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第21セット 四強の山

神奈川県の出場枠は2枠。

結構運命の山です。

どこの山になるかは御刮目を。

登場人物紹介コーナー、今回は大幾です。


知崎大幾(ちざきだいき) 小田原南高校一年 橋誉中出身(元バレー部) 12月25日生まれ A型 バレー歴は中1から中3まで マネージャー(バレー部時代はピンチサーバー) 右利き 161センチ44キロ 好きな食べ物 鰤大根 趣味 シューティングゲーム


小田原南高校マネージャーの男子。

芽衣と太我と同じクラス。

太我とは中学の時からの親友で、麗奈のことも当然知っている。

男子バレー部がないというのは承知で女子バレー部マネージャーになった。

男子としては小柄且つ童顔なため、ニ、三年生からは可愛がられている。(特に春希)

ちなみに16センチの巨根を持つ。(ただし童貞)

基本的に真面目なのだが、不器用なためドジを踏みやすい。

また、アドリブや急なアクシデントには弱い。

ドMで巨乳好きと、年相応の反応を見せることも。

 ユニフォームが配られ、大会も徐々に近くなった5月末。


小田原南高校の練習は一層激化していった。


夏岡の檄も飛び、三年生を中心にチームは纏まってきている。


また、嬉しい誤算なのが、さやかの急成長ぶりだ。


日を追うごとにバレーの技術が上達していっている。


麗奈からさやかの教育係を頼まれた瑠李の教え方が良いというのもあるが、それ以上にさやか自身が貪欲だった。


麗奈の代わりに瑠李、瀬里、藍のセンター陣の代わりにさやか、韋蕪樹、春希、莉子奈のサイド陣の代わりに芽衣、真理子、セカンドリベロの蓮、サーブの切り札の恵那と、紅白戦、合宿を経て、精神面が安定しつつある、守備固めの彩花。


全員が計算できる状態になって、インターハイ予選を迎えようとしていた。



 この日の練習終わりに、夏岡に集合を掛けられた。


どうやら予選の抽選が決まったようで、それを伝えるためだろう。


「ウチの山が決まった……相手は『禊応大義塾(けいおうだいぎじゅく)』だ。みんな知っての通り、神奈川有数の中高一貫校の進学校だ。……一年生には言ってないけど、新人戦でウチが負けた相手だ。」


そして、夏岡は続ける。


「今回は3回戦で当たるようになっているんだ。禊応とな。みんな承知の上だと思うけど、頭脳的なバレースタイル。特にセンター線が強力なチームだ。それを活かすかのようにブロックの組織的な動きがしっかりしている、そんなチーム。それに、今年は新一年生が()()()()()()がいるんだ。」


皆、固唾を飲んだ。


麗奈は疑問に思っていた。


まさか……と。


J()O()C()()()()()()()()()()()で、()()()()()()()()()()()()だ。名を『蛭崎哀羅(ひるさきあいら)』という。」


去年の全中で橋誉の全中優勝に貢献した、頼れるキャプテンが禊応に行ったとの情報は耳にしていたが、まさかこんな早く当たるとは……


麗奈の感情が曇る。


夏岡が続けた。


「……ただ、蛭崎が入って間もないチーム状況、相手も連携には多少綻びはあるはずだし、いくら全中優勝選手とはいえ、麗奈ほど完成されてはいない選手だ。君たちなら止められるだろう。……で、あと逆山なんだけど、もう一つ情報がある。ベスト4で当たる相手が『大和碧南(やまとへきなん)』だ。ここもかなり強いぞ。去年の県大会準優勝高だ。」


メンバーの感情に、特に上級生に、絶対女王の「川崎立花(かわさきたちばな)」と当たらなくてホッとしている顔があった。


今のチーム状況では、いくら麗奈がいるとはいえ、そこに勝つのは難しいと判断していた。


だからこそまだ、勝つ道筋が見えただけマシだった。


「……一回戦の相手も決まっている。『綾瀬緑南(あやせりょくなん)』だ。ただ、ここはそこまで強い相手じゃないが、全力で叩く、いいね!?」


「ハイ!」と、メンバーは返事し、今日の練習は終わった。



 部室に集まったメンバーはミーティングを開始した。


1、2回戦は勝てる見込みがあったので、問題は3回戦。


1、2回戦はサクッとミーティングを終わらせ、禊応のミーティングに入った。


「……で、禊応についてなんだけど、まず確認するね。」


と、莉子奈が選手名鑑を広げた。


新人戦のものではあるが、多少アテにはなる。


「まず、春希のマッチアップでセンターの5番、『鏑木椎奈(かぶらぎしいな)』が来る、で、レフトにキャプテンの『御厨紗衣(みくりやさい)』、セッターの二年生『丸岡朋美(まるおかともみ)』。これがまずローテに入る。それから後衛を確認したいんだけど、まずリベロ、『唐橋透子(からはしとうこ)』、ここにサーブは絶対打たないこと。で、新人戦はレフトに『岸谷真矢(きしたにまや)』、ライトに『衛藤花蓮(えとうかれん)』が入っていた。私とマッチアップするセンターは『平川宙(ひらかわそら)』だから……多分さっき先生が言ってた蛭崎が真矢か花蓮のポジションに入るはずだから……」


莉子奈はホワイトボードの磁石を使って説明する。


「麗奈、蛭崎に関して情報ってある? アンタが言ってくれないと情報もクソもないし。」


話を振られた麗奈は一つ、息を吐いた。


「……哀羅は危険ですよ……弱点が少ない選手です。……ブロックアウトも、そのまま打ち抜くのも、レシーブも何でもできる選手です。しかも一度止めても切り替えが速い上に勘もいいので()()()()()()()な選手です。私は新人戦を観戦してましたから、おそらく8番の選手……岸谷さん、でしたかね、レシーブの穴を埋めるためにそこに入ってくると思います。」


