第22セット インターハイ予選開幕
綾瀬緑南戦の試合開始までを書きます。
言うてそんな長い回にはしない予定です。
今回の登場人物紹介は、夏岡先生です。
夏岡宏香 27歳 小田原南高校女子バレー部顧問(監督)、体育教師(3年2組副担任) 5月19日生まれ O型 バレー歴は小5から大学4年まで(元U-22代表) 現役時代はサイドアタッカー 右利き 179センチ64キロ 3サイズB91W62H90 好きな食べ物 酒、鳥の唐揚げ、焼肉 趣味 哲学書を読むこと
小田原南高校女子バレー部監督で、今年が就任2年目。
韋蕪樹より男前な見た目をしている。
ちなみに小田原南高校OGで、高校一年の時に開催地枠でインターハイ出場を勝ち取った経験があり、大学でもU-22日本代表にまで上り詰めた実績がある。
Vリーグに行くものだと思われていたが、大学4年の時に椎間板ヘルニアを発症し、現役の道を断たれたことで指導者に転身する。
サバサバした性格なため、男女問わずで人望が厚い、生徒想いの教師である。
指導は選手と共に楽しむを心情にしており、「選手ファースト」型の監督。
教え方も的確だが、どちらかと言えばヒント提供型。
怪我をした自身の経験も踏まえて選手のコンディション管理は欠かしていない。
ちなみに瑠李の兄・元とは元同級生。
6月10日。
インターハイ神奈川県予選の、横浜市での開会式当日。
選手宣誓が行われたり、大会長挨拶、神奈川県高校バレーボール連盟連盟長の挨拶が執り行われた。
挨拶が終わった後、各校は試合会場へ移動することになる。
神奈川県大会は2枠のみ、全国の切符がある。
それを掴み取るために各校がこの日まで練習してきたのだ。
それは勿論、全国常連校であろうが、小田原南であろうが、はたまた弱小校だろうが、そこは変わることはない。
今日の試合日程は一、二回戦を連続して行う。
そのため、開会式が終わった後、各チームはそれぞれの試合会場へ移動していく。
小田原南は、試合が行われる「横浜港国高校」へ、夏岡が用意したバスで出発した。
そのバス車内にて。
麗奈は何やら音楽を聞いている。
隣に座ったさやかが麗奈の肩を叩いた。
麗奈はイヤフォンを片方だけ外した。
「ねー、何聴いてるの?」
とさやかが聞いた時、麗奈は右側を手渡した。
それを填めて聞いてみると、何やらテンポのいい曲が聴こえてきた。
「へー、麗奈ちゃんってこういうの聴くんだ……」
「……私の試合前のルーティン。……試合前のアップまでこれをずっと聴いて集中力を高めてる。」
「流石……一流は違うね……」
「……これ聴くだけで気持ちの入り方が変わってくる。」
「ねね! 私も何かそういうの取り入れた方がいいのかな!?」
「……どうだろうね。……人によって変わってくるし、ルーティンって。」
そんなこんなで時間が流れ、30分経ち、試合会場に到着した。
この日は一回戦第3試合と、二回戦第2試合が、小田原南高校の試合のスケジュールだ。
まず二回戦に行くには一回戦で当たる「綾瀬緑南」に勝たなければ話にならない。
油断のカケラもない小田原南ではあったが、現在、他愛もない話で盛り上がっている。
今、蓮と大幾が試合状況を見てくれているので、少し余裕があった。
麗奈は足首にテーピングを巻きながら話に参加している。
どこかアットホームのような空気感が小田原南高校女子バレー部を包んでいた。
その会話を見てみよう。
どうやら恋バナのようだ。
「莉子奈さー、最近どうなの? お付き合いのほどは。ワタルと今でも仲良いんでしょ?」
瀬里が莉子奈に「ワタル」と呼んだ彼氏とはどうなのかを率直に聞いてきた。
「ワタル」とは、サッカー部エースの3年生、「五十嵐渉」のことで、莉子奈と付き合ってもう一年半になる。
実際休日にはデートにも行ったりしているので、かなり仲良しだ。
「えー? 渉のこと? うーん……まあメールで話してるくらいだよ? 最近は。」
こうも言いつつ、莉子奈の顔は惚気ている。
「……デートとかはしてないの? 最近。顔照れてるけど。」
瑠李がそう指摘する。
「大会近かったからねー……お互いさ? これでも我慢はしてる方だよ? 全国行きたいし。」
本当は一緒に遊びたいんだろうな、ということは一目瞭然だ。
何せため息が大きい。
