子育ては森の中③
異世界その他で3位に入ってました。
ありがとうございます。
そして、誤字報告もありがとうございます。
「アシャギィ〜〜!どぉ〜〜こ〜〜?!」
異世界からこんにちは。
モフモフに拾われて育てられ、推定一年ほどが経過した菜々です。
スクスク成長して、なんと身長も10センチくらい大きくなったよ。
もう、木の根に進路を阻まれる事もないよ?。
と、いうか。
ファンタジー再び。
なんと、こっちにきた頃には欠片も無かった魔力らしきものが、半年くらいして出現したんだよ!
スゴイ!!
今ではちょっとした風を起こして飛び上がることができる様になったの。1メートルくらい……。
そこ!
ショボいとか言わない!
この巨木蔓延る森で1メートルの跳躍がどれほど役に立つ事か!
少なくとも倍以上のスピードで進むことが可能になったんだからね!
ちなみに火も起こせるようになったよ?
ライターくらいだけど。
良いんだもん!火種あるのとないのじゃかなり違うもん!
まぁ、食べ物果物だし、気候は常春で快適だし未だに役立つ場面は無いけど。
幼児だから暗くなる頃には眠くなっちゃうしね。
あと、単純に身体能力も上がった気はするんだよ。
少なくとも4歳の頃こんなに早く走れなかったし、力も強く無かった‥‥と、思う。
まぁ、兄弟達の成長率及び身体能力高すぎて多少成長したとしても相変わらずミソッカス扱いなんですけどね〜〜。
さらにいえば、舌がうまく回らなくて噛みまくりだけど。これでも最初よりは大分マシになったんだよ?
何しろ会話する相手もいないし、なかなか言葉がうまく話せなくてもしょうがない。
せめて兄弟の名前くらいはハッキリ発音したいと日々努力はしてるんだけどね……。なかなか……。おのれ‥‥サ行とナ行が憎い……。
そんな私は、朝からどこかにお出かけしたまま帰ってこない長男のアサギを探してるんだけど、なかなか見つけられずに困ってるところ。
あ、兄弟はね三匹でして兄2匹に姉1匹。
勝手に長男アサギ。次男シオン。長女アカネって名前をつけた。
ちなみに由来は目の色そのまんま。
毛色はね、みんな綺麗な銀色だから区別つかないんだよね。
あ、母さんはそのまま「母さん」で。
ちなみに目は綺麗な琥珀色なんだけど、母さんはやっぱり「母さん」なんだよね。
兄弟達も母さんもそう呼ぶことに特に反発もなく。
多分みんなを区別する私の「鳴き声」とでも思ってるんだろうけど、ちゃんと、その呼び名で反応してくれるので問題なし。
ちなみにお互いの言いたいことは相変わらずなんとなく伝わる感じ。身振り手振りと鳴き声で把握する感じ。
昔よりはより細かく汲み取れるようになったのはちょっと自慢。
じゃ、なくって、アサギだよ、アサギ!
午後から水浴びしようねって約束してたのに、ちっとも帰ってこない。
「ア〜シャ〜ギィ〜〜!!」
「グルゥ」
全力で叫んでたら小さな声と共に、音もなく巨体が隣に降ってきた。振り返れば、母さんほどではないけれど見上げるほどに大きな狼。
「あ、シォーン!アシャギいた?」
尋ねれば、困ったように紫の瞳が眇められた。
「グルグル」
いない、というように首が横に振られフイッと鼻先が水場の方へ向けられる。
どうやら、アカネが待ちくたびれてるみたい。
「もう!やくしょく破りのつゅみは重いんだから!アシャギはしばらくブラッシングしてあげにゃい!」
ソロソロ水浴び始めないとブラッシング終わる前に暗くなっちゃう。
諦めて頬を膨らましながら、シオンの首筋に抱きつく。
慣れた仕草で私が乗りやすいように伏せの体勢になったシオンの背中によじ登れば、重力を感じさせない軽やかさでシオンが走り出した。
自分で走るよりこっちの方が早いから、急ぐ時は乗せてもらってるんだ。
重くないのかな?って思うけど、3匹とも全然平気らしい。
まあ、あっちの虎くらいのサイズあるし、私は1メートルに満たないちびっ子だしね……。
そもそも魔法使う不思議生物に日本の感覚当てはめるのもヤボってもんだわ。
時には木々の間を飛び回るような走り方でも、今では振り落とされる事はない。
コツは視線を相手に同調させて次の動きを予測する事‥‥なんて偉そうに言ってみるけど、単なる慣れだよね。
最初の頃は何回も落ちてたし。
不思議と母さんからは一度も落とされた事は無いから、もしかしたら乗せる方にも何かコツがあるかもだけど、私には分からない。
流石にそこまで詳しい会話ができるわけではないしね。
水場は巣の1番近くにある湖で、私が落ちた因縁の場所でもある。
たまたま水浴びにきてた母さんが見つけてくれたんだよね。
ちなみに、定期的に水浴びしてるけど、体の汚れは魔法で落としてるから、完全にコレは遊びと嗜好な感じだ。
なんか汚れを落とす魔法があるみたいで、寝る時に巣穴に入る前にいつも母さんがかけてくれるんだよね。
フワってあったかい空気に包まれたと思ったら体がさっぱりしてるの。
だから「洗う」って行為は必要ないんだけど、まぁ、水浴び気持ちいいし。
特にその後のブラッシングが気持ちいいみたいで、兄弟達のお気に入りみたい。
私もみんなにしてあげれる数少ない事の一つだから張り切っちゃうよね。
ちなみに最初は小枝を束ねただけだったブラシもどきも、今ではだいぶ進化してきて、より使いやすく気持ち良さもアップしております(当社比)。
エッヘン。
結局、何をしてたのかアサギは夕方近くにになってから慌てて帰ってきた。
当然水浴びには間に合わず、私にはそっぽをむかれ、母さんからは「約束破っちゃダメ」的な説教を受けててションボリなってた。
耳と尻尾をヘタレさせて謝ってきたので、ちゃんと仲直りしたよ?
でも、罰としてやっぱりブラッシングはしばらくしてあげないもんね!
読んでくださり、ありがとうございました。
ナナもちょっと成長して、魔法使えるようになりました!