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第24セット さやか、公式戦デビュー

綾瀬緑南戦は、この回で終わります。

今回はタイトル通りの展開になりますね。

登場人物紹介は瑠李の兄貴、元です。


亀貝元(かめがいはじめ) 27歳 鉄工場勤務(小田原南高校OB元バスケ部主将) 7月23日生まれ A型 174センチ 59キロ 好きな食べ物 ペペロンチーノ 趣味 読書


瑠李の兄で、瑠李のことを最もよく理解している人物。

目元がよく似ている。

温厚な性格で、瑠李のことを気にかけているが故に大学に進学せず会社員として働いている。

今も実家暮らしなのも、全て瑠李の安息のためと瑠李の大学の学費稼ぎのため。

バスケ部ではキャプテンでポイントガードを務めた。

国体で神奈川県選抜に選ばれている。

義父や母のことは軽蔑していて、瑠李に対しての暴行には間に入ってたびたび制している。

 第二セットが始まる。


双方大きくメンバーは変えなかった。


警戒するべきは森と室井、サーブは室井狙いということで一致した。



 幸運にも、2セット目はこちらからのサーブで始まる。


笛が鳴り、莉子奈がサーブを放った。


室井のところに飛び、木下は浅井のところ、レフトに挙げるがトスが少し乱れた。


浅井がソフトで返してチャンスボールになる。


桃華がレシーブで処理をして、麗奈の選択はというと。


ライトセミの時間差攻撃だった。


しかもその直前までクイックに挙げるという()()()()()()()()()()()のだから、2枚が一気に釣られる。


春希が切り込み、ターンにコースを打ち込み、春希のスパイクがコートに突き刺さった。


またしても幸先良く小田原南が先制した。


再び莉子奈のサーブ。


莉子奈のサーブは崩すというよりかはコントロール型。


やるべきところはキッチリやるという誠実さと頭の良さが莉子奈の大きな武器だ。


またしても室井に飛ぶ。


室井はオーバーカットをして木下のところへ飛ばした。


木下の選択は大堀のクイックだった。


しかし、クロスに打ち抜こうとしたところに瀬里の手が来た。


左腕一本で止めてブロックポイントを奪った。


木下の速い攻撃で展開しようかという意図を読み切った上でブロックを跳んだ。


相手の出鼻を挫く感じでブロックが決まったのだった。


これで2-0。


またもワンサイドの様相を呈していた。


「瀬里、この感じで行こう。あと、いつでもレフトとか行ける準備しといて!」


春希が声を掛ける。


大堀は自分で十分だと言わんばかりだった。


「オッケー、わかった。春希もスパイク頼むね。」


そういってブロックの構えに戻った。



 三たび莉子奈のサーブ。


またしても室井のところに行った。


アンダーからAパスが通った。


流石に狙われ続けたら慣れるのも無理はない。


木下の選択は浅井。


麗奈と瀬里の2枚が跳んでいる。


麗奈の所に打ち、ブロックアウトを奪った。


これで2-1となった。


「すみません、指の締めが甘かったです。」


麗奈は謝罪をする。


こういう素直に非を認められるのが、ある意味での麗奈の性格上でもあり、強さでもある。


「しょうがない、一本で切るよ!」


莉子奈は全く気にしている素振りを見せなかった。


その後は一本でサイドアウトを奪い、麗奈のサーブが相変わらず唸りを上げた。



 気がつけば15-4。


先程までの圧倒的すぎる展開はないにしろ、もう小田原南の勝ちでほぼ決まったようなものだった。


麗奈で6本、サービスエースを奪い、ここだけで9点を稼いでいた。


多少その後でサーブミスはあったにしろ、ワンサイドゲームには変わりはない。


森が上がってきて、浅井のサーブだ。


フローターでフワッと入り、春希のところに飛ぶ。


レシーブでキッチリ処理をし、麗奈のところに正確に返す。


麗奈は一つ、息を吐く。


現在莉子奈、藍、韋蕪樹の3枚がいる。


バックアタックも含めれば春希もいる。


セッターにとってはポイントを計算できる選手が揃い踏みなのは嬉しい悩み。


それを感情にして表に出す麗奈ではないのだが、()()()()()()が麗奈に集まっていく。


どこに、何を挙げるのか。


一挙手一投足に目線が集中する。


麗奈の選択したのは韋蕪樹へのセカンドテンポ、ライトのトスだった。


韋蕪樹は2枚をお構いなしにクロスに打ち抜いた。


しかし、コースが甘かったのか、室井に拾われる。


近くにいた森が繋いだが、室井にそれを打てる技術はない。


アンダーハンドで返し、得点のチャンスが到来した。


桃華が繋ぐ。


麗奈がそれを挙げる。


バックトスで、だ。


韋蕪樹に挙げるのは分かったのだが、()()()()()()()


韋蕪樹はそのトスを森のブロックが遅れたところに上からねじ込んだ。


16-4となり、韋蕪樹は小さくガッツポーズを取った。


「いやー、D()()()()()で来るなんてね!!」


春希は笑顔で韋蕪樹と麗奈の髪をわしゃわしゃにした。


「……行けると思いましたんで。」


Dクイックはその難易度の高さから、滅多に使われることのないため、「()()()()()()」と呼ばれるほどだ。


それを麗奈は練習していたとはいえ、()()()その高難易度トスを韋蕪樹と共にやってのけたのだ、麗奈にとっては「普通」なのかもしれないが、側から見たらビッグプレーなのだ。


