第30セット 麗奈と哀羅の因縁
なんて言うんでしょうね。
この回は「キングコング」と「南海キャンディーズ」の山ちゃんのような関係性ですねwww
女の戦いは怖いですよwww
登場人物紹介、今回は宙です。
平川宙 禊応義塾女子バレー部2年 小田原天翔中出身 3月11日生まれ O型 バレー歴は中1から ミドルブロッカー 右利き 177センチ 52キロ 3サイズB86W54H84 好きな食べ物 オムライス 趣味 野球観戦
禊応義塾高校女子バレー部1番の常識人。
そのためチームのはちゃめちゃぶりに振り回されることも多い。
ブロック力は椎奈ほどでは無いにしろ、かなり上手い。
中学時代に橋誉中と対戦しており、麗奈や哀羅とマッチアップしている。
顔見知りだったため、哀羅とは1番仲が良く、哀羅も宙にはわりかし心を許している。
煽り属性が多い禊応の中でも淡々と仕事をする人格者。
禊応対横浜港国との試合。
小田原南のメンバーは明日の試合に向けて、情報収集も兼ねて観戦することにした。
赤いユニフォームの禊応、青いユニフォームの開催校の横浜港国。
綺麗に分かれているぶん、わかりやすい見分け方だった。
小田原南は上から全員で観戦している。
どのような動きをしているのか、哀羅が入ったことでの化学反応はどうなのか、という、そういう情報収集も兼ねていたのはあった。
そんなこんなで試合が始まる。
サーブは港国からだった。
キッチリ入ったサーブを透子がレシーブし、セッターの朋美が紗衣に挙げた。
麗奈よりかは遅めだが、十分速いトスだ。
紗衣が大きく反る。
かなり独特なフォームだが、同時にダイナミックなフォームだった。
そして放たれたスパイクが、というと。
轟音と共に、ギャラリーの柵にボールが床とバウンドして跳ね飛んでいったのだった。
これを見た小田原南の面々は、というと。
「……マジか……紗衣、冬よりヤバくなってるじゃん……」
瀬里が苦い顔をしてそう呟いた。
「ただまあ……朋美も朋美で安定はしてきてるよね、冬より。」
莉子奈も反応してトスを見て呟いた。
「でも分かりきってたことじゃん。紗衣がヤバいのは。問題は蛭崎だよ蛭崎。」
春希もありきたりなことを返す。
「それはそうだね、春希。どこに綻びがあるか、ってのを握ってるのは入ってきたばっかの蛭崎だからね。」
瑠李もアゴに手を当てて分析をしている。
そして朋美のサーブを打ち、レシーブが帰る。
セッターがトスを上げた時、レフトからのスパイクが放たれた時、キルブロックが椎奈のところにアッサリ炸裂した。
ブロックの連携は健在だった。
三年生のは。
問題はそこではなく、案の定、禊応ペースで試合が進んでいっていた。
そうこうしているうちに哀羅が前衛にローテーションが回ってきていた。
カットやディグは上手いのは事実だが、前衛に上がってきた時はどうなのか、そこは気になっていた。
紗衣がカットし、朋美が哀羅にレフトへ挙げる。
力感のないフォームでジャンプした哀羅。
ブロックは2枚きているところのクロスを打ち抜いた。
得点が決まる。
と、ここで麗奈が呟いた。
「……全く変わってないですね。哀羅。」
ボソッと呟いた麗奈に他のメンバーが振り向いた。
「……全く同じですね、私が見てきた哀羅とは。……JOCが終わって以降全く会ってなかったんですけど……全部一緒ですね。」
これに韋蕪樹が質問をする。
「じゃあ……連携とかは取れてない、って見る?」
「多分そうですね。元々……エリート意識が高いやつですからね。」
「そっかー……じゃあ下手に作戦を変えない方がいいのかな、これ。」
「……ただ、ブロックを見なきゃなんとも、って感じですね。」
この後も禊応ペースで順調に進んでいく試合。
40分経った頃には、試合は禊応の2セット連取のストレート勝ちで終わったのだった。
一方、観戦し終えた小田原南は。
「大幾、上手く撮れてる?」
カメラ担当だった大幾に莉子奈が声を掛ける。
「ハイ、大丈夫です。」
大幾が改めて確認してそう返した。