莉子奈は絶賛ラブラブ継続中ということで話はそこで終わった。
「で、藍はさ、別れたじゃん、一回。バレーに集中したいから、って言って。こんなこと聞くの野暮かもしれないけど、復縁したいって思ってる? 引退したらさ。」
春希は今度は藍に聞いた。
藍は暫しの沈黙の後、こう答えた。
「……一応、考えてる。向こうも理解は……してくれてるから。」
と、ここで藍から切り出してきた。
「……私と莉子奈は……まあいいとして、他いないの? 好きな人とか。」
この質問にほぼ全員が渋い顔をした。
麗奈がテーピングをしながらこう答える。
「……身内とかでもいいんですか?」
「……え?」
まさかの言葉に唖然とする一同。
麗奈はこう話した。
「……双子の弟がいるんですけど……私には。……家では太我にべったりですよ、いっつも。」
無表情ではあるが、発言的に惚気ているのは分かった。
この爆弾発言に、一同は思考が止まる。
「………えっと、整理したいんだけど、麗奈。」
韋蕪樹が困惑した声で聞いてきた。
「はい。」
「……弟が好き……ってことでいいんだよね? その……ブラコン、じゃなくて、そのー……」
なんて言ったらいいのか分からずにテンパる韋蕪樹。
思考が追いついていないのは明白だった。
「韋蕪樹さん、言っておきますけど、私はブラコンじゃなくてショタコンです。」
と、ここで恵那が割り込んでくる。
「ちょ、ちょっと待って、麗奈! えーっと……童顔な子が……好みなわけ!?」
「はい。」と、麗奈は即答で返した。
しかも、年下なら尚のこといいとのことだった。
「ええ!? マジで!? 麗奈!! ……ヤバ……ウチの弟、全力で守ろ!!」
春希はドン引きしていた。
性癖がヤバすぎる。
そんな印象を持った。
芽衣も切り返す。
「え……じゃあ、知崎はどうなの!? アンタに関しては中学から一緒じゃん!!」
「恋心があるかどうかと言ったら、それはないけど顔は嫌いじゃないよ。」
さやかも少し引いていた。
「麗奈ちゃん……マジのショタ食いじゃん……」
「? 私は割と健全だと思うよ? そういうさやかはどうなの?」
と、聞かれたさやかははぐらかしたように答えた。
「え………ないかな〜? それは〜。忙しかったからそんな余裕なかったしさ……。」
「はいはい、いないってことね。」
「そんな言い方ないじゃん!! 気にしてるのに!!」
「アンタ、男にモテそうだから意外だな、って思って。」
「うっ……」
それっきり、さやかはあまりとやかくは言わなくなった。
その後も恋バナは続いて行ったのだった。
そして、第二試合が終わりかけの頃、蓮も戻ってきてユニフォームに着替えた。
この試合はトリコロールのユニフォームに着替えている。(リベロは黒)
そして第二試合が終わり、小田原南高校、綾瀬緑南高校はそれぞれコートに入って行った。
ウォームアップを終わらせて、サーブかレシーブかを決める。
莉子奈と綾瀬緑南高校主将・木下侑李が顔を合わせた。
そしてコイントスをし、小田原南がレシーブとなった。
綾瀬緑南がスパイクを打っている間、小田原南は連続レシーブでボールを夏岡の所へ返していく。
サーブのターンになって小田原南高校のアップは終了し、スパイクのターンを待つばかり。
夏岡の元へ集合し、スタメンを発表する。
スタメンはこのようになった。
FL春希、FC瀬里、FR麗奈、BR莉子奈、BC藍、BL韋蕪樹、リベロ桃華、セカンド蓮となっている。
夏岡によると、他のメンバーは状況に応じて使うということになるようだ。
そして、スパイクのターンになった。
次々とスパイクが打たれていく。
その中でさやかは一際目立っており、スパイクが決まるたびにどよめきが湧き起こった。
あの11番は誰なのか、と。
その後でサーブを打ち、笛が鳴ってアップの時間は終わった。
そして整列する。
しばらくの静寂の後、ピーッ、と笛が鳴り、掛け声と共にネットを挟んで握手をお互いのチームがした。
このことが、小田原南高校のインターハイ予選の幕が開けたのだった。
麗奈のショタコン暴露wwww
そりゃドン引きするよねwwww
さて、次回から本格的な対外試合です。
ここから熱い戦いが始まります!!
でも一回戦なので割と早く終わるかも。綾瀬緑南戦は。
登場人物紹介は、太我です。
次回もお楽しみくださいませ。