「……オッケー、分かった。麗奈、ありがとう、真矢のところね。……しかし、困ったな。弱点が少ない、か。先生は麗奈ほど完成されていない、って言ってたけど麗奈が危険っていうなら相当だろうね。」


と、ここで春希が話してきた。


「弱点が少ないイコール()()()()()()()()()、オールラウンダー、っていうところじゃない? ……ああいうキャプテンシーのあるやつって、()()()()()()()()()()()()()()()()しね。先生の言った通り、チームワークには多少綻びはできている気はする。だったらやることは一つじゃないかな? サーブは()()()()()()()()()。椎奈も宙も、ぶっちゃけブロックだけの選手だし、ここを崩せば紗衣にブロックを集中できる。いくら紗衣のスパイク力が強いとはいっても、ブロックはウチは結構強化してきたからさ、止めれない訳がないと思うよ。……麗奈、そこんところはどう?」


麗奈は少し考えていた。


そして、こう結論を出した。


「……そうですね。哀羅は技術は確かですし、頭もいい。……でも狙ってみて損はないと思いますね。……哀羅はエリート思考が強いタイプで、()()()()()()()やつですからね。狙われてるって勘づいたらその高慢な心に傷を付けることも出来ますから。」


麗奈はこう続ける。


「……禊応戦、()()()()()()()使()()()もカギになってくるかと思いますね。」


思いもよらない言葉を掛けられたさやかは驚いていた。


「え!? 私!?」


瀬里も麗奈に訳を聞いてきた。


「……なんでさやかがカギを握っているって言い切れる? 確かに上手くなっているとは思う、でもまだ素人だよ? 危険すぎるって。」


麗奈はワケを説明する。


「単純ですよ。()()()()()()、です。」


麗奈以外の全員の頭に「?」が浮かぶ。


「……禊応のような勉強的エリート意識が高い選手たちが一番嫌うのは、()()()()()()()です。流石にさやかのあの成長ぶりを計算は出来ないと思います。だから……どこでさやかを使うか。その時は瀬里さんか、藍さんのどっちかが外れると思いますが、さやかを出す準備は1セット目から整えておいて損はないかと。……どちらにせよ乱打線は覚悟しておいた方がいいと思います。」


麗奈がこう説明した後、全員に難しい表情が浮かんでいる。


それもそうだろう、麗奈以外、全員の不安がよぎるのは仕方ない。


初心者を強豪相手に使うなど、それもキーマンとして起用することなど、()()()()()()()()()()()()だった。


「……確かに一理あるかもね。」


こういったのは瑠李だ。


ミーティングに興味をあまり示さなかった瑠李が発言するのは珍しいことだったからだ。


全員が瑠李の方を振り向く。


「向こうは組織プレーでしょ? さやかのここ1ヶ月の成長ぶりを一番見てきたのは私だから……そこは保証できる。計算を狂わせるという意味では全然アリな起用だと思う。特に瀬里や藍には酷なことになるかもしれないよ? ……ただ、さやかはそう考えたら1、2回戦はワンポイントブロック以外で温存するべきだと思う。3回戦から本格的にベールを脱がせるべきだと思うよ。ただ……そうするにも()()()()()よ、さやか、麗奈。」


「というと?」


さやかが反応する。


「……()()()()()()()()()()()()()()最初の一発目を。……それで向こうも警戒するだろうしね。さやかのあの高さは日本の女子バレーにはシニアでもないから。向こうに高くてクイックがヤバいやつ、って認識させれば春希も韋蕪樹も、莉子奈も使いやすくなってこっちのペースになると思う。桃華のディグも、さやかのブロックを警戒させればこっちのものだしね。メリットは大きいよ、情報が既にある2人では出来ないことだと思う。」


これに韋蕪樹が瑠李に聞いてきた。


「……情報戦、ってことですか? その駆け引きが大事だと。」


「だね。事実情報が少ない選手がウチには多いからね、幸いなことに。でもさやかは経験すればするほど経験値が大きく伸びるタイプだからね。本当は一回戦から使いたいって気持ちは全員あるだろうし。けど、さやかの情報を渡したらダメ。1、2回戦の最終盤だね。さやかをそこで使うにしても。」


険しい顔になる。


情報戦だということは分かってはいても、どれだけ欲求を抑えられるかがカギだからだ。



 と、莉子奈がここで話を切り替える。


「で! 向こうのサーブの想定なんだけど、なるべくクイックを使わせないようにして、春希、私、韋蕪樹を止めに行くと思う。つまり、私や桃華を狙うことは少ない。向こうには()()()()()()()()()()()から。だから春希か韋蕪樹に徹底して来ると思うから、麗奈はBパスを常に想定していて。」


「……分かりました。」


「それから瀬里と藍、さやかに言っておくけど、()()()()()()()()はしといて! ここが機能すればこっちが流れ持っていけるから! 頼むよ!」


この言葉に3人は頷いた。


「あとは全員出られる準備はしておくこと! いい!? 絶対勝って、ベスト8、ベスト4、決勝戦! 狙ってくよ!!」


全員頷いて、ミーティングは終了した。

さて、次回から大会本戦開幕です。

インターハイ予選って、日程の関係上、複数会場を借りて行うんですよ。

学校内での試合で散る高校多数、それが現実です。

登場人物紹介は、夏岡先生です。

お楽しみに!

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