会場からどよめきが起こっている。


当然だ、なかなか見れないものを見れたのだから。


木下から「すごっ……」という呟きが聞こえる。


セッターから見ても差を見せつけられるトス。


これぞまさに芸術だ。


小田原南のリザーブにいる瑠李も苦笑いしている。


「瑠李さん、どうかしましたか?」


含み笑いを聞いた彩花が尋ねる。


「いや……麗奈とご飯行った時さ……『私の代わりは貴女しかいない』……って言われたんだけど……あんなトスを見せられたらさ、ああ、私じゃ麗奈の代わりは()()()()な、って思うよ、真面目に。」


それもそうだ、麗奈は「身長さえあれば即シニア日本代表」と言われるほどのトス回しだ。


そのバックアップとなれば、瑠李も技術があるとはいえ、背負うものが大きすぎる。


所謂完敗宣言だった。


「麗奈ちゃんが凄いだけですよ、瑠李さん! そんな落ち込まないでくださいよ!」


さやかは相変わらずポジティブシンキングだった。


「そうだね、さやか。……ありがと、気、使ってくれて。」



 その後もまた、ワンサイドゲームとなり、23-6。


もうここまで来れば小田原南の勝ちは見えてくる。


と、ここで夏岡がさやかを呼んだ。


さやかは4番の札を持っている。


春希と交代だろう。


春希と代わり、さやかは「()()()()()()()()()()()」として、公式戦デビューを果たしたのだった。


この形も、練習試合や合宿でも練習済みであり、シチュエーションは整っていた。


メンバーは一層盛り上がる。


そして、彩花も同時に韋蕪樹と守備固めで代わった。


2枚替えとなり、勝負を締める準備は整った。


莉子奈がサーブを放った。


瀬里がレフトのブロックに行き、さやかがセンターブロックを務めることになった。


190近い長身のさやかが並んでいるだけでも、幾らさやかが初心者とはいえ、威圧感が半端なかった。


木下は森へトスを挙げた。2枚しかいないとはいえ、クイックは瀬里がマッチアップするため、レフトが安全と判断した。


麗奈がストレートに基準を作り、さやかはそれに呼応してブロックのステップを踏む。


「「せー……の!!」」


ドンピシャのタイミングでブロックが跳ばれた。


森は思い切り打ち抜く。


しかし、コースがさやかだった。


キルブロック、どシャット。


さやかのブロックポイントが決まったことで、小田原南がマッチポイントを握った。


チームが大きく盛り上がる。


さやかに至ってははしゃいでいた。


それもそうだろう、公式戦初得点なのだから。


春希もパイプ椅子に座りながらガッツポーズを小さく取った。


会場からはまた、どよめきが湧く。


会場がさやかに釘付けになった。


そして、ある他校の選手が選手名鑑を確認すると、「11番 岡倉さやか」、としっかり書かれている。


「岡倉……さやかって……もしかして……()()()()!?」


この一言で再びざわめき出す会場。


それもそうだ、人気モデルだった彼女が高校に普通に通って、しっかりと試合に出て結果を出しているのだから。


勿論、小田原南の耳にも届く。


「………やば……バレちゃった……。」


さやかの顔に焦りは多少出ていた。


一方麗奈は無表情を貫く。


「遅かれ早かれバレるでしょ、普通に。ホラ、気にしない。……今のアンタは()()()()()()()()()()()、『()()()()()()()()()()()()1()()』の『岡倉さやか』なんだから。」


チームに笑みが浮かんだ。


と、ここで夏岡がまた動く。


見ると真理子が1番の札を持っていた。


莉子奈は交代し、真理子がピンチサーバーとしてコートに降り立った。


瀬里が自分の番号の下に右手を平行に当て、左手を挙げて「自分が臨時キャプテンだ」ということを審判に示した。



 まさに()()()()()()()()、真理子の表情に、にやけが溢れる。


「真理子、一本集中ー!!」


……と、芽衣の大声が聞こえて来る。


真理子はこう思っていた。


(あー……やっばいな……久しぶりにこんな痺れる場面でやれる……!! こんな……楽しいことなんてない!)


右手でボールをシュルルルル、と左手の上で回し、呼吸を整える。



 そして、運命の笛が鳴る。


一息吐いた真理子。


フワッと自分の上に挙げて、大きくステップを踏む。


思い切り蹴り脚で床を蹴り、持ち前の跳躍力でジャンプサーブを放った。


バコン!! と、雷鳴のような音がコート内に鳴り響いた。


鋭い回転が綾瀬緑南のコートに来る。


砂川のレセプションを弾き、ボールはコートサイドに反れた。


サービスエースとなり、これでゲームセット。


25-6。


セットポイント2-0。


試合時間は僅か30分。


真理子は大きく右手を突き上げて、喜びを爆発させた。



 そして、両チーム整列をする。


笛が鳴り、ネットを挟んでお互い握手を交わした。


麗奈は室井と握手した際、声を掛けられた。


「……勝ちなよ。私らの分まで。」


両手でしっかりと麗奈の手を握る室井。


その目には涙が浮かんでいた。


これで最後と決めていたのだろうか。


圧勝したとはいえ、少し、複雑になる。


麗奈は小さく頷いた。


「……頑張ります。」


麗奈はそれだけ言って、夏岡の元に集まった。


そしてこの後、コートを離れ、2回戦の相手「平塚大北(ひらつかおおきた)」戦に備えて控室に戻っていった。



 のだが。



 案の定、モデルだとバレたさやかは多くのギャラリーを相手にサイン攻めに遭っていたのだった……。

オチはしっかり付けましたwwwww

まあこうなるよね。休止してから時間が間もないもん。

さて、登場人物紹介、次回は莉子奈の恋人、渉です。

正直どうでもいいかもしれませんが、番外編で出て来るのでwwww

次回から平塚大北戦が開幕します。といっても試合はまだですが。

お楽しみに。

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