「よし……じゃあ大幾、それは後で整理して送って。……あと、みんな、バスに乗って帰るよ!」
そういって、小田原南は帰る準備をしていったのだった。
帰る準備をしている最中のことだった。
麗奈が哀羅に声を掛けられた。
「……久しぶりだね……麗奈。」
「……哀羅……」
静かながら、もう、一触即発の雰囲気が2人に漂っていたのだった。
こんな感じで2人のバチバチがぶつかっていた。
実は橋誉中の主将副主将の関係ではあったのだが、バチバチで仲が悪くチーム内で派閥が出来ていたほどだった。
そんな2人なのだから、邪険な空気になるのは明白だった。
「……麗奈、アンタ何も変わってないよね。無表情なところも……次元の違うトスを淡々とするのも……」
「……それを言ったら哀羅もJOCの頃から一つも変わってないじゃん。」
小柄な麗奈が見上げる形なのだが、珍しく麗奈が威嚇の表情をしているように見えている。
「……悪いけどアンタが弱小校で燻ってる間に……私は上に行ってるから。」
「……人聞きが悪いね哀羅……もう前の小田原南じゃない。……明日は私たちが勝つから。」
「……よく言うじゃない、スポーツ推薦の誘いを全部断ってまで小田原南を選んだわけだし、麗奈は。」
「……そういうアンタは誰のお陰でスポーツ推薦まで漕ぎ着けられたと思ってるの?」
もう、言い合いになっている。
静かではあるが、口喧嘩なのは誰の目から見てもわかる。
フェイスオフを数センチ離れてしている2人を誰も割って入れない。
「……どれだけ私がアンタに嫉妬してやってきたか……それが報われるのは明日だ。……私はアンタを超える。」
「相変わらずだね、哀羅……プライドが無駄に高いだけのクズが。」
「何よ、『人形』のクセして……よくいうよね、クズだなんて。」
「嫉妬なんて何も生まないよ……それに……明日は悪夢、見せてあげるから。……私には『最強の素人』がいる。」
この言葉を冗談だろ、といった感じで哀羅は笑い飛ばす。
「ハッ……素人頼みのチームになんて私たちが負けるわけないよ。弱小の妄想癖にでも染まったんじゃないの? 麗奈。」
「冗談でこんなことは言わないよ哀羅……アンタが私に以上に嫉妬する人になるかもね、そのさやかが……。これだけは言っとくよ。……アンタのそのエリート意識をズタズタにして私が上に行く。」
「望むところよ麗奈……必ずヒイヒイ言わせてやるから。」
険悪な雰囲気を残したまま、2人は袂を分かったのだった。
「すみません、遅くなりました。」
麗奈が小田原南のバスに到着した。
一方の夏岡は気にしていない。
「あー、見てたからいいよ麗奈。さ、帰るよ。」
そういって、麗奈と夏岡はバスに乗り込んだ。
さやかと隣の席にいる麗奈は顔には出していなかったが、どこかイライラしていた。
さやかが心配になって声を掛ける。
「れ、麗奈ちゃん……何かあったの……??」
「なんもない。アンタには関係ない。」
「そ、そっか……それならいいんだけど……」
窓の方にそっぽ向けた麗奈を他所に、さやかは今まで感じたことのない麗奈の雰囲気に心臓をバクバクと高鳴らせていた。
(なんだろ……この感じ……どこか、人の希望を潰そうかっていう……そんな怖い空気が……)
不安で緊張が高まっていたさやかなのだった。
一方麗奈は。
(……哀羅、あいっかわらず嫌なヤツ……だからこそ潰したくなる……何もかも全部……だからこそさやかを輝かせないとダメだ……明日は特に……)
窓の外を見つめながらそう思っていた。
その頃の哀羅もこう思っていた。
(私が本当の日本代表だった、って思い知らせてやる……あんなヤツより私の方が上なはずなんだ……だから絶対潰す。たとえ、麗奈がどんな奴で来ようと、全部潰してやる……)
お互い、麗奈も哀羅もそう思っていたのだった。
コテンパンに叩き潰してやる、と。
仲が悪いとはマジな対立を生む。
禊応戦がインターハイ予選編前半のヤマ場なんで、僕もしっかりと書きたいと思います。
次回の紹介は、禊応の若き司令塔、朋美です。
次回から禊応戦ですので、お楽しみに。




