第23セット 「鉄仮面の軍師」(ポーカーフェイス・タクティシャン)
綾瀬緑南戦開幕です。
ぶっちゃけた話、そんな長々とはやらないので、適宜カットしていきます。
登場人物紹介、今回は麗奈の双子の弟、太我です。
倉石太我 小田原南高校一年(帰宅部) 橋誉中出身 12月6日生まれ AB型 右利き バレー歴は中1から中3まで(ベンチ入り経験なし) 165センチ 45キロ 好きな食べ物 かぼちゃコロッケ 趣味 料理研究、キャンペーンシールの収集
麗奈の双子の弟。
倉石家の料理担当で、男子高校生の専業主夫的な存在になっている。
時折麗奈に手伝いとしてバレー部に駆り出されることもある。
中学時代、強引にバレー部に入れられた挙句3年間ベンチ外だったほど、バレーのセンスはない。(プラスで常に麗奈と比べられてきた。)
几帳面で面倒見がいい性格で、友人も案外多い。
大幾とは中学時代からの親友。
ちなみに16センチの巨根。
胸の嗜好は貧乳教。(ちなみに中間よりのM)
麗奈は家に帰れば太我にベタ甘なので、本音で言えば鬱陶しいのだが、大事にされているとは思っている。
料理のレパートリーも多く、将来の夢は管理栄養士の資格を取ることであり、アスリートの料理本はほぼ全て網羅している。
朝は2時起きなので、授業中は寝ていたりしている。
ただ、勉強は割とできる。
整列後、小田原南の選手たちは夏岡の所に集まった。
「みんな……準備はいいね? 気負わないで、やることをしっかりやる事! OK!?」
「ハイ!!」
円陣を全員組み、右手を前に突き出す。
莉子奈が「行くぞ!」と声を張り上げ、他の選手も「オー!」と掛け声をかけて、スタメン確認のためにコートに入った。
各チーム、ローテーションはこのようになっている。
小田原南
FL 春希 《サイドアタッカー》【4】170センチ
FC 瀬里 《ミドルブロッカー》【2】171センチ
FR 麗奈 《セッター》【10】160センチ
BR 莉子奈 《サイドアタッカー》【1】167センチ
BC 藍 《ミドルブロッカー》【5】175センチ
BL 韋蕪樹 《オポジット》【6】177センチ
リベロ 桃華【8】145センチ
綾瀬緑南
FL 浅井那美《サイドアタッカー》【6】164センチ
FC 大堀遙《ミドルブロッカー》【3】166センチ
FR 木下侑李 《セッター》【1】162センチ
BR 森つぐみ《サイドアタッカー》【2】168センチ
BC 遠藤椿《ミドルブロッカー》【9】167センチ
BL 室井真希《オポジット》【5】172センチ
リベロ 砂川美嘉 151センチ
……となっている。
それぞれ副審の確認が終わった後で、スタメンメンバーは円陣を組む。
莉子奈が声を掛ける。
「いい? まずカットしっかりね! スタートダッシュ、大事だから! 落ち着いて、まず一本集中! オッケー!?」
全員が頷く。
莉子奈が大きく息を吸う。
「勝つぞ!」の掛け声と共に、「オオ!!」と声を出して、その後でハイタッチをし、藍は桃華と場所を変わった。
一方、リザーブゾーンでは。
円陣になった全員の視線が瑠李の方に向いている。
「わ、私がこれやるの??」
瑠李は戸惑っていた。
どうやら掛け声をやって欲しいとのことだった。
「はー……いつもは恵那に任せっきりだったけど……こればっかりは私がやるしかないよね、三年生としてさ……」
そして、声を掛ける。
「全員さ……出れる準備だけしといて。それだけだから……じゃ……」
といい、一つ深呼吸をする。
そして。
「ワラナン………ファイッ!!!」
「「「「「「オーーーーーーーーー!!!」」」」」」
……どうやら全員の息はピッタリのようだった。
綾瀬緑南からのサーブでゲームが始まった。
森のサーブ。
フローターサーブで山なりに打ち上がったサーブは莉子奈の正面に来た。
落ち着いてレセプションをして、Aパスを送る莉子奈。
麗奈の注目のオープニングトスはというと。
瀬里のBクイックだった。
クロスで撃ち抜かれ、コートに落ちた。
幸先よく、小田原南が一点を先制した。
一つローテーションし、麗奈のサーブ。
ピー、と笛が鳴り、麗奈は一息つき、ジャンプフローターのステップを踏んだ。
1、2、3、のリズムでステップし、フワッとボールを挙上する。
ボールを押し込むようにしてサーブを放った麗奈。
