい、莉子奈も拾えない。
ここで痛い失点を喫してしまい、逆転された。
これがバンチリードブロックの恐ろしさ。
読めさえすればブロックが組織的に3枚来てしまうという恐怖だ。
麗奈にとっては速いトスで3枚来られてしまうのは屈辱以外の何者でもない。
「……ごめん麗奈、最初の二段トスで決めるべきだったわ……」
春希が言葉を絞り出し、麗奈に謝罪する。
麗奈は一息吐いてこう答えた。
「問題ないです。私も読まれてしまったのが悪いので。」
あくまでもスパイカーのミスは自分の責任だと言わんばかりの言葉を春希に返した麗奈だった。
一方リザーブでは。
「……嫌な流れだね……これ。」
瑠李がぽつりと漏らした。
「どうしたんですか? 瑠李さん……」
これを聞いた真理子が瑠李に質問をする。
「……いや、連続で止められたのは別にバレーではよくあることだし、そこは問題じゃなくて……要は麗奈のトスが読まれてしまった上でのブロックポイントだから嫌な流れなんだよ、これ。……しかもラリーの中での時間差を止められたのは流れとしても非常に致命的……最悪、冬の時みたいに持って行かれかねない……そんな流れだよ今は……」
訝しげな顔をしている瑠李に恵那が声を掛けた。
「だ、大丈夫ですよ! 皆なら大丈夫ですって! 麗奈も信じましょうよ!!」
「……だといいんだけど……嫌な予感がするのは変わりないんだよね……」
瑠李の悪い予感はこの後的中することになるのだが、それはまだここにいる誰もが知る由もないことだった。
次回はホンマにマズイ展開です。
嫌な予感とはなんなのか、お楽しみに。
登場人物紹介は真矢です。
……あまり登場することはないですが(笑)




