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子育ては森の中②

こんな海のものとも山のものとも分からない話に既にブクマ50件も!ありがとうございます!!

喜び浮かれて本日2話目投稿します\(//∇//)\


皆さんこんにちは。


異世界に落っこちたら、幼児になってて、でっかい狼に育てられてる菜々です。


今日は私の1日をご紹介。




生活拠点はもの○け姫真っ青な巨木の蔓延る森の中。

の、斜面に掘られた穴の中。

床にはフカフカの草が敷き詰められてて湿気もなくかなり快適。不思議と匂いが篭る事もなく虫が湧く事もなく清潔。現代日本人としてココ大事。

そこで母さんのお腹に寄り添って兄弟達と団子状態でおやすみなさい。


で、ご飯。

母さん達は見た目はでっかい狼なんだけど、ご飯は草食だった。というか、森に豊富になる果物が主食っぽい。

色も味も様々なそれを、その日の気分で食べる。

生肉出されたらどうしようと戦々恐々していたから本当に助かった。


まぁ、大体木の上になってて、私じゃ自分で取る事もできないんだけどね。

だってデカいよ木。

子供の小さな手足じゃ頑張って登っても上までたどり着かない。

そもそも落ちたら怖すぎる。


母さんはササっと駆け上がったり、風で浮いたりして簡単に取っちゃうんだけどね。

で、落としてもらった木の実を兄弟達と食べたら、遊びという名の身体訓練。


まぁ、私の身体能力じゃ兄弟達についていけるはずもなく。

走り回る兄弟達を横目によたよた巨木の根を乗り越えて探索してみたり、でっかい母さんの背中に登っては転がり落ちてみたり。


体に引っ張られるのか、そんなことでも笑ってしまうくらいに楽しい。

特に、でっかいふさふさの母さんの尻尾を捕まえるのが、また最高に楽しい。


疲れてきたら母さんにくっついて走り回る兄弟達を眺めたりもする。


だってね。

木々の間を飛び回ったりくるりととんぼ返りしたり。

まるで忍者みたいに動き回るんだよ。

見てるだけでも楽しい。

その上、小さな炎を吐いたり空気や水の塊をぶつけっこしたり。

完全に見るエンターテインメントですよ。

BGMが欲しい。


どうやらこうやって魔法の使い方を覚えていくみたい。

炎とか大きく出しすぎて怪我しそうになったら、ちゃんと母さんが消してくれてるので安心。流れ弾がこっちにきても母さんが「ガゥ」と小さく吠えるだけで消えてしまう。


ちなみに調子に乗ってやらかした兄弟は教育的指導で母さんに転がされたりしてるけど、まぁ、よくある事だよね。

私もチョロチョロして迷子になっては咥えて連れ戻され、足元不注意で穴に落ちそうになってはガウガウ説教されたりしてるけど。

反省(ごめんなさい)すれば、優しい母さんは許してくれます。


お腹が空いたら食べて疲れたら昼寝して運動。

駆け回ることに飽きた兄弟達に遊んでもらってまた昼寝。たまに水浴びしてブラッシングもして。


そうしているうちに日が暮れて、巣穴に戻って眠りにつく。

ヌクヌクのモフモフは極上の眠りを連れてきてくれる。

時々寝ぼけた兄弟に、あちこち舐めたりガジガジと甘噛みされたりするけど、まぁ、それもまた一興。

お返しに目の前の耳や鼻先にかじり返したりするのも楽しかったりする。


力加減間違えて痛かったり怒られたりもするけどね。

それだって、ジャレ合いの1つなんだよ。

そこに言葉なんかなくったって、ちゃんと伝わるものはあるんだってここに来て知った。


トロトロと優しい眠りに落ちていきながら、私は満ち足りたため息をついた。


単純だけど、楽しくて満ち足りた毎日はあっという間に過ぎる。

向こうにいる時はあんなにも時間の流れが遅くて苦しかったのに。


いつでもそばにある温もりに、護られてるってこんなに幸せなことだったんだなぁ、ってつくづく思うよ。

理不尽に怒鳴られる事も殴られる事もない。

空腹と寒さに1人震える事もない。


こうして、私の1日は終わる。









流れる月日は安寧に満たされて、カラカラに乾いていた心をゆっくりと潤していった。


愛されること。

ありのままの自分を受け入れてもらえること。

時にはちょっとした我がままを言って、「悪いこと」をして叱ってもらい許してもらうこと。

それは『生物』として自分で自分を肯定するためにとても大切な時間だった。


明日を心待ちにして、希望を覚えて、未来を望む。

そうして、笑うことを思い出し、他者を慈しむことを覚えて、少女は本来あるべき姿へと成長していく。


美しく、しなやかに。

何があっても折れない心と、強靭な体。

そして、けして切れない絆をその手にして……。













読んでくださり、ありがとうございました。


狼さんは不思議生物でした(。・ω・。)

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