第19セット オシャレ魔女ワラナンガールズ(後編)
番外編の後編となります!
瑠李がどのようにチェンジするのか見どころです!
登場人物紹介は、真理子となります。
浪川真理子 小田原南高校一年 小田原東栄中出身 2月28日生まれ O型 オポジット 右利き バレー歴は中1から 164センチ55キロ 3サイズB87W61H92 好きな食べ物 甘い物全般(特にかき氷苺味) 趣味 猫の動画を見ること
最高到達点3メートルのハイジャンプを活かしたスパイクに加え、ジャンプサーブも武器にする選手。
その他のプレーはあまり上手くはない。
ガッシリとした体格は元々持っていたもので、特に下半身が大きい。
明るい性格で、楽天的な性格だが、脳筋である。(本人もそのことを気にしている)
勉強は苦手で、引退後に猛勉強をしてギリギリ合格した程。
勉強に関しては同じクラスの蓮に教えてもらっているのでギリギリ授業にはついていけている。
甘い物と可愛いものに目がないので、蓮からは呆れられているフシもある。
瑠李が試着室前で待っている頃、服を選んでいる春希と莉子奈はというと。
「うーん……瑠李の好みが分からないからな……でも可愛いものが似合わなさそうだし……」
案の定、悩んでいた。
「瑠李春希喧嘩事件」を機に、その後の練習、練習後、合宿で瑠李の人となりをだいぶ理解してきた莉子奈ではあったが、瑠李自身が服に興味をあまり示してこなかったので、好みが全く分からないし、感性が読めないのは事実だった。
「まー、莉子奈の言ってることも分かるよ、ホントに。……珍しいもん、瑠李が服買いたい、なんて言うの。しかも私にじゃなくて莉子奈にだよ? 天変地異が起きたんじゃないかって思ったよマジで。」
春希は莉子奈の悩みには同感だった。
中学時代に遊びに行っていたことは多くても、服を買いたいなんて言うことが滅多になく、本当に数えるほどだ。
そんな瑠李の要望に少しでも応えたいというのは春希と莉子奈だけでなく、全員共通していたことだった。
「とはいっても……やっぱ瑠李あんな感じだからさ……ちょっと大人っぽいのが似合うよねー……多分。」
「あー、それは分かるよ莉子奈。可愛く、よりもクール系がアイツには似合うと思うよ絶対。」
「うーん、だったら暗めかな? 春希。何でもいいとは言ったけど……やっぱ客観的に見て似合ってる方がいいもん、絶対。」
「暗めねえ……でも瑠李は最近明るくなってるからなあ……私はちょっと明るさを足そうかな。白系も入れてみようかな。」
こうして2人は服を選んでいったのだった。
一方、さやかと麗奈サイドはというと。
「あのさ、さやか……」
「うん、どうしたの?」
「……どんな感じにしようと思ってる? ……瑠李さんをさ。」
「そー……だねぇ……なんか、ガラッと変えたいかな、瑠李さんのイメージを。まだあの人、殻を開き切ってないしさ。」
そういって、次々とさやかは服を選んでいく。
もう、イメージはできているのだろうか。
麗奈が感心していると、今度はさやかが聞いてきた。
「麗奈ちゃんの方はどう? 固まってる?」
「……遠足って、夏でしょ? だったら清涼感のある感じにしたいかな、って思ってるよ、私は。冷静に考えてみてもそれが一番いいと思う。」
こうして麗奈も服を選んでいった。
その頃、莉子奈と春希は、選んだ服を瑠李に持ってきた。
瑠李は試着室で着替えている。
待つこと数十秒。
「どうかな?」といい、瑠李が出てきた。
このチョイスは莉子奈のものだ。
ワイルド系な黒いTシャツ、黒いデニムパンツといった、黒統一ファッション。
色合いがダーク系で分かりやすいので、外行きとしては事実そこまで悪いわけではない。
「莉子奈……なんていうか、ゴリッゴリで来たね……すごい分かりやすいというか……」