そのサーブは低い弾道でネットの上を通過し、軌道は小刻みに揺れている。
室井と砂川の丁度間に来た。
砂川が取ろうとしたその時、手元で落ち、対応しきれずコートに落ちた。
サービスエースで2-0と、一気に主導権を握って行った。
その後、麗奈のサービスエースが4連続で決まり、綾瀬緑南の監督、吉田はたまらず1回目のタイムアウトを取った。
現在、5-0。
麗奈のサービスエースが次々と決まっていくこの状況。
30秒という時間の中で、麗奈が情報を整理した。
「……春希さん、無理に強いのを狙わなくてもいいかと。多分、5番の人がレシーブの穴なので。」
「ああ、了解、麗奈。」
「いつも通りやれば大丈夫だと思います。ただ、スパイカーがどのくらいなのかは少し気になる所ですね。」
これに韋蕪樹も同調する。
「そうだね、麗奈。そこさえわかればみんなどうするかも考えられるしね。」
そう言っているうちにタイムアウト終了の笛が鳴る。
小田原南はコートに戻っていった。
麗奈のサーブがタイムアウト後も襲いかかり、綾瀬緑南が1点を取る頃には12-1という状況になっていたのだった。
木下のサーブのターン。
サウスポーのサーブだった。
フローターで打たれたサーブは、韋蕪樹の所に行った。
韋蕪樹はオーバーカットで挙げる。
それに対して麗奈は速いトスをジャンプもしないままレフトへピュッ、と挙げた。
韋蕪樹がカットした瞬間にそこへ走り込んでいた春希が跳び込んだ。
瀬里のAクイックを囮にしたトス。
ブロックは1.5枚。
センターの大堀が遅れたがためだった。
だが、春希は自信があったのか、敢えてストレートに打ち抜き、室井のブロックを弾き飛ばして綾瀬緑南のコート後ろの遥か外に落ちた。
これで13-1。
完全に主導権を握ったのは小田原南だった。
瀬里のサーブ。
笛が鳴り、瀬里はフローターサーブで放つ。
森の所に行ったサーブは、カットが少し乱れる。
木下の選択はレフトの二段トス。
室井だ。
せーの、と掛け声を合わせて跳ぶ小田原南の3人。
ブロックは3枚。
一気に仕留めようというハラだろう。
この高さの気迫に恐れ慄いたのか、室井はフェイントを麗奈の所に落とした。
麗奈が一本目を挙げる。
こうなれば藍を使うことは出来ない。
麗奈は少し高めに挙げて春希と韋蕪樹が開ける時間をわざと取った。
莉子奈が二段トスに入り、韋蕪樹に挙げる。
韋蕪樹はゆったりとした助走で右足から踏み込む。
ブロックは浅井と大堀の2枚ブロック。
だが、2枚を抜くことなど「二重関節」持ちの韋蕪樹にとっては朝飯前。
躊躇いなくクロスを打ち抜いた。
室井が弾き、これで14-1とした。
綾瀬緑南は2回目のタイムアウトを取った。
夏岡が瑠李を呼ぶ。
「次、ピンチサーバー頼むよ。瑠李。」
瑠李がこれに頷いた。
タイムアウト終了後、「2」の数字が書かれた札を持って瑠李が副審の所へ行く。
少し長い笛と共に、主審がグルグルと両手を体の前で回す。
瀬里out、瑠李inとなる。
掛け声と共に、瑠李がコートへ入った。
そしてサーブ開始の笛が鳴った。
フウ、と息を一つ吐く。
そしてこの2ヶ月、練習してきた両手挙上型のジャンプフローターサーブを繰り出した。
片手よりトスが安定する分、正確にミートしやすく弾速も上がる。
森の所に行って、レシーブが乱れた。
どうやら詰まったようだ。
最低限の仕事ができた瑠李は一安心、といったところか。
案の定スパイクが打てず、チャンスボールになる。
瑠李がオーバーパスでこれを処理する。
麗奈は藍と韋蕪樹のダブルクイックを囮に使ってライトセミの時間差攻撃で春希に挙げた。
ノーブロックになり、春希は思い切りボールをコートに叩きつけた。
15-1。
もうワンサイドゲームの様相を呈していた。
瑠李と春希はお互い眩しい笑顔でハイタッチを交わした。
その後も綾瀬緑南の粘りも多少あったが、麗奈がトスをうまく散らして的を絞らせなかった。
結局第1セットは25-6で小田原南高校が先取し、コートチェンジとなった。
そして、コートで観戦している人間の誰かが言った。
麗奈を見た瞬間、その人間はこう言った。
「『鉄仮面の軍師』が小田原南にいる」………と。
実力差があるとこうなりがちです。
これもバレーあるある。
次回、綾瀬緑南戦決着です。
さやかも出てきます。
次回の紹介は、瑠李の兄貴、元さんの紹介です。
お楽しみに。




