第26セット 絶対的エース・鮫島枝里
最初はほぼノーカットで行きたいと思います。
枝里にフォーカスを少し当てたいので。
というわけで今回の紹介も枝里です。
鮫島枝里 平塚大北高校2年 平塚万葉中出身 11月9日生まれ O型 バレー歴は小1から 右利き サイドアタッカー 184センチ61キロ 3サイズB84W57H86 好きな食べ物 アサリの炊き込みご飯 趣味 半身浴
平塚大北の絶対的エース。
韋蕪樹と同期のJOC神奈川県代表。
小学生の時に厳しい練習で嫌な思いをしたため、強豪チームを嫌っている。
そのため強豪からの誘いを断り、地元の中学高校に進学するほど。(橋誉からも誘いがあったらしい)
人の嫌なところを突くのが好きなタイプで、大抵のトスをブロックの低いところに挙げさせている。
スパイクの威力は凄まじく、韋蕪樹でも1、2本止めれればいい方だとのこと。
マイペースな天才肌なタイプだが、争い事は苦手なので嫌なところを突くスタイルになっている。
平塚大北のスパイク練習を見てみると、その全てが枝里に上がっていた。
ミドルブロッカーの出来る選手がいないチーム事情を考えたのだろうか、全員がレシーバー状態となっていた。
平塚大北の監督のアンダーサーブをセッターと枝里以外の全員が挙げて打たせるというスタイル。
いわゆる「エースバレー」というスタイルだった。
しかも枝里はもう、来る球全て、強烈なスパイクを放っている。
しなやかな肢体から繰り出されるテクニック系のスパイクが多かった。
おそらく力は脱力系なのだろうが、威力に切れ味がある。
サーブ練習でもジャンプサーブを放っており、回転は少なめだが、その分低い弾道で来るタイプでかなり厄介なサーブだ。
何せ伸びる。
桃華のような低身長選手が取れば詰まるような、そんなサーブだった。
一方、小田原南は、韋蕪樹が特に気合いが入っていた。
麗奈が韋蕪樹に挙げたトスが、次々とインナーに打ち込まれていく。
絶好調なのには変わりはなかった。
だが、問題は韋蕪樹のことをよく分かっている枝里がいるということだ。
枝里がどう来るのか、それが見ものの試合となるだろうことは想像に難くない。
こうして試合が始まる。
一際背の高さが目立つ枝里だ、威圧感がないわけではない。
集合し、夏岡が作戦を出した。
「ストレートの締めだけしっかりね! そこだけ頼むよ!! あと、レシーバーは全力で追って! いい!?」
それだけだった。
夏岡は監督席から試合を見ていたのである程度は把握しているといった感じだった。
ローテーションは両チームこのようになっている。
小田原南
FL 韋蕪樹 【6】
FC 春希 【4】
FR 瀬里 【2】
BR 麗奈 【3】
BC 莉子奈 【1】
BL 藍 【5】
リベロ 桃華 【8】
平塚大北
FL 鮫島枝里 (サイドアタッカー)【8】2年 184センチ
FC 益川佳奈《ミドルブロッカー》【2】3年 162センチ
FR 諫山芽類《オポジット》【4】3年 160センチ
BR 古川柑奈《サイドアタッカー》【14】3年 165センチ
BC 安藤祥子《ミドルブロッカー》【3】2年 161センチ
BL 森北恵美子《セッター》【1】3年主将 155センチ
リベロ 白鷺尚美【7】3年 150センチ
このようになっている。
そしてサーブは麗奈から、つまり小田原南からとなっている。
一つ回したローテーションで、攻めの姿勢が存分に表れていた。
一方の平塚大北のシフトは、枝里以外は全員後ろに下がっていて、枝里はレシーブに参加しない格好だ。
そして笛が鳴り、試合が始まった。
麗奈は両手でボールをバウンドさせ、息を整える。
そして、軽妙なステップでジャンプフローターを打ち込んだ。
古川がカットし、森北がアンダーハンドでレフトへ挙げた。
この状態なら、平塚大北のレベルではレフトの二段トスが精一杯だ。
ほぼスタンディングの状態で、枝里はムチのようにしなやかな腕からスパイクを放った。
チャンスボールで処理するため、ノーブロックで下がる。
しかし、嫌なところに打てるのが枝里だ。