「まあこれはこれでいいと思ったんだけど……もうちょっと丸くてもよかったかも……」
似合ってはいるのだが、コンセプトの「可愛い」とは少し逸脱していたフシもあって、苦笑いを莉子奈と春希は浮かべていた。
「まあ、そこは本人に選んでもらえればいいとして……私のも着てみて、瑠李。」
「ん。わかった。じゃ、これも一回保留ね。」
瑠李は着ていた服を脱ぎ、カゴに入れた。
そして春希のチョイスを着る。
数十秒で瑠李が出てきた。
試着室のカーテンを開けた瑠李は、2人に見せてきた。
ギンガムチェックのシャツに、ベージュのパンツ。
印象をアウトドア風に一変させた。
「……似合う?」
瑠李が2人に聞いてきた。
「春希……アンタはアンタですごいのチョイスしてきたね……印象がいい意味で全然違う……」
「まーねー。瑠李、最近明るくなってきてるからこんなのもいいかなーって思ってさ? いくら丸くなったとはいえ、『地味脱却』出来てなかったし、実際。」
「でも結構似合ってるよね、意外と。流石長い付き合いなだけある……まさかこんなチョイスしてくるとは思わなかったけど。」
2人は意外性のある似合いさに呆気に取られている。
と、ここで春希が聞いた。
「瑠李、そういえばあと着てないの誰?」
「え?? さやかと麗奈のはまだ着てない、かな。あの2人ガチな目してたから期待してはいるんだけど……」
「うわ……あの2人、か。元モデルのさやかもいるんだから絶対凄いのくるよこれ……麗奈は知らんけど。」
瑠李からこの言葉を聞いて、春希と莉子奈は愕然とした。
瑠李は2人にこんな言葉を掛けた。
「……でもさ、2人とも、私のこと考えて選んでくれたんでしょ……? 気持ち、汲み取ってさ。……だから、ありがとね。」
恥ずかしそうに笑った瑠李は、2人を労ったのだった。
数分後、麗奈、さやかのコンビが到着した。
さやかに至っては、何やらバッグやら帽子みたいなものも持ってきていた。
先にチョイスを済ませていた莉子奈と春希は、さやかのガチぶりに呆気に取られていた。
一方の麗奈は超シンプルな物を持ってきている。
「絶対なんかテーマありそうだよね……どういう意図? 2人とも。」
麗奈が先に答える。
「私は……まあ、夏に行くでしょうから清涼感を出してみました。……似合うかは知りませんけど。」
さやかも答えた。
「私は全く違う形にしようかなーって思って! 絶対似合うと思いますよ!!」
「そっかー……じゃあ瑠李、着てみてよ。」
春希に催促され、瑠李は先ずさやかの選んだ物を着た。
「これ私に似合ってるのかな……? 今まで着たタイプじゃないからなあ……まあ見てもらおうかな……」
こんな声が聞こえてくる。
4人のワクワクが膨らんでくる。
「瑠李さーん?? どうですか? 開けていいですかー??」
さやかがカーテン越しから瑠李に聞いてきた。
と、瑠李はカーテンを開けた。
白地に黒っぽいグレーのラインが入った長袖のボーダーシャツ、デニム地のショートパンツ、短めの青い靴下、ベージュのハンチングに、革の黒いバッグを斜め掛けに掛けたスタイルで、瑠李は出てきた。
腕の肌を見せない服装と、ショートパンツで見せる生脚のギャップ。
ハンチングとボーダーシャツでカジュアルさを出しつつ、ショートパンツと斜め掛けバッグでセクシーさを醸し出すという、肌露出緩急スタイル。
モデルの本気をふんだんに押し込んだ渾身のファッションだった。
「……に……似合う?? その……こういうの着ないから分かんないんだけど……」
瑠李は恥ずかしがりながら4人に聞いた。
「……想像以上に似合ってますね。スタイルも良く映えてますし。」
麗奈が呆気に取られた様子で瑠李にそう言った。
「そ……そう……? 似合ってるなら……いいんだけど……」
「じゃー……次、麗奈ちゃんのですかね?」
「……だね。麗奈のも楽しみにしてるから。」
そういって、カーテンを閉め、さやかの選んだ服を脱ぎ始めた。
カゴに入れたあと、今度は麗奈の持ってきた服を着ていく。
「……ワンピース、か……何年ぶりだろ、こういうの着るの。」
そう呟きながら用意された服を着ていく。
この時麗奈はこう思っていた。
地雷踏んだのか? と。
そうして着終えた瑠李はカーテンを開けた。
試着室から出てきた瑠李は、水色系統の、白とのグラデーションが映えたワンピースに、茶色いベルトで腰回りを止める、シンプルかつ清涼感のある服装だった。
「……どう?」
瑠李が聞く。
「……思いの外、可愛い感じになったね、瑠李……まさかここまで可愛くなるなんて……」
春希がまさかの変化に呆気に取られている。
麗奈も同調する。
「……途中地雷踏んだのか、って思いましたけど、似合っていてよかったです。」
ここで、莉子奈は声を発する。
「じゃあ、これで全員分? 瑠李。」
「……だね。じゃあ元のやつに着替えるから、莉子奈はみんなを集めて。」
そういって瑠李はカーテンを閉め、元の深緑の服に戻った。
ということで、全員集合し、服の入ったカゴを並べた。
全部で14着。
これから一つを選ぶのはかなり時間が掛かる。
流石の瑠李も頭を悩ませている。
そして、数秒考えたあと、こう決断し、みんなに話した。
「……私、実はさ……先月からバイト始めてさ……新聞配達の。……だから……全員分買えるお金は……ギリギリだけどあるんだ……。」
全員驚いた顔をしていた。
まさか、瑠李がアルバイトをしていたとは思いもよらなかったし、全員初耳の情報だったのだから。
「え、ちょっと待って、瑠李!! アンタ合宿の時もそんなこと一言も言ってなかったじゃん!! ねえ、なんで!? なんで言わなかったの!? ビックリするんだけど!!」
流石の春希も初耳だったようで、驚いた顔で瑠李に詰め寄った。
「ちょ……落ち着いてって……まあ、実を言えばさ……大学の受験費の為。……私、心理学部に行こうと思っててさ、そのためにお金稼がなきゃ、って思って。……だから今回全員行くとは思ってなかったけど、初任給とはいえ割とお金はあるから……」
また更に驚嘆するメンバー。
だが、それはいい意味で、だ。
「なんか……勝負だ、って言ってたから、莉子奈さんが……ちょっと拍子抜けちゃいましたね……いい意味で……」
さやかが今回の顛末を簡潔に纏めた。
麗奈以外、全員それに笑っていた。
「……いや、みんなさ、私なんかのためにさ、真剣に服、選んでくれて……だから……勝負してた、なんて知らなかったよ? でも私なりに感謝の気持ちを伝えたかった、それだけ……。」
瑠李は照れながら全員に感謝を述べた。
「……まー、今日は色々ビックリしたことあったけどさ、……瑠李にそう言ってくれるとやりがいがあったよ。……ありがとうはこっちこそ、だよ。……で、全員分買うの?」
莉子奈が瑠李に逆感謝を述べたあと、瑠李に全員分買うか聞いてきた。
「……だね。地元だから交通費も掛からないし。……そもそも私、服を練習着以外そんな持ってないから……だからこんなこと出来る。」
全員分買う、と改めて瑠李が宣言したことによって、全員は沸き立ったのだった。
そして瑠李は自宅に帰宅した。
親がいるので帰宅して即、二階へ上がっていき、自室の鏡の前でみんなが選んだ服を、改めて次々と着ていった。
「……みんな……ありがとね。」
瑠李はそう呟いて、服のタグをハサミで外して行ったのだった。
書くのが楽しいwww女の子の私服選びはwww
想像力が掻き立てられる。
さて、次回から本編に戻ります。
また、キャラ紹介は芽衣です。
ギャグからシリアスにまた戻りますのでよろしくお願いします。