莉子奈と桃華の丁度間にソフトスパイクが来る。
桃華がなんとか走って繋いだが、絶妙なところに来たのには脱帽する。
回転を上手く殺して上がったレシーブを、麗奈は落ち着いて捌く。
相手のブロックをよく見ると、枝里がセンターのポジションにいた。
迷うことなく韋蕪樹に速いトスをライトに挙げた。
セカンドテンポで踏み込み、得意のインナークロスへスパイクを放った韋蕪樹だったが、これを読んでいたのか、枝里が右手を打たれた瞬間にズラし、ワンタッチを奪った。
小田原南のコートに帰るボールを莉子奈が上手いことアンダーハンドで処理する。
クイックを今使うのは危険と判断したのか、ライトに時間差を挙げた麗奈。
今度も韋蕪樹。
躊躇うことなく今度はストレートに打ち抜いた韋蕪樹だったが、古川がなんとか滑り込んで挙げる。
床と皮膚との摩擦音が体育館中に木霊した。
小田原南のコートに一発で帰り、桃華が下がりながらアンダーハンドで高々と打ち上げた。
麗奈はジャンプトスで、Bクイックを瀬里に飛ばせてからの春希とのファーストテンポをレフトに挙げた。
ブロックの反応が遅れ気味になり、それとも関係なしで春希は豪快にスパイクをストレートに放った。
森北のディグを弾き、ラリー戦を制した小田原南が先制した。
しかし、脱帽したのは粘りだ。
「思ったより粘るね、向こうも。流石にエースバレーなだけある。」
莉子奈は感心している。
この粘りなら、肺活量があまりない藍の体力が持つかどうかの次元にもなってくる。
ただ、麗奈は落ち着いていた。
「いつも通りやれば大丈夫です。このまま行きましょう。」
といい、サーブに下がっていった。
確かに枝里以外はそこまで高くはない。
蓮からの情報が案外役に立っている、そんな試合展開になろうとしていた。
笛が鳴る。
麗奈はサーブを放つ。
前衛にいた益川がオーバーでカットし、Bパスになった。
森北は大きく旋回した枝里にライトへトスを挙げた。
若干遅めだが、枝里には割と丁度良い速さだ。
ゆったりとしたフォームから、スイングスピードの速いスパイクを放った。
春希のブロックの上から易々とワンタッチを奪い、莉子奈が上で処理をするが、短い上に誰も届かないところに落ちる。
これで同点となった。
ただ、枝里はポーカーフェイスを貫いていた。
これくらい決めて当然、といった顔なのか、はたまたまだ納得できないのか、そんな憮然とした表情だった。
諫山のサーブで森北が前衛に来る。
これで後衛が固くなった。
諫山はサーブを放った。
桃華が処理をし、麗奈はBクイックに挙げた。
瀬里がクロスを打とうとしたところ、枝里に止められた。
幸い瀬里のクイックにはそれほどまで威力がなかったので、コートに落ちずに済んだが、一本目を麗奈が触ってしまったことにより、二本目を誰かが挙げなくてはいけなかった。
桃華が下に潜り込んであげるが、低い。
春希に挙がったボールを春希はオーバーハンドで返した。
さあ、こうなれば平塚大北の番だ。
森北が速いトスを挙げて、枝里に打たせた。
韋蕪樹のブロックを上手く破り、ブロックアウトとなった。
長身の割にあまりパワータイプで打たない選手はこれとなく厄介だ。
1-2と、一点ビハインドの場面。
「ここ切るよ!」と莉子奈が声を掛ける。
再び諫山のサーブ。
春希がオーバーハンドでカットし、韋蕪樹がもう、ライトへ回っていた。
麗奈が選択したのは韋蕪樹へのDクイックだったが、枝里にシャットアウトされ、コートへ落ちてしまい、1-3と突き放された。
序盤の主導権を平塚大北に握られてしまい、圧倒的に流れが悪かった。
夏岡が1回目のタイムアウトを早くもここで使い、作戦の練り直しを開始したのだった。
長身の脱力系スパイカーって、経験上マジでやりにくいです。
ああいうタイプって、マジで頭がよく働くので。
しかもリーチもあるからタイミングも取りにくい、そういった意味で枝里はマジでやりづらいです。
次回の登場人物紹介で、哀羅を紹介すると共に、超長めのノーガードの打ち合いを書こうと思います。




